エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(「電気経済」と巨大ネット空間の出現)

2010-10-23 01:03:55 | Weblog
日本経済の低炭素化、成長を支える“インフラ”が、スマートグリッドという新しい電力ネットワークです。エネルギー効率の向上やCO2排出削減のためには、電気に収れんさせたエネルギー需給構造にすることが合理的であり、「電気経済」が出現しつつあります。電気は電力網を通じてやり取りされるものであり、「電気経済」は本来的に「ネットワーク型経済」です。
しかも、スマートグリッドの基礎となる電力網には全世界で現在40億人の人々がつながれていますが、これは全世界でインターネットにつながっている10億人の人々の4倍に当たります。また、インターネットの場合は、一人ひとりがインターネットに接続しているのはパソコンなど特定の機器に限られます。これに対してスマートグリッドの場合は、サーモスタット、家庭の中のテレビ、冷蔵庫、エアコンなどの家電製品、照明などの個々の家電製品はもとより、電力メーター、ガスメーターなどの機器、プラグインハイブリッド車や電気自動車も接続され、オフィスの中では、さらに、さまざまな空調機器、サーバ、オートメーション機器などがつながることになります。世界中に張り巡らされている送電網、配電網につながっている個々の電力制御機器、ガス制御機器もスマートグリッドのネットワークで接続されることになります。電力を利用するすべての機器がネットワークのノードになるのがスマートグリッドの世界です。この巨大なネットワークの誕生と言うものが、インターネットを凌駕するほどのイノベーションが創造されるという根拠です。これは一種のパラダイム転換と言えるでしょう。
さらに、インターネットの変革が私たちに見せつけたことの一つは、ネットワークに加わるユーザの数の2乗に比例して相乗効果で価値を高めていくという「自己組織化」の現象(「メトカーフの法則」)です。例えばインターネットをベースに形成されていった「Linux」は、ネットワークで自己増殖し,利用が広がっていきました。
スマートグリッドも、ネットワークの規模が大きくなれば、こうした価値向上は無数の分野で生まれてきます。近い将来、インターネットの100倍~1000倍もの巨大なネット空間がスマートグリッドにより出現することは間違いありません。スマートグリッドの志向する巨大なネットワークがどれほどの価値を生み出すのか、まだ誰も正確に把握できていませんが、すさまじいインパクトがあることは確かです。
スマートグリッドというインターネットの100倍~1000倍もの巨大なネット空間は、その規模ゆえに巨大な需要を創出し、技術革新や雇用拡大に与えるインパクト、効果も絶大です。シリコンバレーでは、「エネルギー関連のイノベーションはインターネットを矮小化する」(Energy related innovation will dwarf the Internet.)とまで言われています。