島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

自転車道も大切だが街路樹も大切

2012-01-28 23:17:21 | クルマ社会の問題

 先日、国土交通省(山形河川国道事務所)が社会実験中の自転車道(東側に南北双方向)がある国道沿道の3つの商店会に対して提案した案のうち両側に片側通行の自転車道を設置する案についてもすんなりとは承服し難い点が幾つかある。
 一つは、車道との境界に「縁石」を連ねることについてである。
 現在の社会実験中は境界にポールを並べている(当初はポールとポールの間に縁石代わりのものを嵌め込んでいた)が、花笠踊りのパレードや初市などの毎年恒例のイベントがある時は外してイベントが広く開催できるようにしていた。
 しかし、もし新案にある縁石が外しにくいものだとすると道路利用のイベント開催は困難になる。CGによる予想図(下の絵図参照)を見る限り、どうもその縁石は固定式であり、外せないもののようである。

 二つ目は、現在は車道の西側にバス停を設けていたが、車道の両隣に片側通行の自転車道を設置する場合、バス停留所の設置は困難になる。なぜなら、バスに乗降する人は自転車道と縁石を跨ぐことになり、危険な思いをすることになるからである。
 三つ目は荷捌き車両のために歩道の幅をさらに狭くする箇所が出てくることである。
 これでは歩行者に犠牲を強いることになり、商店街のイメージを低下させる。
 むしろ渋滞覚悟で車道上に停車帯を設けるべきではないか。現在も西側部分だけに限定であるが、バスは停車できるようになっている。つまり、一方通行二車線のうち一車線の三分の一くらいは荷捌き車両の停車帯としておいて差支えなかろう。
 そのためにも、国道ながらも速度制限を20km程度の「ユックリズム国道」にして、歩行者・自転車優先の国道として全国にアピールしてはどうか。
 四つ目は、幅広い自転車道にするためには街路樹をすべて除去する必要があるとしていることである。
 いずれの沿道の商店街からは瀟洒な外観の店舗や歴史を感じさせる土蔵造りの店舗が減少する中で駐車場が虫食いのように増殖し、ただでさえ街路景観が殺風景で武骨化しているものの、街路樹の緑だけは街を通る人たちの心に潤いを与えており、そのために沿道商店街の良好なイメージをなんとか保持してくれていたのだが、街路樹がなくなると、沿道の景観はますます殺風景になり、商店街のイメージも低下してしまうのではないか。
 また、十二月から一月にかけて街路樹にイルミネーションを飾り、夕刻の商店街を華やかな雰囲気にしているが、それも不可能になる。
 自転車道は必要である。とりわけ歩行者の多いこの通りには歩行者の安全のためにも自転車道は必要である。
 しかし、自転車道のためにバス停の設置も困難になり、街路樹も撤去されるとすれば、両側に片側通行の自転車道の設置は問題が多いと言わざるをえなくなる。
 それゆえ、当面は現状こそ最良と申すべきかもしれない。
 むろん、現状とて自転車道の青いペンキは確かに景観上に好ましくないなど問題点がないわけではないのだが、ともかく、この問題の解決には時間をかけるへきであり、前回も申したとおり、性急に事を進めるべきではない。

自転車道の「あり方」決定を今年度中というのは性急過ぎ

2012-01-25 15:54:52 | クルマ社会の問題
 先日の記事でも紹介したように、国土交通省が山形市中心市街地の自転車道の「あり方」について沿道の3つの商店会に対し廃止を含めた3つの案を提示した。
 この提示に対し、商店会がどう対応するかを国土交通省は待っている。
 むろん、沿道商店会の意向を無視や軽視することはできない。
 しかし、自転車道のことなのに、行政は(当該道路は国道なので直接の担当は国土交通省)自転車利用者と自転車道の社会実験が始まる以前に歩道を走行する自転車のために安全な歩行を妨げられることが頻繁だった歩行者、とりわけ高齢者や障碍者の考え方を聴取する機会を設定しようとしないようにすら思われてならない。
 しかも、1月の前半に3つの案を提示して、具体案の決定は今年度中、つまり3月末日までにというのだから、これではあまりに決定までの期間が短か過ぎる。

 たとえ商店会だけの意向を採用するにしても、3つの案のすべてについてそのまま承認することは困難なのでないか。
 ましてや自転車利用者、歩行者(バス等の利用者を含む)の意見をも取りまとめるには一層長い期間が必要となろう。
 いかに商店会の意向が重要だとしても、国と商店会の二者だけで、しかも3か月足らずの短期間で決定するというのは望ましいとは言えない。
 しかし山形の自転車利用者と歩行者には商店主たちが組織する「商店会」のような組織がないから、彼らの意見を聴取するには困難が伴う。
 少なくとも歩行者については老人組織(老人クラブ連合会)とか身障者協会のような組織はある。また、自転車利用者については一番自転車の利用が多い高校生が通う複数の高校に生徒の代表(自転車通学の生徒)を出してもらうよう依頼したり、その他については公募するなどの方法が考えられる。

 この自転車利用者と歩行者の参加呼びかけは誰が行うのかについてであるが、山形の中心商店街を膝元にかかえ、その賑わい回復に最も力を入れているはずの山形市役所が行うのがふさわしい。
 いかに道路自体が国道(13号)だからといって、この自転車道問題を国土交通省に任せっきりということは許されない。せめてこのくらいのことは山形市が行うべきではないか。

 もう一度言いたい。
 この自転車道の在り方の決定はもっと時間(期間)をかけるべきである。

◆写真は積雪期の自転車道 
このように車道はすぐにでも除雪されるが、自転車道の除雪は後回しにされるという問題も付きまとう。このことなども自転車利用者から意見を聴取する機会を設けるべきではないか。
 

自転車利用者不在!?の自転車道論議(2)

2012-01-17 23:28:40 | 原子力発電所
すっかり鳴りを潜めていた感のあった山形市中心商店街の自転車道問題がしばらくぶりでニュースになった。
 今日、自転車道「社会実験」の主導者たる国土交通省が沿道の3つの商店界に提示した今後の自転車道の在り方についての3案は姉妹ブログ「山形の過去、現在、未来」の本日付けの記事の通りである。
http://blog.goo.ne.jp/rekishi-huukei

  ↑ 写真1  国土交通省が提示した第1案

  ↑ 写真2  国土交通省が提示した第2案

  ↑ 写真3  第1案の立体図案(CG)

 さて、自転車利用者、歩行者、バス等による来街者が意見を述べる機会はもう無いのだろうか。

ともかく、某商店会の方がた、クルマ利用者優先の考え方から脱却する好機ではないか。
 自転車工業会でなく「自動車工業会」がクルマと自転車利用者の双方の安全を図るためにも自転車道の設置促進が重要とのことで、行政に要請している時代であることをお忘れなく願いたい。

 「自転車利用者不在!?の自転車道論議(1)」については姉妹ブログ「山形の過去、現在、未来」(アドレスは最初の写真の上) により必ず閲覧願いたい。

事故原発作業員に犠牲者が出ない不思議

2012-01-13 14:59:25 | 原子力発電所
 福島第一原発の事故発生から早くも10か月。
 福島県民はむろん、日本国中が放射能被害を心配する騒ぎ(失礼な言い方かもしれない)はとどまるところを知らない。
 事故原発からかなり離れた福島市でも放射線量がかなり高いということで、福島市と近辺から山形県内に避難する若い母子たちが後を絶たないでおり、現在の山形県政の中でも福島県からの避難者対策が最重要課題とまでなっている。
 福島県産どころか東北地方や北関東の産物というだけで、農産物であれ水産物であれキノコや木材などの林産物であれ工業製品であれ、風評被害により売れ行きが悪い状態も続いている。
 また、観光などのサービス産業でも客足はすこぶるよろしくないために、山形県の温泉旅館などの観光関連業界も東京電力に賠償を求め初めている。
 さらに放射能汚染などほとんど低レベルしか考えられない岩手県、宮城県北部の三陸地方の津波被害で生じた瓦礫の県外処分すら受け入れ自治体の住民による放射能汚染を理由とした反対で進まないようである。
 しかし、不思議に思うのだが、それほど放射能が恐ろしいのなら、福島原発で事故沈静化のため奮闘している膨大な数の作業員の中から犠牲者が出たというニュースを耳にしたことがないのはどうしてなのか。
 むろん、作業員の方々は作業中は防護服を着用しているし、同じ人が連日、長時間作業にあたるということはない。
 しかも寝泊りは現地からやや離れたいわき市の宿舎であり、通勤は貸切のバスが手段である。
 事故当時から昨年末近くまで所長であった吉田氏は病気療養のため所長の職を離れたが、放射線との関連は希薄だという。
 事故原発の間近では言うまでもなく、東北新幹線が通る郡山市などの浜通りでも放射線量はきわめて高くなるらしいし、事故原発の現場での放射線量は致死量になるはずであるが、いくら頑丈な防護装備で短時間作業であれ、高い放射線量により急性の悪性疾に陥った作業員が生じたという報道に接したことはない。
 それが福島原発事故を「チェルノブイリ以上」であり、迅速かつ徹底的な除染が必要と主張する数多い識者の中からすら福島の作業員の被曝による犠牲者や重篤者発生の告発が一件も出ていないのが不可解でならない。[もし出ていたとすれば私の認識ミスになる。]