電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

台湾製香港映画

2008-08-16 23:46:38 | Weblog
今日は『カンフー・ダンク』の字幕版を劇場で観るために、有楽町前のシネカノン有楽町2丁目劇場の夜7時の回に行ってきました。ぎりぎりに入ったのですが、お客さんは半分ぐらいの入りで、客層は女性がだいたい9割で、あとは私のような男性一人の客層でした。
さて、この『カンフー・ダンク』は、台湾、香港、中国(上海)の中華圏合作映画となっていますが、監督がチュウ・イェンピン、そして台湾側の会社が長宏ということは台湾が中心の映画といえるでしょう。この長宏とチュウ監督といえば、1990年代前半に作られた台湾製香港映画を思い出しました。当時は香港映画がバブルで、海外の黒社会系が多くの映画製作会社を作ってマネーロンダリングしたり、いろいろ事件起こしたりしていましたが、台湾のテレビ、ビデオ、興行会社が出資して、香港スターを台湾に引っ張ってきて映画を作っていた時期がありました。それがいわゆる台湾製香港映画であり、その製作ビッグ3が長宏、學者、そして龍祥でした。長宏はチュウ・イェンピン監督で金城武やジミー・リン主演などの作品、學者はウォン・カーウァイ作品の『大英雄』といった作品に、そして龍祥はツイ・ハーク監督作品に出資してました。この3つの台湾の会社は台湾のエンタテインメント界を仕切っているというか、長宏と學者は特に●×△がらみなのでドキっなのですが、とにかく『カンフー・ダンク』の映画の作りにバブル時代の台湾製香港映画を思い出したのでした。それはきっとその時代の作品を観ている人にはいろいろ感じるところがあると思います。(香港は英皇が出資してますが)
作品は、ジェイ・チョウほかのイケメンスターたちやバスケシーンが見所ですが、個人的には彼らの脇を固める俳優陣にウケました。エリック・ツァン、ン・マンタ(呉孟達)、レオン・カーヤン(梁家仁)、エディ・コー(高雄)、ウォン・ヤッフェイ(黄一飛)、そしてケネス・ツァン(曾江)といった香港映画のベテラン俳優たちが顔を出しているところがこの作品のミソで、クンフー学校の師父の一人を演じるレオン・カーヤンの風体がサニー千葉にそっくりだった(私はヒゲ面の顔がそう見えました)のには、きっとクンフー映画ファンにはウケるでしょう。
クンフーとスポーツの合体といえば『少林サッカー』をイメージしますが、『少林サッカー』の試合のシーンはCGを駆使した漫画的なシーンでしたが、この『カンフーダンク』の試合のシーンは『少林サッカー』よりリアリティを感じさせるシーンになっています。『少林サッカー』に出ていたン・マンタとウォン・ヤッフェイが出演していることもミソですが、この二人はシンチーと袂を別れた人たちなので、そうゆう部分からもこの作品、『少林サッカー』に対してのアンチテーゼがあるような気がします。それを感じるのはセリフの中だったり、チームでクンフーを使えるのは主人公だけだったりと、かなりまともな作りになっています。(ただ、どうやって最後勝つかというところはありえね~ところもありますが。)またこの作品がただ単に面白いということだけでなく、感動と共感というポイントが最後にあり、そこがこの作品のよさといえるでしょう。
面白いことに、台湾や中国では大ヒットしましたが、実は香港ではあまりよい数字をあげていません。それは冒頭でお伝えしたように、この作品が90年代に作られていた“台湾製香港映画”に共通した部分があるからではないかと思いました。それはどういったことなのか、そこからこの映画を観ても、非常に興味深く観れると思います。1回目は素で、2回目は役者で、そして3回目は比較で、そんな見方でもこの作品はいろいろ楽しめる部分が満載です。
オリンピックにかくれた公開になってますが、皆さん、お早めに観に行ってください。(入りの状況から早く打ち切られる可能性もありますので)