島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

高速道路の無料化問題を考える ⑥

2009-10-05 23:47:42 | クルマ社会の問題
 高速道路使用無料化を公約している同じ民主党政権が高速道路建設予定路線について工事実施凍結を打ち出している。
 これにより、地方の高速道路建設促進派はかなりの打撃を受けていることであろう。
 彼らは「高速道路の必要性」のを「命の綱」とか「生命線」との言葉により訴えることがきわめて多い。つまり、救急救命のための車輌(必ずしも救急車ではないようだ)が迅速に遠隔地の病院に到達するには高速道路が不可欠だという。
 しかし“観光振興”が必要性の第一として挙げられることはまずない。
 山間僻地に住む家庭に急病人が出て救急車も間に合わない場合は自家用乗用車に急病人を乗せて離れた町場の病院に高速道路経由で運ぶこともあるだろう。
「急病人や怪我人の迅速な搬送」が高速道路建設の“大義名分”の第一として訴えられると行政はとたんに弱くなる。
 だが、せっかくの高速道路が頻繁に渋滞を繰り返すようでは、救急車はむろん、急病人を乗せた一般車輌にとって高速道路は「命の綱」としての役割を果たせなくなる。
 高速道路は大都市圏に近いほど1000円乗り放題導入のはるか以前から渋滞が日常化していた。ましてや無料化されれば、さらに渋滞は頻発するようになるであろう。
 どうして高速道路でも渋滞するのかを、料金所があるからだとか、さらには昇りになるとドライバーは無意識で減速するからであるとかの“研究”結果までが報告されている。しかし、そんなややこしい因果論を持ち出すまでもない。
 要するに、不要不急の一般車輌の高速道路の乗り入れが多過ぎるから渋滞が多く発生するのである。
 どうしても高速道路の必要性の第一を持ち出すならば、乗り入れる車輌に明確な優先順位を設定し、かつ交通需要管理を厳格化すべきであろう。
 即ち、第一に救急車などの緊急車輌。第二に、定時性が肝要なバスなどの公共交通車輌。第三に、トラックなどの営業用・業務用の車輌とし、乗用自家用車は最後に位置づける。[※身障者等が乗車の「福祉車輌」も高位にランク付けられるべきであろう。]むろん、緊急車輌は無料か低料金、そして自家用車は高料金にする。こうすれば、不要不急の車輌の乗り入れは激減し、救急車はスムーズに走行できることになろう。
 
 
 


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