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カンヌ映画祭、無事に終わって良かった、良かった

2021-07-20 17:59:51 | シネマ&芝居

今年は7月にずれたとはいえ、無事、第74回カンヌ映画祭が決行されて本当に良かった。

全体の作品数も多かったのですが、フランス勢もなかなかの存在感だったようです。

コンペ部門でも24本中、フランス映画は7本?8本?ほどの勢力でしたが、受賞したのは作品賞(演出賞)のレオス・カラックス監督の久々の作品にして、ミュージカル仕立ての『Annette /アネット』だけだったかな? (今さら、巨匠カラックスに演出賞はないだろうとフランスの批評家もブツブツ言ってましたし、日本勢の濱口竜介監督の脚本賞も、本作はむしろパルムドールに値するはずだ、とこれもブツブツ言っている批評家がいましたねえ)

 

追記) 『Titane /チタン』はフランス映画じゃないの?という友人のコメントで、ハタと気がつく。そうだった、パルムドール受賞なのに、ごめんなさい、ジュリア・デュクルノー監督! しかも女性監督の最高賞はカンヌ映画祭史上2人め、フランス女性監督では初の快挙なのに、トレーラーを観て、あまりにも演出のスケールが大きかったので、ついついハリウッド系をイメージしてしまいました。デュクルノー監督と今回、主演初のアガト・ルーセル! 彼女たちもフランス映画の良い意味での規格外。今、どこでも女性たちが元気で何よりです。デュクルノー監督の前作『Grave/Raw 少女のめざめ』もかなりの話題作(=カニバリズム・・)で、この人はただ者じゃないと評価されてます。

 

そういう意味では、「ある視点」部門でオープニング上映された『ONODA』(アルチュール・アラリ監督)は、ルパング島の残留兵としてあまりにも有名な(=私の世代には・・)、小野田少尉を題材にしていますが、え〜すごく良かったのにこの部門でも賞をとらなかった。え〜、他はそんなに良かったの?と私でも思いますよ。

私がいつも聴いているフランスのラジオ番組でも、『ONODA』がコンペに入っていなかったのはおかしい、とぼやいている批評家もいましたし、上映翌日のフランスの有力紙もかなり絶賛していましたしね。うん、私の身びいきというわけじゃないな、と確信していたのですが、ちょっと残念。

小野田少尉の青年期と成年期をそれぞれ日本の俳優さんが演じていますが、2人とも素晴らしい演技でですよ。え〜と、名前は遠藤雄弥くん(=存じ上げませんでしたが、古風なお顔立ちで昭和の軍人にびったりでした)と津田寛冶さん。ルパング島のジャングルで30年も上官の命令を待つという正気の沙汰とは思えない行動をとった小野田少尉にみごとになりきっておられます。上官役のイッセー尾形さんもはまってます。

題材的にはピンポイントの史実なのですが、テーマとしては人間心理の真理ですから普遍的なのですよね。だからこそフランス人監督の心を捕らえたのであろうし。

また『ONODA』は日本でも公開されますので、1974年の小野田さんの日本帰還をテレビでリアルタイムで見たことのある人はぜひ。ない人もぜひ。驚きますよ。

まあ、今年のカンヌは本数が多いだけでなく、総体的にレベルも高かったようですし、すべてを掬いあげるのは難しいですよね。

それにしても、映画祭中、パリ・マッチ誌の表紙を飾ったソフィー・マルソーとフランソワ・オゾン監督のツーショットには仰天しました。いえいえ、オゾン監督じゃなくて、ソフィー・マルソーに感動したの!

足元から頭のてっぺんまでしっかりソフィーのフルボディーが拝める。あのパリ・マッチ誌欲しい・・

真っ白なロングドレスは完璧なボディ・ラインを強調するというか舐めるようなボディコン(=死語ですね)、ソフィー、えらい。身体管理しっかりしてるのね。しかも、少しだけ後方のオゾン監督の方を4分の1ほど振り向いて、彼女ならではの自然体の満面の笑顔を向けている。デコルテの左肩のショルダーは、微妙に胸元近くまでずれていて、え、危なくない?というひやひや感も無防備ですてき。

(追記:その後、いくつもの写真をチェックしたところ、白一色だと思っていたロングドレスはなんと白と黒のバイカラー。その絶妙な配分の錯覚で、白の部分が際立ちすごく細身に見えるのでした! さすがです。しかもデコルテと思っていたら、もっと大胆なオフショルダー。ずれてるんじゃなくて、ずらしてるのでした。そりゃそうですよね!)

パリ・マッチ誌がこの写真、使うはずですよ、みごとに私たちが80年代に愛したソフィー・マルソーですよ。80年代の大ヒット作品『ラ・ブーム』以来、ソフィーもいろんな人生を歩んだようで、ファンとしてはひやひやした時代もありました。

でも、こうしてまた元気な姿を見られるのは嬉しい。

オゾン様様です。で、オゾン監督の日本での新作『Summer of 85』についてはまた8月後半の公開時にお話ししますが、ソフィー・マルソーは、彼のこの後の作品『Tout s'est bien passé /すべてうまくいきました』のヒロインです。安楽死がテーマ。お父さん役が、昔、ロメールやアラン・レネの作品に出演されてた頃はかなり好きだったアンドレ・デュソリエ(=昔、なんて言うと失礼ね)。今回は、特殊メイクで実際以上に老けてらして、病気の設定なので声もかすれて(=トレーラーで見ただけですが)、え〜、そんな殺生な。

また別の作品で若返りメイクでダンディなデュソリエ氏を観せていただきたいものです。

 

 

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4 コメント

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ほんとにありがとう (YukoH)
2021-07-21 23:16:40
そうそう、映画の「国籍」はあってなきがごとくにこれからますますなっていく気がします。
でも、今回はわたしのボケ。
受賞数日前に、ジュリア・デュクルノー監督とアガト・ルーセルがゲスト出演のフランスのラジオ番組聴いたり、アガトのVogue Franceの動画インタビューもチェックしてたのに、暑さボケか年齢的なものか・・心配な危険領域です!
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やっぱり! (ちな)
2021-07-21 23:03:02
さすが有羽子さん、すばやい対応。私の勘ちがいじゃなくて良かった。でも、ほんと、監督はフランス人だけどハリウッド資本だったり、言語も英語だったりすることも増えて、映画の「国籍」ってなくなりつつありますね。
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そうだった! (YukoH)
2021-07-21 22:19:55
ちなちゃん

「Titane」はパルムドールで、しかも女性監督でも2人め、フランス女性監督では初の快挙なのに、あまりにも内容がフランス映画のスケールを超えているので、ついつい頭の中で除外してしまった!
本文、直しておきますね。

ヴァンサン・ランドンがボディービルボディになっているので、これもまたフランス映画規格外! 

早めの訂正ありがとうございます。
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カンヌ (ちな)
2021-07-21 22:13:51
あれ、受賞したのはカラックスの「アネット」だけってことは、「 Titane」はフランス映画じゃないの? ヴァンサン・ランドンが出てるので、てっきりフランス映画だと思ってました。あれもこれも日本公開が楽しみです。
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