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マーガレット、って?

2023年07月16日 08時00分00秒 | キク科
Leucanthemum vulgare(フランスギク)
撮影者:AnRo0002 
撮影日:2017.05.25
オリジナルからの改変、なし

今日は、シャスタ・デイジーに見かけのよく似ている「マーガレット」についてお送りしたいと思います。

シャスタ・デイジーの第一の親種は、冒頭の画像に見える、フランスギク(Leucanthemum vulgare)です。

シャスタ・デイジー、出生物語

学名 Leucanthemum vulgare 
英名 Ox-eye daisy「牛の目のデイジー」
別名 Marguerite(フランス語から)「マーガリート」
フランス語名 Marguerite commune
和名 フランスギク
キク科(Asteraceae)フランスギク属(Leucanthemum
原産 ヨーロッパ、温帯アジア
移入 北アメリア、オーストラリア、ニュージーランド

原産は、ヨーロッパと温帯アジアですが、この花が特にフランスに多く産したのかどうかは、調べた限りでは、わかりませんでした。ですから、なぜ和名が「フランスギク」なのかは、想像の域を出ません。

基本的には、野草です。北アメリカなどに移入されていて、うちのあたりでも、道端などで見られます。きれいなので欲しいのですが、車の往来する通りまで行って、盗掘できないし・・・植えたものでないのはわかっているのですが。

このキク科の植物の学名 Leucanthemum vulgare は、「俗な、白い、黄色い花」、つまり、「どこにでもある、白い花びらの、真ん中が黄色い花」、つまり、「どこにでもあるデイジー」です。

Leucanthemum vulgare(フランスギク)
撮影者:Andrés Nieto Porras
撮影日:2011.04.01
オリジナルからの改変、なし

フランスギクは、フランス語での名称が、Marguerite commune「マルガリート・コミュン」、それは、英語で、Common marguerite「コモン・マーガリート」、つまり、「普通の、普通にある、マーガリート」、それを略して、Marguerite「マーガリート」。そして、フランス語形 Marguerite「マーガリート」の英語形は、Margaret「マーガレット」。

なので、、、フランスギク(Leucanthemum vulgare)は、日本語的には英語形を使って「マーガレット」でいいんじゃ?

と言いたいですよね。でも、日本ではそうではない。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:Houss 2020 
撮影日:2021.01.23
オリジナルからの改変、なし

日本語で現在「マーガレット」と呼ばれる植物は、モクシュンギクです。フランスギクとは、属が異なります。

学名 Argyranthemum frutescens
英名 Paris daisy「パリのデイジー」
別名 Marguerite「マーガリート」
別名 Marguerite daisy「マーガリート・デイジー」
和名 モクシュンギク(木春菊)
別名 マーガレット
キク科(Asteraceae)モクシュンギク属(Argyranthemum
原産 カナリア諸島

なぜこんなことが? 英名が、「パリのデイジー」だの、「マーガリート」だの、「マーガリート・デイジー」だの、なら、日本語でも「マーガレット」と呼びたくなりますよね。

そして、実際、このモクシュンギク(Argyranthemum frutescens)が、現在、園芸では「マーガレット」と呼ばれています。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:Dinkum 
撮影日:2011.09.18
オリジナルからの改変、なし

つまりは、フランスギク(Leucanthemum vulgare)もモクシュンギク(Argyranthemum frutescens)も、Marguerite と呼ばれる。ついでに、フランスギクの園芸種であるシャスタ・デイジー(Leucanthemum × superbum)も、Marguerite と呼ばれたりする。

カタカナの和名をつけるとき、フランスギクとモクシュンギクのどちらに「マーガリート」あるいは「マーガレット」という名称をつけるべきか。

フランスギクの方が元々「マーガレット」と呼ばれ、モクシュンギクは「モクシュンギク」だった、というような説明をあちこちで見ましたが、どちらが先だったかは、わたしにはわかりません。

言えることは、現在、フランスギクが「フランスギク」で、モクシュンギクが「マーガレット」、と呼ばれることです。

なぜこんなことが起こったか。

それは、憶測ではありますが、業界の仕業では? と思います。

「モクシュンギク」という名前では、植物が売れにくい、だから、「マーガレット」と呼ぼうよ。「マーガレット」って、少女趣味よね? 女性の購買意欲をかき立てません? お花も小ぶりでかわいいし。

じゃあ、「マーガレット」という名前を奪われたフランスギクはどうする? 「フランスギク」なんて「おフランスな」名前で気分いいじゃありませんか。でも、大体、なぜ「フランスギク」が「フランスギク」と呼ばれるの?

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:lxitixel 
撮影日:2008.03.21
オリジナルからの改変、なし

モクシュンギクは、漢字で書けば、「木春菊」。「木立」の「春菊」ということです。

株が大きくなってくると、茎が木質化します(上の画像)。そして、その性質を利用して、1本立てに作ることができます(下の画像)。このように作られているモクシュンギク(マーガレット)は、バンクーバーでも売られていますが、耐寒性が低いので一夏のパティオの花になります。あるいは、温室に入れる。

フランスギク属の茎は木化しないはず、わたしの知っている範囲内では。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:G.castelain
撮影日:2016.03.22
オリジナルからの改変、なし

モクシュンギクの「春菊」の部分は、わたしたちが野菜として食べる「シュンギク」(Glebionis coronaria)の「春菊」です。以下の画像のシュンギクの葉と、3枚前の画像に写るモクシュンギクの葉をお比べください。

フランスギクの葉は、一般に、平たい細長のヘラ状で、縁がギザギザしていることが多いです。青空の写った上の方の画像で葉が見えますか。

2021.09.19撮影(シュンギク)

モクシュンギクも、フランスギクと同じように、白い花びらのものが多いですが、園芸種にはいろいろな色のがあります。

以下のリンク先などでご覧ください。画像が左右に並んでいる右上に、< > があります。そこをクリックすれば、異なる画像が出てきます。

Argyranthemum(英文+画像)
Garden Center Marketing 
https://www.gardencentermarketing.com/plantName/Argyranthemum-frutescens-Multiple-Varieties

また、そこに「Zone:9-11」と書いてありますが、それは、栽培可能な温度の範囲を示すもので、ゾーン8のバンクーバーでは寒すぎる、ということになります。

Argyranthemum frutescens(モクシュンギク)
撮影者:阿橋 HQ
撮影日:2004.02.22
オリジナルからの改変、なし



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