さて、ニュアンスやら色やら、今まで要求されなかったものはどうすれば出てくるのか。悩みに悩んで、まずチャレンジしたのは「一つの言葉を違うニュアンスでいくつ表現できるか」ということ。例えば街にあふれている銀行名、これをいくつ言えるか・・・その当時は長い名前の銀行ばかりで、今よりはやり易かったかもしれません。第一勧業銀行とか日本興業銀行とか、それをいくつ言えるか、毎日のように口から発し続けたのです。今考えてみると、最も難しいところから入って行った様な気がします。CMでは良くそのような要求をされるのです。でも、それが一番難しい・・・。もう少し楽に取り組めるのは、自分の情の部分が出やすいもの、食べ物とか飲み物とかに先に取り組めば良かったと、後々思ったものです。思い起こせば、芝居の稽古の時に演出に良く揉まれたのも、台詞の情の部分でした。『わからん!・・・それじゃない!・・・違う!』と声(罵声)が飛ぶのです。必死にやったのが、結果として良かったのではないかと思っています。今思い出しても、冷や汗ものです。もちろん、そんなに簡単にできやしませんでした。続きは、次回・・・。
ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
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