漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0774

2021-12-12 19:57:37 | 古今和歌集

いまはこじと おもふものから わすれつつ またるることの まだもやまぬか

今は来じと 思ふものから 忘れつつ 待たるることの まだもやまぬか

 

よみ人知らず

 

 今となってはもう来てくれることはないと思うものの、それを忘れてついあの人を待ってしまう習慣が、いまだに消えないことよ。

 「ものから」は、ここでは逆接の接続助詞。順接の意味もあるので、どちらなのかは文脈で判断する必要があります。現代語ではそうした語はほぼありません(稀にそうした使われ方をする語はあります)が、古語では「が」「を」「に」など、順接・逆接両方の意味に使われる語がいくつもあります。勝手な推測ですが、それだとやはり文意が通じにくくなるので、時の経過とともにどちらか一方の意味でしか使われなくなっていったのでしょうね。