昨日の 「漢検1級ブログ ボクちゃん日記PART2(漢検一級編)」 で、 【匹如身(するすみ)】 という熟字訓が紹介されていました。「財産も家族もなく、身一つであること。」との意味で、ネットで検索すると、徒然草にも出てくる言葉(第142段)のようです。で、この熟語は「漢検 漢字辞典」の見出しにある(P.1283)のですが、巻末の「熟字訓・当て字索引」には記載されていません。索引の注書きには、「・・・収録した熟字訓・当て字のうち、重要なものを選び、・・・」とあり、「辞典」の編集者が重要と考えたものだけが索引に掲載されているということになります。
さてそこでいつも悩むのは、本文にあって索引にないものを、漢検対策として学習の対象とするかどうかです。感覚的に、索引にないものはほとんど出題されないという認識でいましたが、この機会に手元にある平成15年度以降の本試験問題を調べてみました。
<延べ出題熟語数> 330 (1回あたり10問×年3回×11年分)
<重複を除いた熟語数> 202
その内、
<索引にあるもの> 198
<索引にないもの> 4
索引にない4つの熟語は以下です。(かっこ内は「漢検 漢字辞典」初版の掲載ページです。)
1. 【踏鞴】 たたら (1146)
この語は索引にないだけでなく、「辞典」の見出しにもありません。 【蹈鞴】 の項に「『踏鞴』とも書く。」と小さく記載されているだけです。 【踏】 が 【蹈】 の書き換え字なので、「辞典」の編集者がもともとの表記である 【蹈鞴】 の方を見出しと索引に入れ、 【踏鞴】 は入れなかったのでしょう。一方、本試験では見出し・索引にない 【踏鞴】 の方が3度(15-1、18-1、21-3)出題されていますので、掲載はなくともこちらも覚えておくべきでしょう。(【蹈鞴】 は 19-3 の1度。)
2. 【行器】 ほかい (479)
20-1 で出題。
3. 【日照雨】 そばえ (-)
24-2 で出題。これは索引以前に、そもそも「辞典」に掲載されていません。満点阻止問題ということでしょうか。しかし受検者の側からすると、この出題はやっぱり反則ですよねぇ。(汗)
4. 【儒艮】 ジュゴン (677)
24-2 で出題。この語はそもそも 【ジュ】 も 【ゴン】 もそれぞれの漢字本来の読みで読め、かつ 【ジュゴン】 が外来語などではない(そうなのか??)ので、「辞典」はこれを熟字訓・当て字扱いしていません(凡例にそう書いてあります)。熟字訓・当て字扱いしていないから索引にもないということなのですが、そう言いながら、本試験で熟字訓・当て字の問題として出題するというのは、これまた反則のような気がしますがいかがでしょう?
いろいろ書きましたが、重複を含めた全出題総数330問のうち上記4つで計6問ですから出題率は僅か1.8%。結論としては、200点満点を狙うのでもないかぎり、熟字訓・当て字に関しては索引にある語だけを学習対象とすれば良く、それだけでほぼ10点満点、運が悪いときでも9点は確保できるということになりそうです。(【日照雨】 と 【儒艮】 が同時に出題された 24-2 だけは例外。) もっと言えば、合格を勝ち取るための勉強の効率という観点では、熟字訓・当て字は過去問だけに絞り、残った時間や労力は他の分野に注ぐべきなのかもしれませんね。
などと言いつつ、私自身が実際はどうしているかというと、この 【匹如身(するすみ)】 のように索引になくても印象深い言葉は覚えようとしてしまいます。試験に出る出ないはともかく、勉強を通じて魅力ある日本語にしばしば出会えるのが、漢検に取り組むことの大きな喜びですね。 ^^
さてそこでいつも悩むのは、本文にあって索引にないものを、漢検対策として学習の対象とするかどうかです。感覚的に、索引にないものはほとんど出題されないという認識でいましたが、この機会に手元にある平成15年度以降の本試験問題を調べてみました。
<延べ出題熟語数> 330 (1回あたり10問×年3回×11年分)
<重複を除いた熟語数> 202
その内、
<索引にあるもの> 198
<索引にないもの> 4
索引にない4つの熟語は以下です。(かっこ内は「漢検 漢字辞典」初版の掲載ページです。)
1. 【踏鞴】 たたら (1146)
この語は索引にないだけでなく、「辞典」の見出しにもありません。 【蹈鞴】 の項に「『踏鞴』とも書く。」と小さく記載されているだけです。 【踏】 が 【蹈】 の書き換え字なので、「辞典」の編集者がもともとの表記である 【蹈鞴】 の方を見出しと索引に入れ、 【踏鞴】 は入れなかったのでしょう。一方、本試験では見出し・索引にない 【踏鞴】 の方が3度(15-1、18-1、21-3)出題されていますので、掲載はなくともこちらも覚えておくべきでしょう。(【蹈鞴】 は 19-3 の1度。)
2. 【行器】 ほかい (479)
20-1 で出題。
3. 【日照雨】 そばえ (-)
24-2 で出題。これは索引以前に、そもそも「辞典」に掲載されていません。満点阻止問題ということでしょうか。しかし受検者の側からすると、この出題はやっぱり反則ですよねぇ。(汗)
4. 【儒艮】 ジュゴン (677)
24-2 で出題。この語はそもそも 【ジュ】 も 【ゴン】 もそれぞれの漢字本来の読みで読め、かつ 【ジュゴン】 が外来語などではない(そうなのか??)ので、「辞典」はこれを熟字訓・当て字扱いしていません(凡例にそう書いてあります)。熟字訓・当て字扱いしていないから索引にもないということなのですが、そう言いながら、本試験で熟字訓・当て字の問題として出題するというのは、これまた反則のような気がしますがいかがでしょう?
いろいろ書きましたが、重複を含めた全出題総数330問のうち上記4つで計6問ですから出題率は僅か1.8%。結論としては、200点満点を狙うのでもないかぎり、熟字訓・当て字に関しては索引にある語だけを学習対象とすれば良く、それだけでほぼ10点満点、運が悪いときでも9点は確保できるということになりそうです。(【日照雨】 と 【儒艮】 が同時に出題された 24-2 だけは例外。) もっと言えば、合格を勝ち取るための勉強の効率という観点では、熟字訓・当て字は過去問だけに絞り、残った時間や労力は他の分野に注ぐべきなのかもしれませんね。
などと言いつつ、私自身が実際はどうしているかというと、この 【匹如身(するすみ)】 のように索引になくても印象深い言葉は覚えようとしてしまいます。試験に出る出ないはともかく、勉強を通じて魅力ある日本語にしばしば出会えるのが、漢検に取り組むことの大きな喜びですね。 ^^
ぼくも「するすみ」、調べてみたんですが、古語辞典みな、兼好の文をひいてましたね。あんまり使わないのでしょうか。(古文をもっと勉強しとけばよかった)
熟字訓の時間配分はたしかに悩みます。「5点でいいや」というのだったら、もう9点取るのの10分の1に節約できるんじゃあないか、なんて思いますね。それでも、なんかやってるんですけどねえ。
いつもありがとうございます。
「どう160点を取るか」という点では、熟字訓は効率が悪いですよねぇ。もっとも私の場合、過去3回の合格がすべて163点で、そのうち熟字訓が9点ないし10点ですから、これがもし5点だったら3回とも不合格ということになります。(汗)
まあ、そんなことより、熟字訓が好きだから時間がかかってもやってるという感じですねぇ。
いつもお世話になっております。
私も凛太郎さまと同じ、好きな言葉は記憶したく、当て字・熟字訓がそもそも好きなので、殆ど得点戦略とは無関係に「は~~成る程こういうふうに書くのか~」と眺めては、いちいち入り込んでしまいます。
実のところ、私としては
「1級はなんでもあり。」
という凄く大雑把な感覚でおります。だから私の場合、却って未だに得点に対しての意識も勉強の仕方もテキトー(←敢えて適切な意味での「適当」とは書かない)で波があるのかもしれません。
多くのリピーターの方々の緻密な分析に頭が下がる反面、分類しきれない魅力に挑戦したいという思いも拭えず、分類を楽しむと同時に混沌をわざと残しておきたいという衝動にも駆られてしまうのです。
漢検協会から出されている検定問題なので、業務遂行の意味では、当然漢検協会が基準をどのように定めているかは重要である反面、広い漢字世界から見れば、漢検協会の規定はあくまで一つの基準に過ぎないという感覚も、同時に持ち合わせていたい思いです。
いつもありがとうございます。
その感覚、良くわかります。^^
1級は少なくとも現時点では最高峰の級ですから、本来的には「なんでもあり」で良いと私も思っています。もっと言えば、対象範囲も何も6300字に限る必要もないようにも思いますね。
漢検に出るかどうか、漢検のスコアアップにつながるかどうかにとらわれずに漢字・日本語を深く知っていきたいという思いは間違いなく自分の中に強くある一方、やはりどうしてもそれを気にしてしまう自分もいて、両方を毎日行ったり来たりしている感じです。
ただ、前にも書きましたが、試験を気にする方の思いが強くなりすぎると勉強自体がつまらなくなりそうなので、「知りたいことを調べる。知っておきたいことを覚える。」という気持ちをずっと忘れずにいたいと思っています。