ナレーター・アナウンサー養成塾

ナレーターとアナウンサーの養成と、現役プロのスキルアップの為の塾です。

生放送を担当する効果

2007年02月25日 | Weblog

2001年から制作協力をさせて頂いている山梨県甲府市にあるコミュニティ放送局のFM甲府。現在は土曜日の午後ワイド(生)に携わっています。この4月から、そのパーソナリティが交代することになりました。塾の教え子が担当しているのですが、今回が三代目になります。以前は数人で交代する日曜の番組もあったのですが、現在はこの一番組みのみです。これまでを振り返ってみていつも驚くのは、毎回担当した生徒が格段にナレーション技術が上達することです。FM甲府に送り込むのは、ほとんどがナレーションの勉強は初めての生徒。番組を担当して、普段の稽古の状況と違うことは「集中力が必要」だということではないでしょうか。マイクの向こう側の相手の存在を、しっかりと意識するようになるからでしょう。稽古の時というのは、その気持ちはあってもなかなか難しいものです。そうすると、しっかりした喋りができるようになるのです。例えば、天気予報やリクエスト葉書(メール)の紹介、曲の紹介などなど・・・。自分が喋っている相手が見えるか見えないかは、ナレーションにとっても重要なことです。ナレーションというのは“芸”でも“見世物”でもないと考えています。もちろん手持ちの技は必要ですが、それを見せるものではなく、その技を駆使して中身をしっかり伝えること、または最大限に楽しんで貰うことと思っています。そういう意味では、番組を担当して確実な相手を見据えて話す機会が得られることは、とても有意義なことです。さてさて、今度はどんな効果が現れますか・・・。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏 http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


おそかりし由良之助・・・

2007年02月12日 | Weblog

昨日は、歌舞伎座で上演中の二月大歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」を観てきました。通し狂言ですから、一日通して観ればストーリーが流れでわかるというものなのですが、そこまでの時間も体力もありませんので、私が楽しませて貰ったのはお軽・勘平の五段目から大団円の討ち入りまでの後半です。ご存知のように忠臣蔵は仇討ちの芝居で、権力者(その当時は柳沢吉保)に反発する庶民の気持ちを反映し、喝采を浴びた演目。といっても露骨に実名を出すことはできません。したがって登場人物の名前は本物をもじったもので、大石内蔵助は大星由良之助、大石力は大星力弥になっています。「おそかりし由良之助!」とは切腹する主君のところに駆けつける時(芝居では間に合っている)に、観客がジリジリして思わず言った言葉だったのでしょう。昨日も年配の女性のお客さんが「エイエイオーって、最後には勝ち名乗りをあげるのねぇ・・・」と。すみません、勝ち名乗りというのは相撲で勝った力士が受けるものです・・・これは勝鬨・・・と心の中でつぶやきながら、こんな風にして言葉は広がっていくものなのかな?とも思いました。さて、昨日最も強く感じたのは、児太郎演ずる力弥の台詞と、ベテラン役者の台詞の音の動きの違いです。児太郎はまだまだ子供、「あーいー・・」というほとんど平坦な音の動きなのに対して、例えば片岡仁左衛門(寺岡平衛門役)の台詞の動きは対照的です。つまり、子供は音の動きが無いほど低年齢に、大人はその動きが大きく豊かなほど高年齢になるという訳です。でも歳をとればとるほど逆に動きは少なくなってくるのです・・・うーん、やっぱり難しい・・・。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏 http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


ONAIRチェック

2007年02月05日 | Weblog

昨日の日曜のスポーツ番組でした。女性アナウンサー(タレントから代わったばかり)の一言「これは末恐ろしい・・・」と。解説の年配男性の言葉(少々おふざけ入り)に対するものでしたが、その解説者は子供の成長を予想して言ったわけではなく、単に視聴者を楽しませるために遊びの意味での揺さぶり発言だったのです。彼女はその解説者の発言に対し、『そんな大胆な・・・』というくらいの気持ちで言ったのかとは思います。しかし“末”というのは将来を意味しており、“恐ろしい”というのは恐怖というより期待感の方が強い意味合いでしょう。例えば3歳の子供が、漢字を読み書きするような光景に出くわした時などに「この子は末恐ろしい・・・」と使うわけです。つまり、受けの言葉としては全くのところズレている訳です。本人は何も気付いていないかもしれませんね。このような“ズレ”の感じられる受けや会話、近頃はしょっちゅう耳にするのです。バラエティのタレントや芸人が、馬鹿さ加減を売りにしている場合はまだしも、一丁前の話しぶりで進行する報道・情報系の番組で多いから困るのですが・・・。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏 http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/