スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

ネイティブ・スピーカーによるスペイン語の誤用(7)過去の文に現在完了形を使う

2013-07-06 18:41:16 | スペイン語
 ペルーのスペイン語の続きである。
 スペイン語の過去形には2種類ある。一つは点過去といって、英語の過去形に相当する。もう一つは線過去という名前で、こちらは「~していた」という意味の過去で、英語の過去進行形と重なる部分もある。
 また、英語同様、スペイン語には現在完了もある。形も用法もだいたい英語と同じである。
 ところが、ペルーのスペイン語では現在完了形を点過去の代わりに使用している人もいるのである。
 たとえば、「私はきのう、肉を食べた」は英語では“I ate meat yesterday”で、決して“I have eaten meat yesterday”とは言えない。これをスペイン語に置き換えると、標準的なスペイン語では“Yo comí carne ayer”となる。これをペルーでは“Yo he comido carne ayer”とやるのである。
 スペイン語の点過去の活用形は結構難しく、筆者の場合も最初は大変であった。ネイティブ・スピーカーなら簡単に慣れてしまいそうなものなのだが。一方、現在完了形のほうが確かに活用は簡単だと思う。外国人学習者も同様だと思う。
 フランス語とイタリア語に目を向けてみると、話し言葉ではペルーのスペイン語と同じ現象が起こっている(フランス語の場合、書き言葉ではスペイン語の点過去に相当する活用形があり、単純過去という名前になっている)。現在完了形が過去の意味でつかわれているが、誤りではないのである。フランス語では複合過去という立派な名前も持っているのである。英語の現在完了形との違いは次のとおりである。
 他動詞の場合は have に相当する語に過去分詞を付け加える。
 自動詞の場合は be に相当する語に過去分詞を付け加える。
 スペイン語の現在完了は英語同様、過去分詞の前はhaveに相当する haberでよい。
 英語でも“Spring has come”と“Spring is come”のように自動詞の場合は、be動詞を完了の助動詞に使うこともあり、微妙なニュアンスの違いがあるが、それについてはここでは触れない。
 将来、フランス語やイタリア語と同じように、ペルーの現在完了の活用形が過去を表す正式な用法として認められる日が来るかもしれない。

「へえ~」クリック
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ

『スペイン語とともに考える 英語のラテン語彙の世界』(開拓社:言語・文化選書36)好評発売中。Amazonでも入手可。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ネイティブ・スピーカーによ... | トップ | ネイティブ・スピーカーによ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

スペイン語」カテゴリの最新記事