生物と絶滅について考える(5)
4.生物の絶滅原因
1)恐竜の絶滅原因
いま最も有力視されている恐竜絶滅の原因としては、白亜紀末の天体衝突説です。巨大隕石といいますか、小惑星が地球を直撃したことで、生息していた地上の恐竜は、死に追いやられたとするのがこの天体衝突仮説です。
メキシコのユカタン半島の北部のチュチュルブでは、K-Pg境界(中生代白亜紀【ドイツ語の白亜紀Kreideの頭文字K】と新生代古第三紀、【英語の「古第三紀の」Paleogeneの頭文字Pおよびgeneのg】境目という意味)の頃、顕生代における5回の大絶滅うち最後の5回目の大絶滅が発生した白亜紀の末(最近では6604万年±4万年といわれていますが)の巨大隕石の直撃で出来たという巨大なチュチュルブ・クレーターは広く知られています。
専門家の先生が書かれている書物を読みますと、地球に巨大な隕石が衝突しますと、大量の塵が発生し、それが大気中に漂うことで太陽光線が遮られ、地球上が寒冷化し、これに適応できなかった恐竜をはじめ多くの哺乳類(動物だけでなく植物も含めて)など生物が絶滅したと考えられているのです。
というのは、衝突の衝撃熱が凄く高いため、その一帯が焼き尽くされてしまいます。今日でもTVで火山噴火によって巻き起こった粉塵の高さ、そしてその凄さが映し出されているのを見ることがあります。地球への巨大隕石の衝突は、想像を絶するものだったと思われます。
その影響は長時間に及ぶわけです。太陽光が遮られ、さらに火山噴火を誘発します。その結果、上述しましたように地上の植物の多くは炭酸同化作用(光合成作用)が出来なくなり、さらには気温も低下し、白亜紀の末期のケースでは、まず草食恐竜の大半が絶滅し、草食恐竜を捕食して生きていたティラノサウルスのような肉食恐竜も、そしてその他の生物(動植物)もまた絶滅することになったと考えられるのです。
日本には恐竜一筋、研究に打ち込んできた研究者が大勢おります。また、恐竜好きが高じて、自称恐竜博士を名乗っている方も多いのですが、恐竜博士と言えばこの方をおいてほかにはいないといわれている恐竜博士、その人が国立科学博物館の「2019恐竜博」を担当した真鍋真氏(1959- :現在、国立科学博物館標本資料センター・センター長、群馬県立自然史博物館・特別館長)でしょう。
真鍋氏の著された書物に、「隕石が地表に衝突した直後の影響として大きいのは、まず、熱だ」と指摘されています。また、「落下を目撃できる範囲内の可燃物は、熱放射で自然発火し焼き尽くされてしまう」そうです。真鍋氏は、『恐竜学』(学研プラス、2020年。)において、約6600万年前に巨大隕石が地球に衝突したことはまちがない(139ページ)と、述べています。