今回のセミナーでは、基礎練習の担当として指導にあたりました。職業アナウンサーとして必要な基礎力というのは、まず大きな“声”です。どんな状況でも、言葉の全てがしっかりと聞こえる必要があります。さまざまな表現力を駆使するためにも必要ですが、聞いている人に確実に聞こえる声を作らなくてはなりません。次に、正確な“発音”です。口の形や大きさ、舌の長さ、唇の厚さ、歯並び、などなど人によって様々。理想的な口としては、口腔が広く大きいこと、歯がしっかりと生えていて並びがきれいなこと、舌は長からず短からず薄目、唇も大きく開き薄いほうが良いのです。でも、その全てが揃っている人なんてめったにいません。どこかしら、不利を抱えているものです。結論から言うと、どんなに理想的な形をしていない口であっても、正確な発音ができれば問題はないのです。つまり発音の練習というのは、不利な形状の口で如何にして正確な発音をするかということになり、それにつながる正確な発音を聞き分ける“耳”の力をつける、そこから始まるのです。生徒がどのような発音をしており、正確な音とどう違うのかを、とりあえずは私の発音と比較することによって聞き分ける、それが発音の練習では最初に取り組むことなのです。
ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/