漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0004

2019-11-03 08:02:01 | 古今和歌集

ゆきのうちに はるはきにけり うぐひすの こほれるなみだ いまやとくらむ

雪のうちに 春は来にけり 鶯の こほれる涙 今やとくらむ


二条の后




 まだ雪景色の中で春はやって来た。冬の間谷間にいて凍ったうぐいすの涙も今頃はとけているだろうか。

 0001 の「としのうちに はるはきにけり」と、0002 の「はるたつけふの かぜやとくらむ」を合体させたような歌ですね。
 作者の「二条の后」は藤原高子のこと。第56代清和天皇の后にして第57代陽成天皇の母、さらには歌人在原業平の恋人としてもつとに有名な人物。0294 に採録されている業平の歌

ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれなゐに みづくくるとは

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 韓紅に 水くくるとは


の詞書に「二条の后の東宮の御息所と申しける時に・・・」とあることからも、二人に接点があったことがわかります。天皇の直系(平城天皇の孫)でありながら政治的な不遇を余儀なくされた業平と、権勢を誇ってはいても常に血統を問われる藤原家の一員としての高子には、互いの境遇にどこか相通ずるものを感じていたのでしょうか。



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