昼下がりのコーヒー豆のあくび アーリーアフタヌーンコーヒー日記

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コーヒー豆屋のちょっとだけゆっくり流れる時間

シスレーの視線

2024-01-29 08:13:10 | 日記
水上の丸刈りにされ寒そうな田んぼ脇の水路に、曙に照らされた月と雲が映っています。
鏡面反射による再限度は80%程だと、西尾維新氏の「続終物語」でオイクラさんが言ってたような気がしますが、川面ではどれ程か。
いずれにしても無理に100%にしようと頑張らない、できることをできるようにやる姿勢に、気温とは裏腹にほっこりした気持ちになります。

「モネ程の練達の域には達せず、ルノワール程の華やかさはなかったとしても、自然の情調を行き渡らせる才能は、明るさ、純粋さ、魂の安らぎをもたらす」とルクレールは亡くなったアルフレッドシスレーを批評しました。後半生を印象派から離脱した多くの仲間と異なり、生涯自己の印象派絵画を開拓し続けた画家、内気でおとなしかったと伝わる画家の視線は、常に自然への愛情に溢れていました。

普仏戦争により実家事業は事実上破産、その後常に赤貧に喘ぐこととなります。絵画だけが唯一の糧となったシスレー。印象派友人作品が数千フランで取引される中、彼の作品はあまり売れず稀に売れても1点数百フラン。それでも彼が筆を折ることはなく、ただ自己絵画の研鑽に努めます。そしていつも穏やかに。死後の翌年、作品「ポールマルリーの洪水」は4万5千フランの値を付けました。

チェーホフ戯曲「鷗」。裕福な地主の娘で女優志望だったニーナは、名声と栄光にあこがれ恋人を捨てた末全てを失い、ドサ廻り芸人として地元に帰ってきます。しかし彼女は役者は辞めないと宣言、地元を後にします。名声や栄光でなく女優そのものが自身の自然な生き方だと気づいたから。

スヌーピーの作者が「人は皆配られたカードで勝負するしかない」と言ったとか。言い換えれば「既に持っているカードでらしく生きていける」。

新しいスキルや知識を貪欲に求め、常に目標を持ちチャレンジする人生も有りだと思いますが、外から得ることに躍起になるより、今持っているものをどう使いどう生きていくかの方が、視野も狭まらず自分らしい自然に近い生き方ができる気がします。

幼少期から学生時代もずっ~と「向上心がない!」と言われ続けたオッサンの感想ではありますが。

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