素人、考古学・古生物学を学ぶ

人類の起源・進化・移動や太古の昔、日本に棲んでいたゾウ類にも関心があり、素人の目線で考えてみます。

素人の考古学:抄録・人の移動、その先史を考える(その4)

2015年05月05日 10時25分29秒 | 人類の移動と移住

 

抄録・人の移動、その先史を考える(4)




〔以下の記事は、小生がこれまで扱ってきた「人の移動史」(日本人の出移民小史)から、ふとしたことで、人の移動、その先史 を専門家の孫引き・後追いで考え るようになり、ノートを作成する気になったもので、老化予防のために「80過ぎての手習い」といったものです。〕  


(1)人は移動する生き物

3)新人をめぐるアフリカ単一起源説について

新人の起源めぐっては専門家の間でも見解が分かれている。分子人類学の進歩で、DNAの解析が高質化したこともあって、その結果、現在のわれわれと同じ世界に住む人類は、すべて20万~10万年前にアフリカで誕生したと考えられるようになった。

その後、7万~6万年の長い時間を経てから誕生した人類は、アフリカを出て世界各地へ拡散・移動したとする説で、すべての現代人(新人)はアフリカに出現した単一の祖先に由来するという分子遺伝学者アラン・ウイルソンらのグループの研究に依拠したもので、これが「新人」のアフリカ単一起源説が支持される所以であるとされている。

宝来聰『DNA人類進化学』によると、既述のアラン・ウイルソンらの研究グループが「現代人147人のミトコンドリアDNAの多元構造解析と、それに基づいた系統樹の存在だとし、それ(系統樹)では、「アフリカ人の一部が系統樹の根元から枝分かれし、続いて他のアフリカ人とすべての非アフリカ人(ヨーロッパ人、アジア人、オセアニア人)が枝分かれしている」(宝来聰『DNA人類進化学』・岩波科学ライブラリー52・1997、64頁参照。)。このことに注目したアラン・ウイルソンらが現代人の祖先をアフリカに求める『アフリカ単一起源説』を強く支持している主張の根拠となっているのである。

要するに、「世界中の現代人は、ホモ・サピエンス(新人)という一つの種に分類されている。新人は、10万年前ごろにアフリカで誕生し、6万年ほど前からユーラシア大陸に広がり始めたと考えられている。

新人は、旧人に比べるとはるかに進歩した技術を持ち、急速に移動範囲を広げ、世界中へ拡散して各地の現代われわれの祖先となった。つまり、世界中のどの現代人集団も、ほんの数万年前までは同じ集団の仲間だった」(国立科学博物館編『日本人はるかな旅展』による)と言うのだ。

ここに「進歩した技術」とは、5万年前頃から原石を磨き、石刃を研ぎ、薄刃で縦長の獲物の皮を剥ぐのに役立つ狩猟用道具に進化が見られたし、また次に移動手段の進化、その一つが旧石器時代にはなかった毛皮で作ったと思われる履き物の進化などが遺跡から発見されていることから新人の技術の進歩が考えられるのである(西秋良宏「新人に見る移動と現代的行動」(印東道子『人類大移動 アフリカからイースター島へ』・2012、172頁。)。