スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
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パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

スペイン語のタイトルのジャズの曲:Con Alma (3)

2015-07-14 09:13:46 | スペイン語タイトルのジャズの曲
  最後に alma の発音についての注意を。
 スペイン語にも r と l の発音の違いがある。英語の方はおなじみであるが、英語の r は巻き舌で、舌先が上の歯茎につかない。l の方は舌先がつくという違いがある。
 一方、スペイン語の r は日本語の「ラ」行音の子音と同じで、舌先が上の歯茎につき、舌先で歯茎を弾くように発音する弾き音である。l の方も r と同様、舌先が歯茎につくが、弾かない。といっても、分かりにくいが、舌先をべたーっと歯茎に押し付けるようにして発音するのである。
 実は、英語の r とl の区別の方が、スペイン語のr とl の区別よりやさしいのである。日本人は、語中の l を r で発音してしまいやすい。
 例えば、
hola (英語の hello に相当)→ hora (時間。英語の hour に相当)
 muela (臼歯、英語の molar に相当) → muera (死ね)
 この伝でいくと、alma → arma (武器、英語の arm に相当)となってしまう。カタカナ表記の「アルマ」では、まず間違いなく、arma と発音してしまうだろう。
 Arma さんだと、相当腕っ節の強い女性になってしまいそうである。 
 「武装して」という意味の熟語に con armas というのがある。
 ただ、音節末の[s]音が気音化([s]が[h]に変化)したり、消失したりする地域もあるので、armas (複数形)と arma(単数形)の違いが発音の上ではわからなくなることもある。
 結局、con alma → con arma → con armas となって、con alma (元気に、生き生きと)が con armas (武装して)になってしまいそうである。


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スペイン語のタイトルのジャズの曲:Con Alma (2)

2015-07-13 06:48:14 | スペイン語タイトルのジャズの曲
 Alma は個人名としても用いられる。筆者には知り合いはいないが、コスタリカには Alma は女子名としても用いられるとのこと。そうすると、“Con Alma”は、ディジー・ガレスピーのガールフレンドか何かの Alma さんに捧げられた曲かもしれない。
 筆者の知り合いには Alma さんはいないが、懐かしい名前ではある。
 日本では森山加代子のカバーでもヒットした、「恋の汽車ポッポ」(The Train Of Love)や「ポケット・トランジスター」で日本でも有名だった、イギリスの女性歌手、アルマ・コーガン(Alma Cogan)である。
  
 【Alma Cogan with The Beatles】
  【CD4枚組付属の英文解説書より】
  
 【1962年来日時。写真は同CD解説書より】
 アルマ・コーガンはイギリス人とはいっても、父はロシア系ユダヤ人で、母はルーマニア系ユダヤ人である。イングランドやスコットランド系のイギリス人の間では Alma という女子名は一般的なのかどうかわからないが、筆者は アルマ・コーガン 以外に Alma の名を持つイギリス人は知らない。英語版ウィキペディアによると、本名は Alma Angela Cohen というそうなので、芸名として、Alma の名をつけたわけでもない。
 アルマ・コーガンのレコードが初めて出たのは1952年のことで、ディジー・ガレスピーの“Con Alma”が発表される2年前のことである。アルマ・コーガンはデビュー以来、大人気で、1954年といえば、イギリスを代表する女性歌手へと成長していく時期であった。
 ということで、ディジー・ガレスピーとアルマ・コーガンが接点を持っていれば、“Con Alma”は「アルマ・コーガンとともに」という解釈もできるのだが、どうであろうか。
 いつもながらの余談だが、女房殿の親戚には Con を姓にするものもいる。広東出身の中国人の爺さんの姓である。そこに個人名の Alma をつけると、Alma Con さんが出来上がる。まだ、Alma Con さんはいないようだが、いずれ誕生することを期待しよう。


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スペイン語のタイトルのジャズの曲:Con Alma

2015-07-12 08:37:07 | スペイン語タイトルのジャズの曲
 ディジー・ガレスピーのラテン・ジャズの曲、“Manteca”を先日、紹介したが、バラードの“Con Alma”もウェス・モンゴメリーをはじめ、多くのミュージシャンによってカバーされている。筆者が最初に耳にしたのはウェス・モンゴメリーのバージョンであった。
 “Con Alma”は“Manteca”と異なり、ディジー・ガレスピー単独の作曲である。“Manteca”のタイトルは作曲者の一人であるチャノ・ポソがつけたものと推測したが、“Con Alma”はどうであろうか。
 ガレスピーがスペイン語を知っていれば、自分でつけたとも思えるが、チャノ・ポソかだれかのラテン系のメンバーがつけたものかもしれない。
 さて、“Con Alma” の意味だが、英語に逐語訳すると“with soul” ということになる。
 alma は手元の辞書によると、「魂」、「精神」、「生命(力)、元気、活力」、「人」、「中心人物、主役」、「真髄、要(かなめ)」、「(毛玉などの)芯、核」などの意味がある。ボリビアでは「死体」の意味にもなるとか。
 “con el alma” とすると、「心底から」という意味になる。
 “con alma”と、定冠詞を取ると、「 元気、活力とともに」ということで、「一生懸命」、「元気よく」という意味になる。
 そうすると、“Con Alma” は文字どおりには「一生懸命」、「元気よく」だが、曲を聴いた感じでは、“Manteca”のほうがこのタイトルにふさわしい。バラード調で「一生懸命」、「元気よく」ではもうひとつピンとこない。
 ところで、セロニアス・モンクの“Misterioso”のタイトルはスペイン語ではなくて、実は同形・同義のイタリア語ではないかということを述べたが、この“Con Alma”も、そっくりそのままイタリア語としても通用するのである。
 そこで、イタリア語の音楽用語を調べてみたが、“con alma” は見あたらなかったが、“con anima”( 活き活きと、快活に/直訳:魂を持って)というのがあった。“con anima”はスペイン語では、tilde (アクセント記号)をつけて、“con ánima”となる。イタリア語の音楽用語の“con anima”がスペイン語の音楽用語では“con alma”になるのかどうかは、よくわからない(ご存知の方は教えてください)。
 いずれにせよ、alma も ánima も似たような意味ではある。手元の辞書によると、ánima は古語では alma と同義語であったが、現在では煉獄にいる「死者の霊」をもっぱら意味する、とのことである。  


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スペイン語のタイトルのジャズの曲:Manteca

2015-07-10 11:14:12 | スペイン語タイトルのジャズの曲
  ディジー・ガレスピー (Dizzy Gillespie)はラテン・ジャズを推進したアーティストとの記述がウィキペディアにある。当然、スペイン語のタイトルの曲もある。
 中でも、いろいろなアーティストにカバーされている “Manteca” が有名である。
 タイトルはスペイン語で一般的に、「ラード」という意味であるが、「脂肪」、「贅肉」という意味にもなる。スペインのアンダルシア地方では「真髄」という意味にもなり、コロンビアでは「女中」という意味としても使われる、との記述が手元の辞書にある。ラプラタ川流域では「バター」の意味にもなるようだ。
 コスタリカではもっぱら、「ラード」の意味で使われていた。「贅肉」の意味では、grasa (英語の grease と同源)が一般的だった。特に、おなかの贅肉は llanta (ジャンタ、「タイヤ」の意)というのをよく聞いた。
ミシュランのタイヤのキャラクターからの連想だろうか。
 
 ¿Cuántas llantas tiene?(タイヤは何本持っている?)と、聞かれたことがあるが、初めて聞いたときは何のことだかわからなかった。昔はせいぜい1本だったが。
 さて、本題の “Manteca” に戻る。この曲はディジー・ガレスピーとチャノ・ポソ(Chano Pozo)とギル・フラー(Gil Fuller)による3人の共作である。ガレスピーとフラーはラテン系ではないようだが、チャノ・ポソは名前からもわかるように、キューバ出身のラテン系である。 
 そうすると、“Manteca” のタイトルはチャノ・ポソによってつけられたのではないかと推測される。
 どうして、このようなタイトルにしたのであろうか。
 地名由来だとすれば、ポソのなじみのラードを扱う肉屋か何かの前の通りに脂がべとついていて、それで Manteca Street (ラード通り)とでも呼ばれていたのだろうか。
 それとも、コテコテの脂ぎったラテンの曲ということだろうか。または、「贅肉」の意味だろうか。ひょっとして、チャノ・ボソが肥満体型で、自分のニックネームかとも考えてみた。
 ところが、若いころの写真を見ると、全然太っていない。ディジー・ガレスピーも若いころは肥満ではない。
 バンドのメンバーにデブがいたのかもしれない。と、そんなことを思っていたのだが、一応ウィキペディアを調べてみた。そうすると、以下のことが判明したのである。
 チャノ・ポソは1948年にニューヨークで射殺されたが、犯人がチャノ・ポソに品質の悪いマリファナを売って、トラブルになったのがそもそもの発端らしい。
 manteca は手元の辞書には載っている意味は上述のとおりだが、アフロ・キューバンのその筋の業界用語(隠語)では「マリファナ」の意味で使われていたらしい(「マリファナ」の意味でよく用いられるのは Mary Jane という女性名である。これは、スペイン語では María Juana に相当する。これを1語にすれば Maríajuana となり、2番目の a を取れば、立派な marijuana という語が出来上がる)。
 ということで、チャノ・ポソは、表向きは「ラード」ということにして、その裏で「マリファナ」の意味を持たせたものと解釈できる。
 ディジー・ガレスピー自身は、ウィキペディアによると、敬虔なバハーイー教徒(ウィキペディアによると、19世紀半ばにイランでバハーウッラーが創始した一神教とのこと)で、教義により、アルコールや麻薬は禁止されている。
 もし、manteca が「マリファナ」の意味にもなることを知っていれば、manteca をタイトルにするのに反対していたことと思う。
 それはともかく、“Manteca” が脂っこいか、マリファナっぽいかは、ご自身で判断願いたい。
 最後に、manteca に縮小辞 -illa をつけて、mantequilla (マンテキージャ)にすると、「ラード」から「バター」に変身することと、女房殿がかつてアメリカで、ディジー・ガレスピーのコンサートに行ったとき、ご本人から声をかけられたことがあるということを付記しておこう。 


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スペイン語のタイトルのジャズの曲:セロニアス・モンクの Misterioso

2015-07-08 09:36:49 | スペイン語タイトルのジャズの曲
  先日、レコード棚を引っ掻き回していたら、セロニアス・モンクの Misterioso が出てきた。
 これはアルバムタイトルにもなっているが、同時にこのタイトルの曲もあるのである。
 misterioso とは英語の mysterious に相当することばである。英語形に似ているので、スペイン語を知らなくても、なんとなく「神秘的」という意味だろうとは推測できる。
 モンクはどう見ても、ラテン系には見えない。黒人でもスペイン語を話せば、ヒスパニックに分類されるのだが、ヒスパニックでもなさそうである。
 アルバム Misterioso はすべてモンクの作曲であるが、そんなモンクがどうしてタイトルにスペイン語を使ったのかと考えてみた。
 実は、misterioso という言葉はイタリア語でもあるのである。意味はもちろん、発音もほとんど同じで、カタカナで表記すると、スペイン語の方は「ミステリオーソ」で、イタリア語は「ミステリオーゾ」と、最後の s が [s] と発音されるか、[z] と濁るかの違いでしかない。
 このアルバムは日本版もあり、「ミステリオーソ」と表記されている。そうすると、イタリア語ではなく、スペイン語なのだが、日本語表記を軽々しく、信頼するわけにはいかない。
 先日、紹介したオスカー・ピーターソンのアルバム Soul Español の中に Amanha というタイトルの曲があるが、カタカナ表記では「アマンハ」となっていた。これはポルトガル語で「明日」という意味で、発音は「アマーニャ」である。ポルトガル語の「ニャ」行の子音は nh で表される(スペイン語では ñ、イタリア語では gn)。
 ちなみに、amanha は a + manha に分解される。a は英語の to に、manha は morrow (文語。もともとは morning「朝」の意)に相当する。
 さて、アルバム Misterioso のジャケットは下の写真のようにイタリアの画家キリコの作品を使っている。
   
 イタリアの画家にちなむものなら、Misterioso はイタリア語で、「ミステリオーゾ」と発音しなければならない。
 そもそも、音楽用語はイタリア語が多いので、モンクも音楽用語程度のイタリア語はわかるのではないか。
 結論として、モンクの Misterioso はスペイン語ではなく、イタリア語だと思うのである。


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スペイン語のタイトルのジャズの曲:COMO EN VIETNAM

2015-07-06 11:02:47 | スペイン語タイトルのジャズの曲
  キース・ジャレットがゲイリー・バートンと共演したアルバムがある。
 
 この中の1曲が“COMO EN VIETNAM”である。1970年代初頭のアルバムだから、ベトナム反戦歌ではないだろうか。
 このアルバムの曲は、“COMO EN VIETNAM”を除き、すべてキース・ジャレットの作曲である。この曲のみベースのスティーブ・スワローの作曲である。悠雅彦氏による日本語の解説には次のような記述がある。
 「スティーブ・スワローの無益な戦争に対する深い悲しみ」

 それはいいとして、何でスペイン語なのかと考えた。スティーブ・スワローはネットで調べてみたところ、ラテン系ではなさそうである。ゲイリー・バートンもラテン系ではあるまい。
 キース・ジャレットは見た目はラテン系っぽい。アフロ・ヘアがトレードマークなので、黒人系かと思っていたが、実は、母親はスロベニア系で、父親はフランス系またはスコットランド・アイルランド系とのこと(英語版ウィキペディアによる)で、スペイン語とは関係なさそうである。

 さて、問題の“COMO EN VIETNAM”である。英語に逐語訳すると“Like In Vietnam”だろうか。
 スペイン語をかじりかけた当初は、“¿Cómo está en Vietnam?”(ベトナムではどうですか)の意味かと思っていた。最近、アルバムを引っ張り出してみたら、“¿Cómo está en Vietnam?”ではなく、すべて大文字で、“COMO EN VIETNAM”と書かれているのに気が付いた。

 大文字で書くと、tilde (ティルデ、アクセント記号として機能する場合と、同音異義語を区別する機能とがある)は省略されるので、como か cómo かわからない。
 ティルデのついた cómo は英語の how に相当し、「どのように」とか感嘆の「何と!」の意味になる。
 一方、ティルデなしの como は英語の as や like(ような、ように)に相当する。こちらだと、como en Vietnam は like in Vietnam で「ベトナムでのように」という意味になる。

 また、como は動詞 comer (食べる、食事する)の直説法現在1人称単数の活用形である。そうすると、「(私は)ベトナムで食事する」という意味になる。comer は「(何か)を食べる」のように、他動詞としての用法もあるが、単に「食事する」の意味で、自動詞としても使われる。 

 今でこそ、ベトナムはフォーをはじめ、おいしくて安いものがあることが知られているが、ベトナム戦争当時は、グルメ情報は皆無に等しかった。
 というわけで、やはり“COMO EN VIETNAM”は「ベトナムでのように」の意味ではないだろうか。
 それにしても、やっぱり、スペイン語タイトルにする必然性がわからない。
  
 いろいろ、ネットで検索していたら、Alipio Paoletti という作家が“Como los nazis, como en Vietnam”(ナチスのように、ベトナムでのように)というタイトルの本を1987年に出版していた。 
  
 このフレーズはベトナム戦争当時からラテン・アメリカでは人口に膾炙していたのかもしれない。そして、ヒスパニックを通じて、一般のアメリカ人にも浸透していたのであろうか。 


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スペイン語のタイトルのジャズの曲:Perfidia

2015-07-03 08:11:50 | スペイン語タイトルのジャズの曲
  「パーフィディア」Perfidia
 我々の世代では、ベンチャーズのエレキ・バージョンに親しんでいるが、もともとは、メキシコのアルベルト・ドミンゲスが作曲したもので、その後、英語詞がつけられ、1941年にアメリカで流行。グレン・ミラーのバージョンが大ヒットした。先日、レコード棚をひっくり返していたら、トミー・ドーシーのバージョンがあったので、久しぶりに聞いてみた。
 ベンチャーズのエレキ・バージョンが流行していた当時、高校生だった筆者は「パーフィディア」という発音に何ら疑問を抱かなかったが、スペイン語をかじるようになって、これはおかしいと思うようになった。
 er の部分は英語風にあいまい母音で発音されているが、スペイン語としては「ペルフィディア」である。意味は、「不実」とか「裏切り」という意味で、perfidia に対応する英語形は perfidy である。
 もともとがメキシコの曲なので、タイトルもスペイン語そのままになっている。英語形もスペイン語形に近いので、英語話者にも意味は容易に類推できる。そういうわけで、英語タイトルに変更する必要もなかったのであろう。
 これまで取り上げた、スペイン語タイトルの曲は地名に由来するものばかりだったので、Perfidia もちょっとだけ期待していたのだが、見事に裏切られた。
 しかし、ひょっとして Perfidia Street というのが実在しないかしらんと思って、調べてみたが、やっぱり見当たらなかった。 
 それにしても、Perfidia Street(裏切り通り) って、かなりインパクトがあると思いませんか。町おこしにいいかもね。目立たない裏通りを「裏切り通り」にするだけで、ちょっと行ってみようかという気になりませんか。


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スペイン語のタイトルのジャズの曲:Embarcadero (埠頭)

2015-07-02 11:04:22 | スペイン語タイトルのジャズの曲
  デイブ・ブルーベック・カルテットの「テイク・ファイブ」はジャズ・ファンでなくても知っている超有名曲である。作曲はメンバーのアルト奏者、ポール・デズモンドである。
 このデズモンドがギターのジム・ホールと組んで作ったアルバムの中に「テイク・テン」というのがある(名盤です)。タイトル曲はもちろん、「テイク・ファイブ」を意識して作られたものである。
   
 このアルバムの中に“Embarcadero”という曲がある。日本語訳はスペイン語を素直に直訳して、「埠頭」となっている。
 embarcadero とは、何とも難しそうな言葉だが、実は意外とやさしいことばである。
 この言葉 は、em + barca + dero に分解できる。
 em は英語の in に相当する。barca は barco (船)の母音が変化したもので、barco はスペイン語では基本語彙である。英語の bark にも関連しているが、英語の bark は船一般ではなく、「艀(はしけ)」の意味である。
 そして、「船に入る(つまり、乗船する)」のが、embarcar で、英語では embark に相当する。英語の方の名詞形は embarkation で、出入国管理の出港地、出発地(Port Of Embarkation)で使われる単語である。反意語は disembarkation で下船地(到着地)の意味で、これまた、出入国管理の必須語彙である。
 embarcar (乗船する)場所が、embarcadero で、それで「埠頭」ということになる(ちなみに、「港」はスペイン語では puerto である)。
 さて、何で、こんなスペイン語のタイトルになったかというと、これも地名ではないかと推測されるのである。
 ポール・デズモンドはサンフランシスコの生まれである。サンフランシスコに限らず、カリフォルニアはかつてメキシコ領だったので、スペイン語の地名がたくさん残っている。そのサンフランシスコに Embarcadero という歴史的な埠頭があり、周辺の地区もそう呼ばれている。幼少期の思い出から、このようなタイトルの曲ができたのであろう。
 
 The Ferry Building on The Embarcadero at Market Street
 Central Embarcadero Piers
【ウィキペディアより写真と説明文を拝借。Embarcadero と Piers は同じ意味のはずだが】
 もし、以上のことが正しければ、Embarcadero は地名なので、「埠頭」と訳さずに、カタカナで「エンバルカデーロ(地区)」とやったほうがいいのかもしれない。

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スペイン語のタイトルのジャズの曲:Coronado

2015-07-01 10:03:30 | スペイン語タイトルのジャズの曲
  今回は Perdido ほどの有名曲ではない。
 レコード棚をひっくり返していたら、クリフォード・ブラウンの Best Coast Jazz というアルバムがあった。
  
 East Coast と West Coast の best musicians を集めたということのようだ。
 で、このレコードのA面に入っているのが、Coronodo である。アルバム・ジャケットには、このようにつづられているが、裏面の曲目解説には Coronado となっている。coronado は立派なスペイン語であるが、coronodo という語は辞書には見当たらない。たぶん、Coronado が正しいのであろう。
 coronado は動詞 coronar の過去分詞で、英語では crowned (王冠をかぶった)に相当する。coronar のもとになる名詞は corona で、「王冠」の意味のほかに「(太陽などの)コロナ」の意味もある。
 そこで、何でこんなタイトルになったか考えてみた。
 作曲者は Coles とだけクレジットされていて、どんな人かよくわからない、と油井正一氏が日本語ライナーノートに書いている。
 また、このアルバムはロサンゼルスで録音されている旨の記述もライナーノートにあった。そうすると、Coronado はカリフォルニアによくある、もともとはスペイン語の地名ではないか、と推測される。
 ネットで調べてみたら、サン・ディエゴの方に Coronado という町がある。町の旗は当然ながら、王冠をあしらっている。
  
 また、この町には Coronado School of the Arts Foundation という学校があって、ジャズ・フェスティバルが2015年5月に開催されている。
  
 Best Coast Jazz に収録されている Coronado はこの街のことかもしれない。ちなみに、このアルバムが録音されたのは1954年だが、昔から、Coronado はジャズが盛んな町だったのだろうか。
 
 2020年2月18日追記
 新型コロナウィルス肺炎が流行しているが、まさかスペイン語で coronado が「新型コロナウィルスに感染した」という意味にはなっていないだろうな。


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