漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0763

2021-12-01 19:35:11 | 古今和歌集

わがそでに まだきしぐれの ふりぬるは きみがこころに あきやきぬらむ

わが袖に まだき時雨の 降りぬるは 君が心に あきや来ぬらむ

 

よみ人知らず

 

 私の袖に、まだ季節でもないのに涙という時雨が降ったのは、時雨の季節の秋ではありませんが、あなたの心に飽きが来てしまったのでしょうか。

 「時雨」は涙の見立てで、「あき」は「秋」と「飽き」の掛詞。「まだき」は「早くも」「もう」の意で、百人一首の歌も思い出されますね。古今集の撰者の一人壬生忠岑の子、壬生忠見の詠歌です。

 

こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか

(拾遺和歌集 巻第十一 「恋歌一」 第621番)

 

 今日から「まだき」12月。時の経過の早さにはいつも驚かされますね。

 引き続きよろしくお願いいたします。