エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;スマートグリッド革命の市場創造力)

2010-10-28 20:56:44 | Weblog
「You Energy」のパラダイムをもたらすスマートグリッドの登場が「革命」とされる理由の一つは、インターネットの100~1000倍の空間が出現してスマートグリッド市場が急速に拡大し、「ビジネス革命」により新産業創出や雇用創出に多大な効果を及ぼすためです。
この点に関して、パイク・リサーチ社(エネルギー産業から製品市場や消費者動向まで広範な調査・分析を行っているアメリカの地球環境保護関連市場の専門調査会社)のスマートグリッド市場に関する調査レポートは、「スマートグリッドはおそらく21世紀最大の技術革新であり、現行のインフラを変革するに当たり膨大な機会を提供している。スマートグリッドの重要な目標は、電気の使用に関して消費者の『情報に基づいた選択』(informed choices)を可能にすることである」として、今後の市場の動向を鋭角的に分析しています。重要なポイントは次のとおりです。
①スマートグリッドの市場規模は、09年の100億ドルから13年には350億ドルに達するが、このうち、HEMSの市場は今後5年から10年の間に急成長する。スマートグリッドの技術は、ノード間の情報の流れの双方向化を可能にするものであり、EIDs(energy management and energy information displays)がスマートグリッドの“顔”であると考えることができる。当面は、電力会社がEIDベンダーの販売チャネルになると考えられるが、ゆくゆくは標準化、インターオペラビリティの確保が進み、EID小売市場が形成される。EIDは、12年までに毎年数百万台の規模で出荷されるようになり、15年には500万台のEIDが主としてアメリカ市場と欧州市場において出荷されることになるだろう。15年までには、1110万人以上のユーザがウェブでつながり、260万人以上のユーザがモバイルでつながれることになるだろう。
②スマートメーターの割合は、現状において3.5%にすぎないが、15年までには18%以上に達するだろう。15年までには、スマートメーターの市場は4倍以上に成長し、380万ドル以上に成長する。09年から15年まで2億台以上のスマートメーターが出荷されるだろう。北米市場においては、12年にスマートメーターの出荷がピークに達し、1500万台以上が出荷される。欧州市場においては、14年から15年にかけてピークに達するであろう。アジア市場においては、15年ころまではピークに達することはないであろう。

③BEMSの市場も急拡大し、10年から20年の間には79億2000万ドルに達するであろう。ゼロエミッションビルの動きが加速されるとともに、ビルによる需要応答 が進展する。需要応答の規模は、20年までに57.5ギガワット(GW)から81ギガワット(GW)にまで拡大するであろう。エネルギー使用効率化の最大の余地は、公共施設、学校、病院にある。

④太陽光発電は、09年には経済危機により小休止したが、今後5年間は再び急拡大し、アメリカは14年までに太陽光発電市場の最大の市場となるだろう。風力発電に関しては、08年に年率50%の伸びを示し、8ギガワット(GW)の発電量が増えて累積では25ギガワット(GW)となったが、09年には経済危機により小休止した。今後の見方に関しては楽観論と悲観論があるが、今後は08年までの伸びではないにしても、15年までには80ギガワット(GW)以上の発電能力に達するであろう。これに伴って、アメリカ市場における風力タービンの売り上げは年率9.7%以上の伸びを示し、15年までには年間の生産量が8000台に達するであろう。

⑤プラグインハイブリッド車と電気自動車に関しては、近い将来はプラグインハイブリッド車が主力になるであろう。これに伴って、15年における充電ステーションの数は世界で530万以上となり、蓄電池市場は10年の8億7560万ドルから15年までに80億ドルに達するであろう。蓄電池の寿命の長期化と価格の低下が急務であるが、リチウムイオン電池価格は15年までに半分程度となり、1kWh当たり470ドルとなるであろう。プラグインハイブリッド車と電気自動車のいずれが市場で拡大するかどうかは、走行距離が長いが価格が高いものを選ぶか、走行距離が短いが価格が安いもののいずれを消費者が選ぶかについて、12年の市場動向がかぎになる。