ナレーター・アナウンサー養成塾

ナレーターとアナウンサーの養成と、現役プロのスキルアップの為の塾です。

業界の長生き・・・

2005年07月28日 | Weblog

今日、あるプロモーションビデオのMAに立ち会いました。ナレーションをしたのではなく「立ち会った・・・」というのは、長年ナレーターとして仕事をしていると業界の付き合いも長くなり、制作スタッフだけでなく、例えばMAスタジオのミキサーさん、音楽を作る音楽屋さん、コピーライターさんなどなど大勢の方と知り合いになります。で、ビデオなどの制作に良いスタジオや仲間を紹介したりもするのです。アシスタントプロデューサーのような立場です。思い起こすと、昔はミキサー(オペレーター)の方は、そのスタジオに所属している会社員ばかりでした。ところが、私がこの業界に入った25年ほど前あたりから、スタジオを退社しフリーとなる方が出始めたのです。今でこそフリーのミキサーさんは多くなりましたが、その当時はごく少数です。今でもたまに顔をあわせると「お互い良く生きてるネェ・・・」なんて言葉を交わすのです。それだけ、生き死にの激しい世界だと言うことを感じていて、お互いを認めている会話なのです。でも、私なんかはまたまだ小僧っ子。だって、70歳代の大先輩が、何人もいらっしゃる、私より20歳以上も上の方々・・・・妖怪(失礼!)の皆さんにはかなわないけど、目標でもあるんです。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


アナウンサーとナレーターの読み・・・Ⅳ

2005年07月25日 | Weblog

局アナを辞めた理由を良く聞かれます。最も大きな理由は、CMのナレーションをしたかった、ということです。局に在籍していた当時、CMはCM制作部が制作するのですが、徐々に私へのナレーション発注が多くなり、終いには男性ナレーションの9割を占めるまでになっていました。もちろん、アナウンサーの仕事はニュースや番組、司会等々、他にも沢山あります。その合間を縫って収録するのですが、私がCMナレーションの仕事が好きだったこともあり、そのための時間を積極的に作ったのです。当然、発注は多くなります。一方では、それだけの仕事をこなしているのに、報酬は同じであった、ということです。サラリーマンですから当たり前なのですが、評価されて(いると思っていた)発注が来るのに、その評価にあった報酬がない、ということへの疑問もありました。思い切って辞職願いを提出し、在6年で辞めたのです。フリーになってオーディションに落ち続け、思ったほど仕事は来ない、そんな状態を打破するための劇団結成と芝居の上演。言葉を発する時の集中力を養うことが出来たのも、劇団でした。「素晴らしい!」という台詞を何回も何回も吐かせられ、結局“ホンモノ”の台詞になるまで何回もの稽古が必要になりました。アナウンサーのしゃべりには、そのような訓練はありません。普通のトーン、少し力の入ったトーン、押さえたトーンの三種類くらいあれば大抵の仕事には間に合います。ナレーションは、それではやっていけません。全く違うニュアンスの台詞が、いくつ吐けるか、そんな勝負もあるのです。では、どの様な鍛錬法があるのか・・・次回に。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


アナウンサーの読みとナレーターの読み・・・パートⅢ

2005年07月14日 | Weblog

アナウンサー時代の自分の読みを振り返ってみると、まずは“とちらない”“文章を把握して読む”ということに注意して原稿に向かっていました。“とちらない”ために、毎日のように滑舌の練習を重ね、一生懸命“読む”練習をします。“文章を把握して読む”ためには、その文章の流れを大事にして、切るところは切る、切らないところは切らないで読んでいく、ということに励んで練習をするのです。練習の成果は、当然流暢に読めるようになってきます。そこが、ナレーターの読みと大きく違うところなのです。ナレーター、またはナレーションの仕事に携わっている方は、元々役者の方が多く、私の見たところでも全体の80%は役者(つまり舞台やドラマに出演する)の方々ではないでしょうか。役者出身のナレーターの方は良く「行が2行以上あるとプレッシャーを感じる」とか「とちらずには読めない」「かぎ括弧があるとやり易い」などとおっしゃいます。つまり流暢には読めない、ということは一語一語をしっかり語っている、ということではないか・・・・と感じたのは、この世界に入って既に10年以上たっていた時です。一語一語をしっかり語る、というのはどういうことか・・・それは「一語を語っている時に、次の一語のことは考えない」ということで、一語ずつ言い切っている状態が連続しているのです。ということは、流暢にしゃっべってはならない、ということになります。流暢な読み→アナウンサー読み、全ての言葉を言い切る読み→ナレーターの読み、ということになるのですが、それだけではありませんでした。つづきは、パートⅣで・・・。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


アナウンサーの読みとナレーターの読み・・・一休み

2005年07月12日 | Weblog

局アナ時代の失敗をひとつ・・・その当時「泊まり勤務」というのがありました。私が勤めていたのは山梨放送という山梨県の老舗局で、ラ・テ兼営局(ラジオとテレビの両方ある局)です。泊まりはラジオのニュース対応のためです。夜は23:50から、朝は6:50から10分間のニュースがあり、それを泊まりのアナウンサーがデスク兼任でこなすのです。夜は大丈夫なのですが、問題は朝でした。放送終了が25時でしたので、それを終えて技術の泊まり勤務者と夜食をとり二段ベッドの床につきます。一応今日の仕事が終了したので、一杯やって熟睡状態。当然、寝坊する可能性も高くなります。で、ある日、目をさましたのは午前6時45分、ニュースまで5分しかありません。慌ててニュース原稿を束にして、寝着(ジャージだったと思います。)のままブース(ニュースを読むスタジオ)へ入ったのです。目も血走り、駆け足で入りました。それがいけませんでした。走れば、当然息が切れます。ハァハァ状態では、原稿が読めないのです。ものすごく間をとりながら、何とか読みましたが、全くニュースにはなっていませんでした。それ以来、スタジオに入る前には走らない、これを守っています。どんなに遅刻しても、走りません。今の生徒達にもしっかり教えています。大きな失敗のひとつでした。パートⅢは、この次に・・・。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


アナウンサーの読みとナレーターの読み・・・パートⅡ

2005年07月11日 | Weblog

地方局のアナウンサーからこの世界に入って、すぐに戸惑いがありました。演出の方から「もっと色を出して下さい」とか「ニュアンスを加えて・・・」といった要求をされるのです。当初はオーディションでの出来事だったのですが、そもそもそのようなことは局アナの仕事の中では追及してこなかった訳ですから、正直どうやって良いのかわからず大いに戸惑ってしまったのです。結局は最後に、「アナウンサーの読みですね」「チャンとは読めるので、そういうものをどうぞ・・・」といったような言葉をかけられてしまうのです。当然、オーディションには引っかかりません。一方では、確かに“チャンとした読み”が要求される仕事は来るのです。例えばCMでいうところの“ぶらさがり”というジャンルである、「~キャンペーン、只今実施中!」とか「~プレゼント、○月○日まで!」といったメッセージ。またビデオナレーションでも、官庁関係のPRや自治体の広報といった堅いものです(今は、ずい分柔らかくなりましたが)。ニュアンスとは何なのか、色ってどうやって付けるのか、何故私の読みはただ読んでるだけなのか、と悩んだものです。やっぱり芝居かなぁ・・・とおぼろげながら考えていたのですが、局を退社して約1年ほどで小劇団の結成に参加することになったのです。まずは芝居の稽古、アナウンサーの練習とは全く違うものでした。そもそも根本から、発声、台詞、動き(芝居)といったものの考え方が違うので、良い意味でのショックを毎日のように受けていたのです。だってアナウンサー時代は、しっかり前を向いて、正しい姿勢で、キチンとしゃべる(読む)ということを常に念頭に置いて仕事にあたっていたものが、芝居では寝てても、転がっていても、逆立ちしていても客席に台詞が届かなくてはならないのです。内緒話だって、聞こえなければ芝居になりません。アナウンサーなら、内緒話は聞こえないもの、という判断を先にしてしまいます。それから、後ろにしゃべる稽古、これは最大の驚きでした。どこの劇団でもやることではないのかもしれませんが、私の劇団の主宰・演出は、それを要求して来ました。後ろに向かって、ではなく、顔は客席からは見えない状態で、後ろ(客席)に声を発するのです・・・結果、声を発すること、伝達すること、ひいてはナレーションに対する考え方が大きく変わりました。もう少し詳しく・・・は、またまた次回。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


アナウンサーの読みとナレーターの読み・・・?

2005年07月06日 | Weblog

「何となく違っているような気がするのですが、アナウンサーとナレーターとはどのように読みが違うのですか?」という質問をされることがあります。私は出発点がアナウンサーだったので、そのアナウンサー当時に心掛けていた事と、今ナレーターとして心掛けていることがハッキリと違っていますので、そのことについて述べてみましょう。無謀にも28歳で局アナを辞めて上京し、ナレーターの世界に飛び込みました。局ではかなりの仕事をこなしていましたし、ある程度のことはできると思っていましたので、そんなに難しくはないと思っていたのです。もちろん、そうでなければ局を辞めることなどできません。それは「過信」というよりも、「勘違い」だったと言う方が当たっているかもしれません。実際に辞めてから、フリーの立場で現場についてみると、全く通用しない自分の読みがあったのです。その読みというのが「アナウンサー読み」でした。原稿を間違えずに読んだり、全体を整えたりすることはできるのですが、何かが足りないのです。その当時良く言われたのが「色がない」とか「ニュアンスがない」といった言葉。つまり、チャンとは読めるけど表現ではない、というものだったのです。それはそうです、チャンと読むことが一番良かった訳で、自分の色や情を表に出すことはしてこなかったのですから。つまり、そこがアナウンサーの読みとナレーターの読みの違いではないかと思っています。具体的には・・・・・それは、次回に。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


地方局の局アナが訪ねてきます。

2005年07月04日 | Weblog

ここのところ、地方局の現役アナウンサーや退職したばかりのアナウンサーが訪ねてくるケースが増えています。一様に「ナレーションを学びたい」というのです。キー局でもそうですが、ニュースの読みに関しては、教える体制がある程度整っています。ところがナレーションに関しては、ほとんどの方が独学なのです。先輩アナウンサーにナレーションの上手い人がいれば、それを聞いて学ぶくらいが関の山です。で、経験を踏んでくるにしたがって「しっかりしたナレーションをしたい」という欲求が出てくるのでしょう・・・私も出発点が局アナでしたから、その気持ちがとてもよくわかります・・・。フリーになりたい、という気持ちはおそらくほとんどの局アナの方々が、一度は持った経験があるか、考えたことがあることと思います。その時に、ナレーションの力量について考えてしまう、ということもあるのではないかと思います。実際フリーになって、局アナ時代とは要求されることが全く違うことにとまどいも感じているのでしょう。私自身、フリーになって局アナの読みでは全く通じなかった経験を持つだけに、そのような皆さんの気持ちは痛いほどわかります。

では、局アナの読みとナレーターの読みの違いは何か!・・・次回に。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


8月には、アナウンサー受験者向けのセミナーを・・

2005年07月03日 | Weblog
早いものですが今年も半年が経過し、7月になってしまいました。私の出身媒体である山梨放送が主宰する「アナウンスセミナー」を、今年も8月中旬に実施します。3日間で参加費用は4万円、これは格安です。私は全体のコーディネートと基礎の部分を担当するのですが、その他ニュースやナレーション、そしてフリートークまで、内容はとても濃いものになっています。既に、最初の募集定員(20名)をオーバーしている様子ですが、希望者が多ければもう一クラス開講するように伝えてありますので、そうなるかも知れません。受講資格は、アナウンサー試験を受験したいという学生さんや既卒の方です。受験には年齢制限がありますので、注意が必要です。既卒では概ね、28歳~30歳くらいまでです。会場は、当然山梨県甲府市の山梨放送局社ですが、興味のある方は、山梨放送のHPに出てますので訪ねて見て下さい。では・・・。
ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/