人種とは・日本人の昔を探る(4)
1.人種と民族(その1)
人種について
人種の問題は、いろいろ難しい考え方が絡んできてまとめるのはすんなりとはいかない、と言うことを前にひと言触れたことがあります。その難しい問題にほんの少しばかりですが触れておきます。
最近、いままで勉強してきましたナウマンゾウに関する小論と言いますか、拙いエッセイを口語調、このブログを書いているのと同じ口調、つまり「話し言葉」でまとめてみました。そのとき、ナウマンがゾウ類の分類で用いたドイツの解剖学者、ブルーメンバッハ(Johann Friedrich Blumenbach:1752-1840)に触れた覚えがあります。
ブルーメンバッハは、ゲッティンゲン大学の教授でした。60年も博物学や解剖学を教えていた学者で、近代動物学、解剖学の創始者と言われ、日本でもよく知られています。
今日では、そのブルーメンバッハも、「古典的な人種分類」を行った19世紀の比較解剖学者として紹介されることがあります。何か過去の人と言った感じで寂しいです。
さて、人種と言いますと、ヒトの「種」の特徴的な「分類」と結びつきますので、難しい問題が絡むのです。
「種」を示すには、その特徴を示さざる得ないのだと思います。肌の色、目の色,毛髪についても黒髪とか、金髪とか,頭蓋骨の形、鼻の形,特にこれが問題なんです。たとえば、日本人の鼻の形には、だんごぱっな(鼻先に厚みがあるタイプ)、あぐらぱっな(胡坐をかいて座っているような、横に広がっているタイプ)、魔女ぱっな(鷲鼻:美人鼻)などいろいろあります。そして身長による分類や血液型による分類もあります。
本筋から大分逸れてしまいましたが、先のブルーメンバッハの分類に戻りますが、彼は1775年に人種に関する論文を発表しています。それは頭蓋骨の形の比較研究を基に、コーカシア:白色人種、モンゴリカ:黄色人種、エチオピカ:黒色人種、アメリカナ:赤色人種、マライカ:茶色人種の5種の人種に分類したと言われています。
調べて見ますと、ブルーメンバッハの1775年の論文は、どうもラテン語だったとも言われています。
日本では、人種を単に生物学的特徴を示す分類としてだけでなく、文化的特徴をもつものとしても扱われて来ました。この点については後節において言及したいと思います。
ところで、20世紀の後半になりますと、遺伝学的にも生物学的にも「人種」は全人類が一つの種であり、ホモ・サピエンスに属するものだ、と言う考え方が大手を振るようになりました。要するに、「人種は存在しない」、と言うことです。この考え方は、フランスの分子生物学者で、フランス国立科学研究センターのベルトラン・ジョルダンの説です。
注:次の更新までに、しばらく時間を要します。