島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

◆無骨景観形成の都市計画の好例◆

2013-12-26 06:50:26 | クルマ社会の問題
「街角」という言葉には都市部の「引き立て役」といイメージが浮かび、過去にはロマンある小説の舞台にもなりうる存在であった。だが、現代では街角らしい街角をお目にかかることは少なくなっている。
その好例が2枚の写真で同一箇所であるが、左がBeforeであり、右がAfterである。
ここはかつて角地に左のような昭和レトロそのものの商業ビルがあり、ここの十字路と界隈のシンボル的存在でもあった。しかし都市計画道路の名による道路拡幅により解体され、隣のビルの無骨な側面が晒されて国道から丸見えになった。また、解体された旧店舗敷地の残余部が小さな空き地となった。
その後この空き地にポケットパークでも造られ、わずかでも植栽されるのかと期待していたが、ご覧のとおり小規模な青空駐車場となり、背後には無粋な広告看板が立てられた(写真右。現代の日本人には空き地活用としては駐車場化の発想しかないようだ)
この地は山形市の中心市街地でも特に中核的箇所なのだが、写真右のとおり「アート性ゼロ」の街路景観に「おさまった」わけである。以前は特に行政の関与なしに魅力的景観が形成されていた地区なのに、現代では行政主導により無骨な街並み景観となったのは皮肉である。
これも、クルマ走行の利便のみに配慮しての結果と言える。「クルマ村」は全市町村を巻き込んできたほど「原子力ムラ」をはるかに凌ぐ巨大さゆえであろう。

◆ハコモノ店舗の華麗な祖先◆
この4階建てビル(写真「左」)は一見何の変哲もないハコモノ(箱物)にしか見えず、しかも側面はまったくお色気なしの無骨な表情だが、実のところ1階は大人気の和菓子店。多くの市民がお目当ての○○焼きは早い時間に完売するから、人気アイドル並みの行列ができる。
 だが、この和菓子店の以前の、そして更にその前の建物だったら、多くの県外観光客も含めて更に長蛇の列ができていたであろう。
 写真は30年以上昔の撮影であり、建物がかなり傷んでいるのがわかるが、それでも風格充分である。しっかりとしたメンテナンスが施されていれば、たぶん今頃は山形市民自慢の観光スポットも兼ね更に長い行列ができていたに違いない。
 長浜ではないが、黒壁のバルコニーまで具備した洋風土蔵造りの店舗建設を思いついた山形の先人の心意気が偲ばれる。[※撮影時は洋服店に貸与していたようだ。また、電気店だったこともあったような記憶がある。]

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