漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0871

2022-03-19 06:07:50 | 古今和歌集

おほはらや をしほのやまも けふこそは かみよのことも おもひいづらめ

大原や 小塩の山も 今日こそは 神代のことも 思ひ出づらめ

 

在原業平

 

 大原の小塩の山も、今日という日には神代のことも思い出していることでしょう。

 詞書には「二条の后の、まだ東宮の御息所と申しける時に、大原野にまうでたまひける日よめる」とあります。「二条の后」は第56代清和天皇の后、藤原高子(ふじわら の たかいこ)のこと。自身の歌が 0004 に採録されているほか、業平の歌の詞書にも何度か登場しています。「大原野」は藤原氏ゆかりの大原野神社で、祭神の天児屋根命(あめのこやねのみこと)が天孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を先導したことが天孫降臨神話で語られています。第四句の「神代のこと」とはそのことを指していますね。



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