ある記憶

遥か遠くにいってしまった記憶たち

性に目覚める頃

2008-05-30 22:08:06 | 
はじめて性を意識したのは、多分、中学1年生の時だったろうか。
それまでは、別に僕の中で女も男もなかった。
もちろん、男の子と女の子という、区分はありましたが、
習慣や遊びの空間の違いでしかありませんでした。

祖母、祖父の教育が厳しかったせいもあり、体の発育の進度のわりに、
性の意識が高まる時期は、少し遅かったような気がします。

中学に入り、部活はバスケットボール部に所属しました。
新入生は、先輩にしごかれるのが常ですが、1年坊主になかなかボールさえ
持たせてくれません。ましてやシュートや試合をするなど夢のまた夢。
ところが、偶然ですが僕のクラスの担任の女教師が、バスケット部の顧問で、
クラスの有志を募り、授業が始まる前の早朝、体育館で一緒にバスケをやらせてくれました。



僕は、いつも一緒に通う同じクラスの友達と、ほぼ毎朝参加し下手くそながらも、
バスケの試合に熱中しました。毎朝、7~8人参加していたでしょうか。
その中に、別の町から通うN子という女の子がおりました。
N子も毎朝熱心に早朝バスケに参加していました。
僕の町の中学校は、違う地区や町の5つの小学校から成り立っていました。
N子は、僕とは別の小学校からきた子で、中学で同じクラスになり、はじめて知った子です。
体操部に属し、利発で笑顔の可愛い女の子でした。
今で言えば、“広末涼子”をややぽっちゃりさせたような感じ。
けれど、僕はN子に対し別に異性として何かを感じていたわけでもなく、
単なる早朝バスケ仲間くらいにしか思っていませんでした。
(彼女はどう思っていたかは別ですが・・・)

男も女も関係なくボールの取り合いもしたし、結構エキサイトもし、
先生に注意をされることしばしばでした。



そんなある日、N子がドリブルしてボールをキープしているところへ、
僕は猛然とボールを奪いに向かいました。
N子は、予想以上に巧みにボールを操ります。
N子の正面に立った僕は、ちょろちょろ手を出し、ボールをカットしようとする。
どうしてもN子のドリブルするボールを奪えません。

「よし!今こそ」と一歩踏み込み、ボールのカットのため手を伸ばしました。
何の拍子か伸ばした手が、意図せずN子のふくよかな胸にあたってしまいました。
ふんわり柔らかい感触が僕の手の平から伝わってきました。
ほんの一瞬のことでした。
N子と僕は、その刹那、お互いにお互いを見つめあいました。
びっくりしたのです。何がと言われても、よく分からないまま、
ただただ驚き、互いの目を見つめあったのです。
一瞬のことなのに、その時間がとても長く感じました。
N子は心持ち顔を赤らめ、確かに僕も顔を赤くしていた筈です。
もちろんそれまで、他の女の子のおっぱいなんて触れたこともありません。
その手の感触は長らく残りました。

当然、N子はドリブルし僕のアタックから逃れていきました。
その後、僕はN子を追いかけていったのか、どうしたのか今は思い出せません。
そんなほんの小さな出来事が「性」と言うものを僕に目覚めさせるきっかけだったように思います。

N子は、明るくいい子でした。
僕は、どうしたらよいのか分からず、N子を避けるようになってしまいました。
後ろめたかったのか。本当に情けなくだらしのない男子でした。


あの時の、N子のやや紅潮した顔と僕のドキドキの様子が、今も静止画となって脳裏に残っています。
それくらい僕にとっては、ショッキングな出来事だったのでしょう。
今考えるとなんでと思うくらいちっちゃな出来事なのですが。

N子は地元の人と結婚し、何人か子供がいると聞きました。

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