世界的に景気が悪化しているとのことです。昨夏に始まった「サブプライムローン」の問題は、その不安な状態が完全に解消されるまでもう少し時間がかかるとのことです。私たちのような商売(ナレーターとか声優などの分野)には関係ないのでは、と思われる向きがあるかとは思いますが、決してそんなことはありません。今回は、その辺を考えてみましょう。まず番組ナレーションの仕事の流れを見ると・・・局のチーフプロデューサー(編成・制作・報道といった部署の社員)から担当プロデューサーもしくはディレクターへ、それから制作会社を通じてまたは直接ナレーターの所属事務所に注文が出ます。大元のチーフプロデューサーは予算を持っていますので、その予算がふんだんにあればナレーターの外注が増えても余裕がありますが、予算縮小ならば身内つまり局アナで済ませるケースが増えます。今年前半の動きは、どうもその後者の様子を呈しています。CMナレーションは、大元がスポンサー(宣伝をする会社)です。そこから広告代理店のプロデューサーに話が振られ、さらにその下の制作会社に持ち込まれます。その辺で全体のスタッフが固まりつつありますが、ディレクター、コピーライター、撮影、編集、音響、その他もろもろの手配をする中で、企画を経てナレーションが決まり、ナレーターが選定されます。では、今年CMを制作する各社の業績はどうかというと・・・決して芳しくはありません。円高、株安、原油高、資源高などなどの要因で、軒並み減収・減益の決算発表です。当然、広告宣伝費は削られるので、制作費も抑えられます。ナレーターへの発注も少なくなり、出演タレントがそのまましゃべって終わり、というケースも多々。やはり、私たちの仕事の量は減ります。そんな状況の中で、どうやって勝ち抜いていくべきか・・・いつの時も悩みの中心ではあります。
ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
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