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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

THIRD STAR その9

2016-09-12 20:38:29 | 僕が星になる前に
Third Star

Directed by Hattie Dalton
Produced by Kelly Broad, Vaughan Sivell
Written by Vaughan Sivell
2010 UK

ジェイムズ→J マイルズ→M デイヴィー→D ビル→B
()内は原作より補足しています。



そしてついにバラファンドル湾にたどり着きました。


B:「バラファンドル湾だ」
J:実は僕が来たかったのはここじゃないんだ・・・
ジェームズの言葉にみんな笑います。
J:ありがとう。
(僕の言葉をみんな冗談だと思ったのだろう。
でも僕が行きたかったのはここじゃない。もっと遠くだ。僕はそこに行くつもりだ。)


3人が大はしゃぎで海に潜り、ジェームズも足だけ海に入ります。


5年前と変わらぬ光景がそこにありジェームズはわずかな至福のひと時を過ごします。


ジェームズの身体が冷えてしまったので早めにキャンプの支度をしています。


B:波の音を聞くと穏やかな気持ちになるよな。
しばらくするとジェームズが口を開きます。
J:ごめん。みんなの人生にケチをつけるなんて。つまり僕は・・・

すると突然マイルズが告白します。
M:俺、お前の姉さんと寝てるんだ。
ジェームズは目を見開いたまま無言です。


M:10年間ずっと彼女を想い続けてるんだ。
J:Shit・・・
M:彼女がマイクと結婚した時も俺はただ黙って見ているしかなかった。
子どもを産んで幸せに暮らしていると知っても諦められなかった。
それで彼女に思いを伝えたんだ。
J:マジかよ。
M:お前が病気になった時に会ったんだ。皮肉だよな。
J:そうだな。
M:近いうちに彼女は子どもたちと一緒に俺と暮らす。
俺たちは愛し合ってるんだ。


ジェームズは何も言わずその場を離れます。

遠くに行くこともできないので近くの岩陰に来たジェームズはかなり動揺していました。
恋愛も遊びのうちだと割り切って遊んできたマイルズに潔ささえ感じていたのに
それは見せかけだけで本当はずっと一途にクロエを想い続けてきたマイルズ。

マイルズがすぐに追ってきます。
M:ジェームズ。
J:彼女の気持ちは知ってたよ。女は大抵お前を気に入るし。
M:じゃあ、どうしてそんなに驚くんだ。
J:お前が望めばどんな女でも手に入れられるのに、どうして彼女なんだ。
M:わかってるだろう。
J:子どもたちはどうするんだ。
M:大事にするさ。
J:マジかよ!いつ僕に言うつもりだったんだ。
マイルズは何も言い返しません。
J:そうか、僕には言わないつもりだっか。
M:ああ。
J:認めてほしいのか?
M:いや。必要ないよ。


「そうか。」とシニカルな笑みを見せて歩き出すジェームズを追いかけるマイルズ。
M:ジェームズ!聞けよ!聞いてくれ!
M:俺の父親がいつも俺に話していた。世の中には他の何よりも誰よりも大きくて強くて美しいものがあると。
それは何だと聞いても答えてくれなかった。それを見つけた時にわかると。
俺はそれを見つけたんだ。
J:うまくいくといいな。
無表情のまま、離れていくジェームズ。


ビルとデイヴィーに涙を見せたくなかったジェームズはずっと海を見ていました。
マイルズは黙ってジェームズの隣に座っています。


J:何もないな。


J:覚悟はできてると思っていた。でも今は・・・あと9か月生きていられれば、
ビルの赤ちゃんにも会えるしクロエの決断も見届けられるのに。
でも僕はその前に逝くし、僕がいなくてもみんなの人生は続いていくんだ。
不思議なことに、僕が一番恐れていたのはこれなんだ。
でも今は・・・ホッとしてるんだ。すごくホッとしているよ。


ジェームズはマイルズを見て笑みを浮かべますがマイルズはよく意味がわからず複雑な表情で笑い返しています。


その夜。
デイヴィーが半分焼けた本を読んでいました。
M:本、面白い?
D:ページの半分が焼けているからすごく面白い。
J:僕は泳いでくる。
D:お前、お母さんに無茶するなと・・・
J:わかってる。明日、僕は泳ぎに行って戻ってこない。
無理な事を言ってるのはわかってる、だけど頼む、泳がせてくれ。


B:ジム、そんな事できるわけないだろう。
J:できるよ。問題はやる気があるかどうかだ。
B:ずっとひとりで計画してたのか?
ビルの問いかけに躊躇しながらも頷くジェームズ。


B:お前は生きたいんだと思ってた。なぜ・・・
J:僕の人生はこれからずっとこうだから。
苦痛とそれを和らげるために薬を飲み、副作用を抑えるために別の薬を飲むんだ
お前たちも見ただろう。悪化の一途をたどるだけ。
今は気力でもっているけど、それももう限界だ。
これからは次第に痛み以外何も考えられなくなる。そうなればもう生きてる価値はないんだ。

B:どれだけ痛いのか俺には想像すらつかないが俺達には・・・
J:何?
B:やっぱり無理だ。
J:頼む。
B:お母さんやお父さんに何て言えばいいんだ?
D:バカげてる。お前が正気でこんな話をしてるなんて信じられない!


J:警察に話すのと同じ内容でいいんだ。朝起きたら消えてたと。
砂浜を探してたら海に何が浮いているのが見えた。
すぐに海から引き揚げたが手遅れだったと。
B:お前の家族を思えば別の日にしてもいいんじゃないか。ちゃんと別れが告げられるように。
J:どちらにしろまともな別れはできないんだ。
D:出来るよ。まだ時間はある。
J:僕は今までにないくらい生きてる実感を感じている。
だからここで終わりにしたい、今度こそ自分で何かをやり遂げたいんだ。
ジェームズはマイルズを見ます。


B:帰宅して普通の人がやるように薬の過剰摂取じゃダメなのか?
それを聞いたジェームズが笑います。

B:苦痛もないし眠るように逝けるよ。
J:それじゃ負けなんだ。自ら海に飛び込むのとは違う。僕は自分でその方法を選択したいんだ。
死ぬまで意識を保って、何かを感じたいんだよ。たとえ肺に入り込む海水の痛みだとしてもね。
闘っている事を実感したい。とてつもない恐怖に立ち向かうんだ。

それはジェームズの暗い情熱でした。
ジェームズはみんなを説得しようとしますがデイヴィーの答えはNoでした。
D:俺はお前をちゃんと家に帰すって約束したんだ。
ジェームズはビルを見ますがビルの答えもNoでした。
最後にマイルズを見ますがマイルズは黙ってただ首を振るだけでした。

ジェームズの目に涙があふれます。
J:そうか。わかった。いいんだ。無理な頼みだった。


続きます。