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[スカイマーク]安全神話を壊滅状態に

2010-03-17 | 業界ニュース
<コメント>
 航空会社の会長と社長が安全を軽視するならば、まず調達しなければならないのは、機長ではなく、経営陣でしょう。それを効果的効率的に調達する方法など、いくらでもあります。
国土交通省がスカイマークへ厳重注意を実施しました。
度重なる安全を無視したような会社の姿勢は、強烈に利用者である私たちに伝わりました。安全を無視し、利益に突き進む姿。
いくら技術があっても、会社理念が間違っていれば誰もついて行かないでしょう。
会社としてのけじめ、経営陣は良くお解りと思いますので、一日も早いご決断をお願いしたい。そして新たに生まれ変わったスカイマークとして信頼回復につとめて欲しい。
(あくまで、筆者個人の感想です。)


「日本製品=高品質」神話を疑う 3月17日16時57分配信 Business Media 誠

 国土交通省がスカイマークに対し、厳重注意を行いました。

 その内容は「飛行前点検で客室乗務員が体調不良で十分に声が出せないのに気付いた機長が、緊急時の乗客の誘導などに支障をきたすと判断し、その乗務員の交代を求めた。これに対し、スカイマークの西久保愼一社長と井手隆司会長は、機長らを乗せて飛行機に向かうバスに乗り込み、乗務員を交代させずにそのまま運航するよう要求、機長が『安全管理上問題がある』として拒否すると、客室乗務員ではなく、機長を別の機長に交代させて、その便を出航させた」というものでした。

 航空法では、運航に関する安全のための判断およびその措置の最終決定権を有しているのは機長であり、スカイマークも航空法に基づく運航規定で「安全の最終判断は機長がする」と定めていますが、西久保社長と井手会長との判断はこれをくつがえすものです。

 加えてスカイマークは、運航を拒否した機長との約2年間残っていた契約を即日解除しました(出所:2010年3月9日国土交通省発表、読売新聞、3月10日産経新聞)

 報道が正しければ、自分の職を賭してでも乗客の安全を守ろうとするこの機長の職業人としての倫理観は、非常に尊敬されるべきものです。この機長は外国人であり、人材派遣会社からの派遣契約でスカイマークに派遣されていました。

 これは1つの事例に過ぎないので、「日本企業は技術力がある、品質・サービスがよい」「国産は外国産より安全」「外部より社員の方が信頼できる」という神話が完全に崩壊したわけではありません。平均的には日本企業の品質・サービスは良いかもしれません。

 しかし、その割には、世界でのマーケットシェアを見ると、日本企業が上位を得られているのは限定的かつ減少傾向にあります。また、データもなく「日本企業は技術力がある、品質・サービスが良い」「国産は外国産より安全」と唱えているのは、競争の現場にいる企業人ではなく、政治家や知識人、マスコミなどであることを考えると、「そうあってほしい」という願望や「昔、そうであった」というノスタルジーのように感じられ、どっちもどっちという感があります。

●常識を疑うことが突破口に

 私がいる調達・購買の現場は、必要とされているモノを確保するのが目的なので、一般論やマクロな視点ではなく、最終的には「目の前にあるモノや担当者が信頼に足るか否か」というミクロの視点が大切です。取引の目的が物品や短期的なサービスなど具体的であればあるほど、企業や事業レベルではなく、物品や担当者といったミクロな視点が重要になります。

 このミクロの視点に立った時、良いものを安く買うには逆張りの発想が重要です。コストは理論で決まりますが、価格はサプライヤの意志や相場で決まります。価格が相場で決まるならば、逆張りでなければ、良いものを安く買えません。順張りでは良くて高値づかみ、悪ければバブルに引っかかってしまいます。しかし、調達・購買では、産業や企業ではなく、どの物、誰と付き合うかというミクロな視点の方を重視すれば、良いものを安く調達する機会はいくらでもあるのです。

 「有名な大企業よりも無名な中小、ベンチャー企業」「一言えば十理解する日本企業ではなく、十言っても一しか持ってこない外国企業」「即戦力の中途採用よりやる気のある新卒採用」でも、目の前にいるサプライヤや担当者が信頼できるのであれば、彼(彼女)らと付き合った方が、3割どころか、1ケタ~2ケタのコスト低減も可能です。

 また、民主党政権になって、雇用の硬直化がますます懸念される現在は、経営者にとって、正社員を増やすのはあまりにもリスクが大きく、サプライヤの力を上手く使って、現社員の生産性を飛躍的に拡大させる以外に現実的な選択はありません。

 残念ながら、雇用政策については、政党に関わらず、政治家・官僚とも、厳しいグローバル競争の現実を理解している人は皆無に等しいと言わざるをえません。それにしても、現在の雇用政策は、小手先の対策が問題をより悪化させる典型的な事例のような気がしてなりません。

 このような現実の中では、「国産>外国産」「社員>外部」といったこれまで当たり前とされていた常識、神話を疑うことが突破口になると考えます。

 日本では、なかなか理解してもらえないのですが、モノ、ヒト、カネ、情報などあらゆる経営資源は外部からの調達が可能です。例えば、生産委託はモノだけでなく、ノウハウという情報、研究開発や生産に携わるヒトの調達手段の1つです。カネも銀行だけではなく、社債や株式発行などさまざまな調達手段があります。経営すら、正しいか否かに関わらず、その企業の根幹となるはずのビジョンや経営戦略などを、コンサルティング会社などの外部に委託している企業が数多くあるのが現実です。

 このように、現在は、外部から調達できない経営資源は皆無です。ですので、問題は「いかに外部から経営資源を上手く調達するか」の前に、「何を自社で確保し、何を外部から確保するか」であり、その答えは個々の会社が目指すものによって異なります。

 航空会社の会長と社長が安全を軽視するならば、まず調達しなければならないのは、機長ではなく、経営陣でしょう。それを効果的効率的に調達する方法など、いくらでもあります。(中ノ森清訓)


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