The Phantom of the Opera / Gaston Leroux

ガストン・ルルー原作「オペラ座の怪人」

原作場面 p138

2006年11月09日 | ルルー原作「オペラ座の怪人」

その時・・・ちょうどその瞬間・・・恐ろしい事が起きた。
・・・観客は総立ちになった・・・ボックス席にいた二人の支配人は思わず恐怖の叫びをあげた。

・・・カルロッタの顔には悲痛きわまりない表情が浮かび、目には狂気が宿っているようだった。
なぜなら、その、妙なる音色を出すために創られた口、いままで一度も故障した事のない名器、世にも美しい響きや難しい和音、微妙きわまる抑揚、情熱的なリズムを生み出したすばらしい器官、真の感動を与えて魂をかきたてる超自然的なひらめきがないばっかりに、神々しい美しさに欠けていたとはいえ、それ以外は完璧な究極の人間機械・・・その口から、なんと・・・。
その口から・・・一匹のヒキガエルが飛び出したのだ!
そう!醜い、いやらしい、いぼいぼだらけの、毒のある、口から泡を吹く、体中べとべとした、嫌な声で鳴くヒキガエルが!


モンシャルマン、リシャール両支配人は顔面蒼白だった。
彼らは<怪人>の吐く息を感じた。
そう<怪人>はそこにいた・・・彼等のまわり・・・彼等のうしろ、彼等の隣にいて、姿は見えないが,気配が感じられた!<怪人>の呼吸が感じられた。

音のよく響くホールにカルロッタの声だけがふたたび流れ始めた。


わたしは耳を澄ます!・・・


・・・すると、わたしにはその声がわかる(ゲコッ!)
(ゲコッ!・・・)わたしの心のなかで歌う孤独な・・・(ゲコッ!)




どうやらヒキガエルも鳴き始めたようだった。



<怪人>はふたりのすぐうしろでせせら笑っていた!



やがて、彼等の右の耳に<怪人>に声がはっきり聞こえてきた。正体不明の声、見えない口から出る声がこう言った。





「今夜のカルロッタの声の調子外れなことといったら、シャンデリアもはずれそうだな!」




ちょっと!誰なの?

2006年11月09日 | Weblog


<やっぱりダロエリ良いですね!次の更新も期待してます!出来ればR18で>

ちょっと!誰なの?こんな可愛いリクエストしてくる腐な娘は?(まさか男じゃないでしょうね???もし男性なら管理人のペンパル ※1 になりませんか?)

「秋の合同コスプレ」と「トカイ」が終わったら描きます♪
はい、山なし、おちなしで。
ダロガ・・・というより管理人ドリームという設定で。

もう、原作にそった設定上で彼等のラブシーンは無理なので。番外編裏という・・・。


※1  ペンパル→ペンフレンド、文通相手のこと。

<声>

2006年11月09日 | ルルー原作「オペラ座の怪人」
・・・シャンデリアが轟音とともに床に落ち、客席が突然真っ暗になった晩・・・あの夜は、死者や負傷者が出て、劇場中に悲痛な叫び声が響き渡った。

「たいへん!<声>(音楽の天使)はシャンデリアの下敷きになっているかもしれない」と思った。・・・もし<声>が無事なら、もう楽屋に行って、私を安心させようと待ち構えているはずだと思い、楽屋にすっとんで行って、目に涙を浮かべて頼んだの。
もし、生きているなら姿を現してほしいって。
<声>は答えなかったけど、突然、長く尾を引く、素晴らしい嘆声が聞こえてきた。
よく聴きなれた声だった。・・・それは私の父のヴァイオリンのすすり泣くような音だった。

やがて、目に見えない素晴らしいヴァイオリンが生命の歓喜の叫びを奏で始め、あの<声>は至高の支配者の言葉を歌いだした。

『来たれ!我を信ぜよ!我を信じる者は甦るべし!歩め!我を信ぜし者は死なざるべし!』

すぐそばで、シャンデリアの下敷きになった気の毒な人たちが死にかけていたというのに、この音楽は永遠の命を讃美していた!

その時私の受けた印象は複雑で、言葉ではいいあらわせないわ・・・。(角川P206)


カルロッタをさらし者にし、歌手として最大の屈辱を与え、なおかつシャンデリアを落とすという悪事を行いながら、神を讃美する歌を平然と歌っている冷ややかさ、異常さがクリスティーヌを怯えさせる。

(神を讃えるというより神になり代わり彼なりの正義を行っているような感じもします)

呪われた冷たい手を持つ運命に伯爵のような「憂い」「苦悩」はなく、もっと無機質な・・・それでいてけばけばしい狂気をエリックには感じます。

そして自分の手が冷たいとは思っていないのでは・・・とも思います。なぜならその手が温かかった時期が短いか、なかったからです。