目の前の人にはさほど大きな声で伝える必要はなく、したがって自由に言葉が動かせる事は前回述べました。では大勢の人に言う場合はどうでしょう。大きな声で張り上げることになりますよね、その場合の言葉の音の動きは高い方にばかり集中しがちです。いわゆる“演説”型です。それは話し手の必死さは伝わりますが、肝心の話の中身が解りやすいかどうかは疑問です。しかし、大きな声で音を動かすことができれば、大勢の人にも話の中身の理解は進むと思います。ナレーションは、それと同じです。相手にしっかり届く声を、自由に動かす事が出来れば、様々な原稿(内容)にも対応が可能となるでしょう。で、問題は、それはかなりの鍛錬を重ねなければ難しいということです。楽器としてしっかりとした声が出せること、その楽器を自在に使いこなすこと、さらにその鍛錬をすると自身に足りないもの(声)が見えて来て、それを解決する方向に持って行かなければならないのだ、ということもわかってくるのです。これは若いうちが最も有効である、と言うことも付け加えておきたいと思います。
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