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クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

細路祥

2006年11月28日 19時57分52秒 | 香港的電影
『細路祥』(My Son A-Chang 馮峰監督 1950 香港)


ブルース・リーの誕生日(11月27日)記念ミニ特集をやってます。

ブルース・リーが、われわれの知るブルース・リーになるはるか前、彼は香港で"童星"として人気を博し、0~18才の間に20本以上もの映画に出演しました。

1950年、李小龍はわずか10才で映画初主演を果たします。作品は、人気コミックを映画化したコメディ『細路祥』。

それまでさまざまな芸名を使っていた彼が、はじめて「李小龍」としてクレジットされたのも、この作品でした。

では、映画『細路祥』のはじまりはじまり・・・(ちょっと長いです)。


オープニング。工場で鉄鋼を鋳る火花の背景に、「鋼鉄は世界を破壊する機械にもなれば、人間を幸福にする機械にもなる」のメッセージが重なる(訳は四方田犬彦『李小龍の栄光と孤独』より)。

場面は変わって、児童福祉協会の会合。金満家の洪経理(李海泉、李小龍の父)が「小学校に寄付をします」と演説をぶち、満場の拍手を受ける。ところがケチな洪には寄付の意思などさらさらない。原稿を書いた秘書をしかりつけると「かっこつけるためですよ。みんなすぐ忘れます」と、こちらものんきである。


街では、ヤクザの飛刀李(監督の馮峰、馮克安の父)が闊歩している。李は「日本軍と闘ったオレにこわいものなんてねえ」と自慢しているが、実際強い。祥(李小龍)は、飛刀李のなわばりで漫画屋を営み、幼いながら家計を助けていた。

そこへ偶然、洪経理とその娘スーちゃんが通りかかる。スーちゃんが祥の漫画に読みふけっている間に、飛刀李の一味はわざと大騒ぎを起こし、そのすきに洪経理の財布とスーちゃんの金のネックレスを盗む。

警察がすぐさま飛刀李を追う。飛刀李はたまたま祥のボロ長屋に逃げ込む。祥は機転をきかせて警察を追っ払い、飛刀李を助けた。「誰かにいじめられたらオレが必ず助けてやるからな」と約束して去ってゆく飛刀李。


夜になり、祥の叔父ホーが帰ってくる。ホーにはふたりの幼い子とともに、両親を亡くした甥の祥も育てていた。ホーはインテリで人がいいが、安月給の教師として貧しい暮らしをしている。

ふと、金のネックレスを見つけたホーは、祥が盗んだと思いこみ、叱りつける。ネックレスは飛刀李が落としていったものだが、祥はそれを明かさない。ホーは、報酬をかすかに期待して、翌日祥といっしょに洪経理の屋敷を訪ねる。

洪経理は財布がもどったと喜ぶが、ネックレスだと知ってがっかりする(笑)。ホーたちを邪険に扱う洪経理に、プライドの高い祥は腹を立てる。

ネックレスが戻ってよろこぶスーちゃんは、二人に何かお礼をしてほしいと駄々をこねる。しかたなく洪経理は、ホ-を秘書兼家庭教師として安くこきつかうことにする。また祥にはスーちゃんと同じ学校に通わせることを約束する。

ところが祥は生徒や教師にいじめられ、すぐに学校をやめてしまう。祥に教育を受けさせたいホーだが、しぶしぶ洪経理に相談。祥は洪が経営する縫製工場の小僧として働きはじめる。しかしそこでも古株の小僧にいじめられる。

洪の縫製工場は、洪の息子チャールズが管理している。不良息子のチャールズは密かに製品を横流しして私腹を肥やしていた。密売の相手は、飛刀李の仲間だった。


ある日、祥は意地悪な小僧にけがを負わせられる。同情した工場の女工たちは、利発な祥をかわいがるようになる。

女工らは経営者に昇給を要求していたが、聞き入れられず、業を煮やしていた。そこで洪に手紙を書くことになる。祥は秘書であるホー叔父さんに届けてもらうことを申し出る。

工員のリーダー的存在のメイ姉さんが、祥の家で手紙の相談をした帰り道、チャールズがメイを待ち伏せていた。チャールズは前々から美人のメイをねらっていたのだ。

チャールズは無理矢理メイを車につれこもうとする。そこへ、チャールズの財布をねらってつけてきていた飛刀李たちが。チャールズを殴り倒し、殺してしまったと勘違いして、メイをアジトに連れていく。セクハラしようとするチンピラたちを、飛刀李は制する。「オレ達は盗みはするが、女にわるさはしない」


飛刀李にあこがれる祥は、彼を「師父」(=師匠)と呼び、慕う。ナイフ投げの名人の飛刀李から、技を教えてもらって大喜び。彼の影響を受けて、祥は立派な街の不良になる。悪さもおぼえ、家に帰らなくなってしまう。

ある日、ホー叔父の前に現れた祥は、いい服を着て羽振りがいい。秘書をくびになり、くたびれているホーとは大違いだった。それでもホーは祥に人の道を説く。

札束を叔父に渡そうとする祥を、はげしく叱り飛ばすホー。思わずナイフを出してしまう祥に、「やれるものならやってみろ。いままで育てたこの叔父を!」「刺すつもりなんてないんだよ叔父さん…」「もうお前とは縁を切る!」・・・泣きながら去ってゆく祥。ホ-は、がっくりと肩を落とす。


縫製工場では、とうとう女工たちがハンストを始める。チャールズと工場長は、飛刀李たちを雇って女工らを工場から追い出そうと洪にもちかける。しかし彼らは、飛刀李らが押し入ったところで警察に通報し、やっかいなヤクザ仲間をもお払い箱にしようと企んでいた。

依頼通り工場にやってくる飛刀李たちと祥。しかし祥は、大好きなメイ姉さんがいることを知り、一転彼女らを助けることにする。工場長らの企みを知った飛刀李たちは、乱闘のすえチャールズを倒す。工場長は飛刀李のナイフで負傷する。

報酬だけはいただこう、と盗みをはたらこうとする飛刀李を、止めたのはメイだった。かつて自分を守ってくれた飛刀李の義理堅さにうったえたのだ。改心した飛刀李は、ひとり罪をかぶり、仲間や祥を逃がす。「どこまでも師父についていくよ!」と言う祥に、家に帰れとさとす飛刀李。


田舎でいちからやり直す決心をしたホーと子供達。貧しいながらも豊かな心をとりもどした彼らは、線路づたいに明日へむかって歩いていく。

<劇終>


いかがでしたか?
李小龍の達者な演技や愛らしさを堪能できるし、映画としてもとってもおもしろいです!


次回は、思索家としてのブルース・リーをとりあげます(予定)♪





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