島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

自転車レーンはなぜ必要か(7)

2010-09-28 22:57:40 | 地球温暖化
 昨日の記事と同じような内容になるが、あえてもう一度述べたい。
 自転車レーンがなぜ必要か、その理由には幾つか挙げられるが、何といっても自転車は徒歩よりは幾分早い車両でありながら、二酸化炭素を排出しないからである。
 もし、地球温暖化なるものが「まゆつばもの」であり、「荒唐無稽」のものでしかないとされるなら、世界中の自動車業界が凌ぎを削ってハイブリッド・カー、電気自動車、水素自動車(燃料電池車)の開発と売り込みに躍起となるはずがない。
 やはり自動車業界自体が地球温暖化の進行は確かなこととして大変な危機感を抱いているのである。
 しかし、以上の「エコカー」がほとんど「エコ」にならないことは当ブログの過去の記事でも何度か述べたとおりである。
 しかも、いかに「エコカー」とてこれらのクルマが街に溢れれば、渋滞は常に発生するだけでなく、事故の危険性も以前と変わりがない。
 それよりは自転車の方がよほどエコであることは確かであり、事故が起きても殺傷力はクルマの事故と比べて格段に小さいので、やはり自転車こそ勧められるべきものであろう。
 本気で「エコ」に取り組み、地球温暖化を脅威と感じる者は「クルマから徒歩・自転車、精々公共交通機関利用への転換」を実行すべきであろう。
 クルマを常用しながら「エコ生活」や「エコな街づくり」を提唱する人士は数多いが、それでは喫煙常習者が禁煙を呼び掛けるのと同じようなものである。
 

自転車レーンはなぜ必要か(6)

2010-09-27 21:41:10 | クルマ社会の問題
 ブログ主お得意の不可解な絵図の組み合わせ。
 山形の自転車レーン問題とほとんど関係が無いような取り合わせだが、やはり自転車レーンと関係がないわけではないから、このシリーズで採り上げたのであろう。
 左上は言うまでもなく中国のシンボル「天安門」。
 左下は尖閣列島の中心「魚釣島」の位置図で、右下は魚釣島の姿である。
 まさしく現在、尖閣諸島周辺波高しの状態は当分続きそうである。
 さて、右上には4台の自家用車の姿があり、「エコカー」とある。ハイブリッドカーである。
 天安門は中国政府を表しているが、中国政府は尖閣列島問題をめぐり日中間の経済交流などを始めとして様々な強圧的な態度をとり続けている。その中の一つとして中国で採掘されるレアアース(希土)の日本への輸出停止まで命じたとも言われている。
 レアアースは電気自動車などエコカーのモーター製造には不可欠な原料として日本の自動車工業会にとってはノドから手が出るほど欲しいものである。
 地球温暖化などどこ吹く風のノーテンキな生活スタイルをとり続けているのは一般のユーザーであるが、自動車業界がハイブリッド・カーや電気自動車の改良と開発に躍起なのは自動車業界自身が地球温暖化を確かに脅威と感じている表れと思える。
 だからこそレアアースの確保に支障が生じる事態は日本の自動車業界にとってまことに困ったことなわけである。
 もっとも火力発電が主力のまま電気自動車が走行しても、やはり二酸化炭素の排出量は膨大のままであり、それゆえ地球温暖化抑制にはさほど貢献するとは思えない。
 それゆえ、エコカーであろうとなかろうと、クルマの走行量が多い限り地球温暖化抑制にはつながらないのであり、やはり自転車こそが「真にエコな車両」なのである。
 日本人の多くが「クルマから自転車への転換」を図るならば、レアアースの禁輸措置など怖れるに及ばない。
 クルマ社会のまま地球温暖化抑制を図ろうとするからレアアース輸入が不可欠となる。
自転車レーンの廃止を一番喜ぶのは中国政府なのかもしれない。

自転車レーンはなぜ必要か(5)

2010-09-24 07:21:31 | クルマ社会の問題
 山形中心街の自転車レーン「廃止」運動を始めたNPOはもともと中心市街の「賑わい回復」を目指す事業を行うために近年設立されているが、レーン廃止を主張する理由は自転車レーンは中心市街を衰微させるだけのものだからだという。
 そして現実に「客入り」がかなり減少した店舗も多いのだという。
 その直接的要因は何と言っても自転車レーンのためにクルマの渋滞が激しくなり、そのためにクルマでの来街が億劫になり、中心街よりは郊外の新興商業ゾーンを選ぶ市民が増えたためではないかというのである。
 だが、同じ沿道でも客入りと売り上げがかなり増えて店主と店員の顔が恵比須顔になっている店舗もあるという情報もある。
 しかもその客入りが増えた店舗には瞬時の駐停車も困難な自転車レーンと隣接している東側の歩道沿いの店舗もあるのだから、必ずしも東側の店舗が自転車レーンのために商業的に不利ではないどころか、レーン設置により多少なりとも増えた自転車での来街者が訪れる店舗も少なくないはずである。
 つまり、自転車レーンとの関連の有無はわからないが、とにかく客足が増加した店舗もあれば、客足が減少した店舗の双方があることは確かであろう。
 そこで、このNPOが言う「客足の減少」のデータ的裏づけと、その「客足の減少」と自転車レーン出現との因果関係の有無を把握できるものなのか知りたいところである。
 しかし、たとえ自転車レーンとの関係でクルマの渋滞が酷くなり客足が減少したことが確かだとしても、そのまま自転車レーンだけを「悪役」にすべきではない。
 現在の形の自転車レーンができる以前からこの通りでの渋滞は日常茶飯事であった。
 つまり、クルマの渋滞の主要因はクルマが多過ぎることであり、多過ぎることであった。
 自転車レーンのためにクルマが渋滞するのではなく、沿道の店舗等に無用の「通り抜け」だけのクルマが多過ぎるからいつも渋滞が発生するのではなかったか。
 自転車レーンが無く歩道と直接隣接する車道の西側部分にバスやタクシー、荷捌きの貨物車などが停車すると、車道の残りの東側部分の1車線だけの車線となるから渋滞が激しくなるのだと当NPOは言う。
 だが、事情は以前と現在とは基本的には変わりがないのだ。
 以前から車道部分の左右の路肩面が自転車の通行帯となっており、その左右それぞれの幅の合計は現在の双方向自転車レーンの幅員とほとんど変わりがない。
 異なるのは車道と自転車通行帯とを立体的にの区画するボラード(棒杭)の有無であり、以前はボラードがなかったために、左右の自転車通行帯に駐停車のためのクルマが侵入しやすかったのである。そのために以前の自転車通行帯は自転車にとって危険が大きく、自転車レーンとしては事実上「半死状態」であった。だからほとんどの自転車は歩道を走行していたのである。

写真は東欧チェコの首都プラハでの自転車交通推進運動の模様。市民の自転車熱の高まりにより自転車専用道路の整備が進められ、カーフリーデー(ノーカーデー)まで実現された。鉄のカーテンの内側であったために民主主義の発達が遅れたチェコでも市民による「脱クルマ」の動きが加速している。

自転車レーンはなぜ必要か(4)

2010-09-22 23:21:56 | クルマ社会の問題
 山形の自転車レーンの「廃止」運動をやっている街づくりNPOは署名が4千人台集まった旨報告かたがた今日山形市長に廃止を要望したとニュースで報じられていたという(これはこの問題に関心の深い知人からの電話での知らせで、私ブログ主は見ていない。)
 山形市長は昨年の「自転車走り初め」にも参加し、祝辞を述べているが、廃止要望のNPOに対してどう応答したかは知らないが、むろん山形市だけの判断で廃止を決めることはできず、警察、商店会、国土交通省、障害者等が訪れ易い街づくりを求める団体との協議を重ねた上で「存続、見直し、廃止」を決めることになる。
 ともかくも「街づくりNPO」と聞けばたいていは高齢者など歩行者等の「交通弱者」に優しい街づくりを目指し提言する団体のことを連想するものだが、この山形の団体は「クルマの渋滞がひどくなってクルマでの来街者が減少した。クルマでの来街者も大切なお客様。」ということでクルマ利用者尊重のゆえに自転車レーン廃止を強く主張しているから街づくりNPOとしてはかなり異色の存在となるのかもしれない。
 しかし、自転車レーンのあり方の見直しならまだしも、単純に廃止を主張するとはあまりにも短絡的発想と言わざるをえない。
 クルマでの来街者(多くは買い物客)に対して「クルマから公共交通、徒歩、自転車などへの転換」を推奨したり、市長に面会を求める場合は自転車レーン廃止よりも「市民に対してクルマの乗り控えの広報」を要望する方がはるかに適切ではないか。
 地球温暖化抑制の観点からもマイカー抑制は喫緊の課題のはずである。

約30年以前に山形市でも「ノーカーデー」の取組みがあったが、上はその際の山形市広報紙のよびかけ漫画
 現在より格段にクルマの数も渋滞も少なかった30年前でさえ試みられたノーカーデー(現在では「カーフリーデー」)は現在こそはるかに必要なはずである。

自転車レーンはなぜ必要か(3)

2010-09-20 23:09:09 | クルマ社会の問題
道路交通法では自転車は「車両」だから「車道」を走行すべきものと記されている。
 だから、自転車は「歩道」を走行することはできないわけである。
 しかも最近では警察庁が自転車は歩道でなく車道を走行するよう念を押している。
 だが、警察庁も自転車が車道を走行することが危険度が高いことは充分にわかっている。
 だからといって、警察自身が法規を度外視して自転車が歩道を走ることを勧めるわけにはいかない。しかも歩道で自転車が歩行者に危害を加える事故が激増している。
 ましてや歩行者数が他の地域の道路と比べて圧倒的に多い繁華街の歩道での自転車走行は絶対的に許されるべきことではない。だからといって、いかに車道での自転車走行は合法的とは言いながら現実的には危険度がきわめて高い。
 しかも山形市の中心商店街の「ほっとなる通り」ではクルマの通行量も多いから、それに比例して自転車事故の危険性も高い。
 こうして帰結的に要請されたのは「自転車レーン」の設置である。しかもボラード(棒杭)や縁石などで車道と立体的に区画されたレーンである。
 前回も述べたが、この「ほっとなる通り」では以前から自転車レーンは存在していた。だが、車道との立体的区画がないために自転車レーンに駐停車するクルマが後を絶たず、ほぼ「死せる自転車レーン」でしかなかった。
 現在の自転車レーンの「廃止」を主張する団体は県議会と市議会にも請願するようであるが、もし実際に廃止なった場合、歩道を走る自転車が再び多くなることは目に見えているから、これでは「道路交通法違反を推奨」する運動みたいになってしまう。  [続く]

 ※写真は自転車王国デンマークの模様。日本ではこのような子どもたちを安全に乗せられる自転車はほとんど見かけられない。自転車専用道路が縦横に整備されているデンマークならのことである。

自転車レーンはなぜ必要か(2)

2010-09-17 23:17:47 | クルマ社会の問題
 ◎ 姉妹ブログ「山形の過去、現在、未来」9月17日付けの記事から続く
http://blog.goo.ne.jp/rekishi-huukei/d/20100917← 必ずクリックによりご覧下さい。

 「自転車レーンの廃止」を主張するこの街づくりNPOはまさに地元の人間で構成されているから、当然この自転車レーンの過去(昨年11月以前)の状態は充分過ぎるほど記憶しているはずである。
 つまり自転車レーンは昨年11月以前にもかなりの年月にわたり存在していたのであるが、様態が現在とかなり差異があることは確かである。
 その差異の主なものにはどのようなものがあったであろうか。
(1)以前は車道の両脇の路肩の部分に1レーンずつ設置されていたが、現在は2レーンが車道の東側にのみまとめられ、車道左端と歩道の間には路肩がなくなった。
(2)以前は車道と自転車レーンを立体的に区画するものがなかったため、クルマの自転車レーンに進入とレーン内での駐停車が容易であったが、現在は数多いボラード(棒杭)により明確に区画されているため、駐停車のためのクルマの進入が困難になった。

 ところでそのNPOは単純に「自転車レーンの廃止」を主張しているが、「廃止」なのか「以前の状態に戻す」のかが明確でない。
 もし「廃止」なら、以前のような形だけの自転車レーンすら無くなることになり、それこそ以前にも増して歩道寄りに駐停車するクルマが多くなって、自転車は歩道しか走行できないことになり、それだけ歩行者の危険も昨年11月以前よりも増加する恐れが充分になる。

※写真は自転車王国デンマークやドイツの様子(6月1日の記事から写真のみ再掲)
 下には「クルマは自転車追い越し禁止」の表示

 ◎ 続きは「自転車レーンはなぜ必要か(3)」(近日、当ブログに掲載予定)にてご覧ください。

「我慢比べ」では小沢氏が大勝利

2010-09-07 09:57:57 | 地球温暖化
 水戸黄門の諸国巡りではないが、菅、小沢の両氏は「この異常猛暑を何と心得る?」
 自民党政権の時は首脳たちのノーネクタイ姿が支配的だったのだが、より庶民に近いはずの民主党政権になってからは真夏でも背広にネクタイ着用が支配的になって意外さを感じていたが、さすがに猛暑日続きの最近になって菅首相もネクタイを外すようになった。
 民主党代表選挙も近づき、両候補の街頭演説合戦の姿が見られるが、ここでも菅候補はネクタイなし上着なしである。これに対して小沢候補は恐るべき猛暑の中にもかかわらず背広にネクタイ姿であり、「太陽と北風」の太陽も小沢氏には敵いそうもない。
 でも、菅氏を含めどちらの候補からも地球温暖化対策が口にされてはいない。
 とくに小沢氏にとっては「地球温暖化なんぞどこ吹く風」だから猛暑の中でも背広ネクタイ姿なのであろう。戸外ですらそうなら、直射日光の射さない議事堂内でネクタイを外さないのは当然と言えよう。それなら国会内でのエアコンはオフにしてほしい。
 気象庁でさえ「地球温暖化」は禁句なのだから、エアコン自粛、マイカー使用自粛、つまりは高速道路無料化政策の撤廃につながりかねない地球温暖化抑制策に両候補とも真剣に取り掛かろうとしないのは当然の気がする。

※参考として下記URLをクリックしてご覧あれ!
  http://blog.goo.ne.jp/rekishi-huukei/d/20100830

公人には「温暖化」は禁句?!

2010-09-04 08:42:52 | 地球温暖化
 気象庁はついに現在の猛暑について「異常気象」であるとの結論を公表した。
 その要因として、「エルニーニョ現象の影響」「ラニーニャ現象」「北極振動」「偏西風」「太平洋高気圧」などの用語が並べられ、それらが絡み合って異常猛暑となっているとのことであるが、どういうわけか「地球温暖化」という言葉がなかなか発せられず、やっと会見の最後あたりで申し訳程度で地球温暖化による影響のことが言及された。
 私も含めて多くの国民がこの異常高温の最大の要因を地球温暖化と考えているようだが、気象のプロたる気象庁からはなかなか地球温暖化という言葉が出てこない。
 なぜなら地球温暖化は自然現象というよりは人為的現象であるがゆえにこの用語を多く使用すれば「経済活動」抑制につながりかねないと産業界あたりから陰に陽にブレーキがかけられているからのような気がしてならない。
 また、安易に地球温暖化を口にすると「非科学的!」「科学的根拠薄弱!」の烙印を押される恐れがあるから、「公人」は軽々しく口にすべきではないとされているようだ。
 さて、異常気象の直接的要因が仮に「偏西風云々」などであるとしても、その「偏西風云々」等の要因に地球温暖化があるのではないか。
 これではまるで犯罪の実行部隊だけを追求して、肝心の「黒幕」「司令部」突入を図らない捜査機関と似たようなものと言わざるをえない。