OT園通園日記

車椅子生活の母を老人ホームへ訪ねる日々。でもそればかりではいられない!日常のあれこれを書いています。

小さな魔笛@シアターX(カイ)

2008年08月22日 | 趣味(読書・洋裁・音楽・映画)
バリトン歌手中西勝之さんが出演なさる子ども向けのオペラ。
「子ども向け」というところに、ちょっと引っかかったが、でも、もちろん楽しみに聞きに(見に?)行った。

伴奏は、ピアノ・オーボエ・フルート。
出演者は4人で、2人は二役をやるので、6人分の役が出てくる。
つまり、魔女も、童子も、あれも、これも、全部省略。

椅子席の前には、「桟敷席」と称する、土間に直に座ってみる席があって、前の2列くらいは子どもの観客がびっしり座っている。
1時間半の上演と書いてあるけれど、前方の子どもたちが退屈して騒ぎ出したら…、とちょっと不安なまま幕が上がった。

歌はドイツ語、台詞は日本語でという形でお芝居が進む。
舞台装置も簡単なものだけど、なかなか雰囲気があっていい。
中西さんの巧みな狂言回しに、子どもたちは上手に反応し、スムースに話が運ばれていく。

有名なアリアは原語で歌われるのだが、メロディーの雰囲気と歌い手の表情で十分何を言っているのかがわかるらしく、子どもたちはとても良い反応。
夜の女王は、なかなかの迫力で観客を圧倒し、パパゲーノのアリアも、パパゲーノとパミーナのデュエットもなかなか素敵。
タミーノの絵姿に恋するアリアも甘く切なかった。

残念だったのは、ザラストロの歌う「この清き宮には」。
私たちの席の前に座った赤ちゃんが、ちょうど目を覚まし、泣きだしてしまった!
ザラストロを演じていたのは中西さん(パパゲーノと二役)だったので、私はこのアリアをとても楽しみにして行った。
だって、バリトンの中西さんが、バスのこのアリアを歌う事なんて滅多にないだろうから。
「え~、ここで泣いちゃうの~!」とガッカリしたが、まあ半分くらいは聞き取れた。
相手は、生もの。ケンカはできません。

一番圧巻だったのは、パパゲーノとパパゲーナ(夜の女王との二役)の「パパパの二重唱」
歌に入る前のお芝居部分の演出も楽しく、観客達の笑いを誘った。
デュエットは、声の具合も良くマッチして、コミカルな感じでとてもかわいい。(もう一度聴きた~い!)

ちょっと物足りない部分もあったけれど(一時間半では仕方がない!)、子どもにおもねらず、音楽的な部分ではほとんど妥協をせずに、とてもよくまとめられた作品に仕上がっていたと思う。
子どもたちが最期まで退屈せずに見ていたのが、何よりの証拠。
キャッチコピーの「子どもと一緒におとなも愉しめる本格オペラ」が、ちゃんと実践できていた。
こういうのを、たくさんの子どもたちに見て欲しいなぁ…。

そう、おとなも(私も!)十分愉しんだ。
パソコンに向かっている今でも、まだ目の前には中西さんの歌っている姿がちらつき、耳にはザラストロやパパパが聞こえている。
楽しい夜でした。(あちこちで、いろんな音楽体験をさせてくださる中西さんに感謝!感謝!)