ロミオ・マスト・ダイ

『ロミオ・マスト・ダイ』
（Romeo must die　アンジェイ・バートコウィアク監督　元奎武術指導　2000　アメリカ）



最近、関西ではリ－・リンチェイの映画がTV放映されることが多い。何かあった？
ファンにとっては嬉しいかぎりです。

ゆうべは深夜映画で『ロミオ・マスト・ダイ』が放送されました。３回目くらいかなあ、観るの。テレビは吹替えだったんだよね～残念ながら。リンチェイの英語が聞きたいのにい。


<あらすじ>
元刑事のハン（ジェット・リー）は、実は中国人マフィアのボスを父にもつ。かつて父の犯罪を見逃してアメリカに逃がしたため、服役していた。ある日、アメリカに住む弟の死を知ったハンは、香港の刑務所を脱獄して渡米する。弟は黒人と中国人のマフィア間の抗争に巻き込まれたのだった。事件を追ううち、ハンは黒人マフィアの一人娘（アリーヤ）と出会い・・・


要するに、＜ロミオ＆ジュリエット＞なわけですね。

リンチェイがハリウッドで主演した作品の中では、娯楽アクションの観点からみると、ものすご～くおもしろい作品です。リンチェイの美しく力強いアクションが存分に堪能できます。

功夫アクションを惜し気もなく披露して、またそれをとらえるカメラワークがいい！ところどころ奇妙なワイヤーアクションやCGがあるのが興醒めではあるんだけど（笑）、全般的には、安心して観られる。

何より、「アクションのためのアクション」になってないところがいいね。リュック・ベッソン製作の『キス・オブ・ザ・ドラゴン』なんかは、闘うことの必然性がない場面でまで派手なアクションがあって、個人的にはドラマとの乖離が気になってしまう。その点、『ロミオ・マスト・ダイ』はアクションがうま～くドラマにはまってるんです。

非常階段やせまい通路での闘い、これはまさに香港功夫アクションの常套ですな。目にもとまらぬ早技で、自分より30cmくらい背が高いアメリカ人たちを、「あっ」という間に倒してしまうリンチェイ。それを見ていたアリーヤ（役名を忘れてしもうた）が、「あらイカしてるわ、この人」的な熱いまなざしをなげかけ、リンチェイはただクールにほほえんで去っていく・・・ギャア～～～かっこよすぎる！！

アリーヤの部屋のバルコニーにリンチェイが忍んでいくという、ロミオ＆ジュリエットまんまな場面も。「何してるのよ、こんなところで！」「会いたかったんだ（I missed you）」というリンチェイの表情が、セクシー～～～！！

完全にミーハーリンチェイファンなわたしには、たまりまへ～ん。

さらに、父親との再会シーンでは英語でなく北京語で会話していたり、そのへんのリスペクトもちゃんとできています。ストーリーもよく練られている。

しかし。
観終わって、冷静にかんがえてみると・・・「これでほんとにいいのか？」
「安心して観られる」ことが、必ずしもいいのかどうか？

インパクトという点から見れば、『キス・オブ・ザ・ドラゴン』や『ダニー・ザ・ドッグ』の方が、後々に残るものがある。「グッとくる」ものがあるんです。

つまり、『ロミオ～』は、われわれがなじんで見てきた李連杰をハリウッドで再現しているようなもの。一方他の作品は、いままで見たことのないリ－・リンチェイ、見たことのないアクションが、ハリウッドやヨーロッパという新たな世界と融合して創造されている、といえるかもしれません。

もっとも、本作がハリウッドでの２作目だったことを考えれば、十分及第点といえるでしょうね。

監督のアンジェイ・バートコウィアクはキャメラマン出身。『スピード』やリンチェイのハリウッド進出第一弾『リーサル・ウェポン４』（なつかしい）の撮影も担当していたようです。映像面では、『ロミオ～』はきっと満足してもらえることでしょう。

DVDで観る場合は、特典映像をチェックしてね♪ 元奎が武術指導するメイキングがおもしろいです。リンチェイが表演を稽古するオフショット的な貴重な映像も見られます。

また、アリーヤが歌うテーマソング"Try Again"のPVおよびそのメイキングも収録。リンチェイも共演しているんですが、これがもうあーた・・・かっこいいのかっこよくないのって、どっちなんだってくらいにカッコイイ！！『燃えよドラゴン』の鏡の間のシーンを意識したショットもあったりして、ゾクゾクします。

そういわれてみれば、『ロミオ～』の本編もブルース・リーにオマージュをささげていると思われる場面がちらほら。やはり、すべてはブルース・リーからはじまったんだなあ・・・。ところで共演のアリーヤは、この後不幸にも飛行機事故にあい、若くして亡くなってしまいました・・・。


あ、もひとつ注文つけていいですか。リンチェイのワードローブがいまいちだぜい！