ふきまよふ のかぜをさむみ あきはぎの うつりもゆくか ひとのこころの
吹きまよふ 野風を寒み 秋萩の うつりもゆくか 人の心の
雲林院親王
吹き乱れる野風が寒いので、秋萩の色が褪せていく。それと同じように人の心も移ろっていくのでしょうか。
第三句「秋萩の」と第五句「人の心の」の双方が第四句「うつりもゆくか」の主語になっているという表現法。三十一文字という厳しい制限が多用な表現技法を生んでいることを実感させてくれますね。
作者の雲林院親王(うんりんゐんのみこ)は、第54代仁明天皇の第七皇子常康親王のこと。寵愛を受けた天皇の没後、出家して雲林院(京都市北区に今も残る臨済宗の寺院)に隠棲したことから、雲林院と号しました。古今集への入集はこの一首のみです。