とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

クレージーキャッツの『大冒険』

2006年02月13日 19時38分51秒 | 日本的笑世界
『大冒険』(古沢憲吾監督 1965 日本)


「クレージイキャッツ結成10周年記念映画!」
…映画のオープニングに、こう出てくるんです。当時の表記は「クレージー」じゃなくて「クレージイキャッツ」だったのかな?

それにしても、おどろいたのなんのって。
植木等が、ここまでアクションができる人だとは思わなかった!
植木等が走る、走る!車の屋根につかまって走る!ビルにぶらさがる!馬に乗ってまた走る!列車の屋根にのっかって走る!
…こりゃあ、ジャッキー・チェンですよまるっきり。

<あらすじ>
世界各国で偽造紙幣が大量に出回り、国際経済にも深刻な打撃をあたえていた。今度はあんまり無責任でもない雑誌記者の植松唯人(植木等)。ぼろアパートの隣の部屋には、親友の発明家(谷啓)とその妹(団令子)が住んでいる。妹にホの字の植松が、彼女を追っかけ回している間に、ひょんなことからニセ札が日本にも出回っているというスクープをつかむ。特ダネで雑誌社は大儲け、ところが植松は偽造団やら警察やら、いろんな方面から追っかけられるハメに。植松の運命やいかに!?


いやあおもしろかったです!
オープニングからすでにスタイリッシュ。ニセ札の情報をつかんだ政府中枢の円卓会議から始まって、公安(?)、警視庁、所轄の警察へと会議がリンクしていく…いいですねえ、かっこいいですね。フリッツ・ラングの『M』みたいですね。

そしてなんといっても、中盤過ぎくらいまでの追いかけっこがすばらしい!日本映画で、ここまでのスペクタクルが実現できていた、ということに驚き。作り手の才能と、役者たちのキャラクターの強さががっちりヨツに組んだ結果、と言えるのでしょう。

『ニッポン無責任時代』は植木等のワンマンショー的映画だったけど、本作ではクレージイキャッツのメンバーそれぞれのキャラクターがしっかり立って、楽しみが倍増されています。

谷啓の鷹揚な発明家ぶりもいいですが、なんてったってハナ肇!どこまでもまぬけでのんきな刑事ぶりは、彼でなければできない!『ブルースブラザーズ』のジョン・キャンディ演じる刑事は、このハナ肇の影響あるんじゃないの!?(ぜひ見比べてみて!)
でもわたしはひそかに石橋エータローさんが好きなんですけどね。

構成の面では、ショットのつなぎ、緩急のつけ方に喜劇の真髄あり。たとえば植木等と警察がウワーッと派手な追っかけっこを展開して、「どうなっちゃうんだ!?」とハラハラさせといて…いきなり画面は風光明媚な名古屋城(笑)。最高です。

わたしがやや「?」と思ったのは、中盤以降、ちょっと話が広がりすぎたことでしょうか。円谷英二による特撮…はいいけど、何だか途中から世界観が変わってしまったような。古沢監督は62年に『青島要塞爆撃命令』という、おそらくシリアスな戦争スペクタクルを、やはり円谷英二との協力で撮っているらしいので、それを引きずっちゃったんでしょうか。監督の趣味の世界にはまっちゃったのかしらん?この辺は意見がわかれるところかもしれません。

それにつけても、植木等の明るさって…
彼が「ガハハハー」と笑うのを見ているだけで、浮世の憂さもふっとぶってもんです。

この映画にゴタクはいらんですね。とにかく観て笑って堪能していただきたい!
おっと驚くタメゴロー…じゃなく、大物ゲストもいます。





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