B面でかせごう!

京都なまりのフランス語通訳
*人見有羽子のポップでキュート*

共感が打ち砕かれる読書・・・

2024-01-17 22:22:22 | 本と雑誌

近頃、宵はエクササイズに専念しているので、まったくもってだら〜んとテレビを観ることもなく、

エクササイズをひととおり終えたら、寝る前の儀式をそそくさとすませて、パトリシア・ハイスミスの読みかけの小説を手にとるも、ものの数ページで眠気に襲われ、しかたなく本と眼鏡を戻して消灯する・・。この小説、読み終えられるのかしら、というくらい遅々とした読書が続いていたのだけど、昨夜はひさびさにエクササイズを夕方に終えたので、やった!きょうは寝る前の読書が出来る!と読み始めたら・・・

なんだか話の雲行きが怪しい。ハイスミスですからね・・・。『水の墓碑銘/Deep water』ですからね。

え?え? ひょっとしてこの人(=主人公。話法は三人称)、え?え? と、おそるおそる読み進めていくと、わ〜、やってしもた。え・・・、このまま平穏に終わってくれ、と願っていたのに・・・

そうなるとさらに胸騒ぎがして、読み進めるのが恐くなり、えい!と30ページくらい飛ばして、ラスト数ページに目を走らせたら、あらららら・・・。主人公に共感する読書人としては、そんな、そんな・・・ショック。

やはり、パトリシア・ハイスミスは恐ろしい。「キャロル」を読んで、ハイスミスの文体が好きだなんて思った私が甘かった。恐い。

おかげで、なかなか寝付けませんでした・・。もやもやとした暗い雲が頭の中で渦巻き始めて、邪心というのですか、主人公ヴィックの邪心がいつのまにか私の邪心に変換されて、やばい、やばい。

というわけで、今朝起きてすぐ、青いブックカバーの文庫本をベッドサイドから遠ざけました。

夜に読むもんじゃない。

すっ飛ばした30ページは真っ昼間に退屈な電車の中で読むことにします。

作者の心理描写が微に入り細に入り執拗で・・・、実人生でお近づきになりたくないタイプのおかたです・・・。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夜更かしは読書で

2021-05-18 19:14:57 | 本と雑誌

先日、紹介した『狂女たちの舞踏会』を昨晩、読了しました。

ワクチンの大規模接種会場予約方法を防衛省のサイトで見ていたら、う〜ん、これなら私でもできるかも、と

闘争心がメラメラと。

というのも、マックユーザーであるわたしは政府の給付金のたびに、ウィンドウズで作られたオンライン申請ができなくて、立腹!憤慨!と、コールセンターの皆さん相手にクダを巻きながら、申請サポート会場を予約して、先日など足立区まで足を運んだのでした。

(=それはそれで担当者との人間的交流もあり、オンライン申請よりも共に勝ち取る感覚がコロナ禍においては貴重です。となりのブースで年長のおじいちゃん、おばあちゃんがなんだか緩い受け答えをしていて、それでもポジティブに快活に答えている女性担当者、えらい! やっぱり人ですよ、人)

なので、今回のネット予約は、ん? シンプルそう? って、わたしはまだ対象年齢ではないですが、

だんだん年齢が降りてくることを予想して、あ〜番号入れて、次の画面を見たい〜という気持ちになりましたよ。

もちろん巷で批判されているような架空番号、入力してませんよ。

ただ、悪用されやすい?シンプルな作りであることはわたしでも理解しました・・・。

 

で、すっかり頭が冴えてしまって、寝られない・・・。

しかたない。毎晩、少しずつ読んでいた本作を最後まで一気読みしました。午前3時まで。

 

意外にけっこう展開が早いので、次を知りたくなる面白さがあります。

テレビシリーズを観ていて、ついつい次回エピソードが流されるまま張りつけになって夜更かしする感覚。

(=もっとも、翌日がつらいので、いっき見しない自制心はまだありますが・・)

カタルシスもあるので映画にはぴったりだわ。

作者が若い女性だから、このテンポでしょうか。

 

訳者の言葉選びにもうっとりしながら・・・

わたしにこの語彙はあるだろうかと自問しつつ、ない・・と自答しながら。

日本語の語彙はなかなか増えないのですよ・・減っていく一方のお年頃・・。

 

でも、昨今の「人流」(じんりゅう)なんて言葉、覚えたくない。人の流れ、でいいじゃないですか。

耳にするたび、憮然とする。「じんりゅうをへらさなくては」って連呼されても、ハートに届かないですよ、

ね、若い人たち!

 

 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パリのふだんの食風景が懐かしい

2021-05-08 15:39:41 | 本と雑誌

さすがにこのゴールデンウイークは帰省を断念。

京都も緊急事態宣言延長ですからね。美術館もほぼ閉館ですし・・・。

 

去年も帰省延期したので、まあ妥当な判断かと思いますが、

梅雨に突入する前に春の庭を堪能しに帰りたいところです。

 

フランスにも当分行けそうにないと思っていましたら、

懐かしのパリ生活を思いおこさせてくれる本が届きました。

 

著者の料理研究家・上野万梨子さんはパリ生活30年ですから、私の滞在時と10年ほどだぶっているのですが、当時、慎ましやかな学生の私の食生活と雲泥の差だろうと思っていたら、暮らしの中のふだん着のフランス料理が紹介されているので、ああ、そうだった、と思い出が蘇ることしばし。

寝る前に数ページ読むだけで、懐かしく幸せな気分に包まれて、寝付きが良くなったという効用があり、しかもふだんの万梨子さんを存じ上げているので、彼女のあくまでも品良く、それでいて歯切れの良い率直な語り口が耳元で聞こえてくるような感覚で、思わずニヤっと。

プロの料理人ならではのちょっとした調理のコツもさりげなく書かれていて、なるほど、とその時は納得して、真似しよう!と思うですが、そのまま寝てしまうので、覚えてない!のが、就寝前読書の落とし穴ですねえ〜。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

19世紀末、パリの『狂女たちの舞踏会』

2021-04-16 10:12:52 | 本と雑誌

パリ時代の同窓・千奈ちゃんこと永田千奈さんの最新の訳書が刊行されました。

『狂女たちの舞踏会/Le Bal des folles』(ヴィクトリア・マス/Victoria Mas)

 

19世紀末、パリのサルペトリエール精神病院、シャルコーと聞けば、のぞいてはいけないような、一瞬、足がすくむ人もいるかと思いますが、読み始めればひきこまれること間違いなし。わたしはまだ手に取ったばかりなので、一章を一気に読んだばかりですが、冒頭、意外に柔らかで穏やかな空気感になにかが起こりそう・・・という予感。

すでにメラニー・ロラン監督・出演で映画化も決まっているそうですよ。

脱線しますが、メラニーといえば、タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』での赤いロングドレス姿が印象的。役柄とはいえ、その豪胆ぶりが、お飾りでは終わらない女優の気配を感じさせていました。

実際に取材でお会いしてみると、華奢で小柄。スクリーン上でのマヌカン並みのスケールの大きさを予想していた私はびっくり。でも、ウィットに富んだ受け答えに、う〜ん、小粒でもピリッと辛い山椒の粒みたいな人かも、とひとり納得してうなずいていましたよ。

監督作としては、フランスであれよあれよというまに大ヒットしたドキュメンタリー『Tomorrow/パーマネントライフを探して』は観た人もいるかな? とにかくちょっとただ者ではない人です。

なので、『狂女たちの舞踏会』を監督、というニュースはさもありなん。

とはいえ、日本公開はまだまだ先だろうから、まずはヴィクトリア・マス著・永田千奈さん訳の本書で話題を先取りしましょう!

 

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋の夜長は女性作者の書き物で。

2018-11-08 22:03:40 | 本と雑誌

ここのところの寝る前のお楽しみは、吉屋信子『自伝的女流文壇史』でした。

 

吉屋信子の同時代の女性作家たちのポートレイトになっていて、面白すぎる! かなりゴシップぽいところもあり、ええ、そこまで書いていいのか、という思い切りの良さもあり、かつ、当時の文壇の交友関係、力関係も垣間見れる貴重な文学史の資料です。

 

わたしとしては、吉屋信子のイメージががらっと好転。

こんなふうにグループのリーダー格で動いていた人とは知りませんでした。

文章も硬派で、でも細やかな心の機微がここかしこに感じられて、うわ、男前な女性じゃん!

 

またまた女性に勇気づけられました。

 

次は分厚い単行本が枕元のサイドテーブルにどっしりと。

女性作者による折口信夫の評伝。でも、そんじょそこらの評伝じゃなさそう、作者が持田叙子さんですから!

 

というわけで、ノブコづいてます。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする