明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



 金魚の赤井赤子の赤井は養母赤井ハツから来ているのだろうが、犀星は〝自分は養母を愛したことは一度もなかった。寧ろ自分は母を恐れるために生きていたようなものだった〟と恨みがましく書くのが常である。四人の子供を貰い育てたハツは、確かに気が強そうではあるが、意外な美人である。にこりともせず常に小言を言い、特に女中の子という言葉に傷付く。子供に付いて来る金で昼間から飲んでいたそうだが、それくらいの事で四人も育てる事は出来ないだろう。一面子供の乳臭い匂いが好きな温かい所もあったという証言もある。 犀星は怒ると一切食事をしない。〝食事をしないことは無教養な母を怖がらせていたのは、どういう訳だか分からなかったが、自分は直ぐに膳から立って外へ出てしまうのだった。母はそういう時は食事をさせるため自分を追いかけ〟と書いている。 私の母は育児書が役に立たない私のせいもあり口うるさく、私は瞬きが止まらないチック症になった。それでも感謝している事は多いがその一等は私が何をしでかしても食事を抜かされる事が一度もなかった事である。 ただ夕飯時、すでに済んだことに対し怒りが再燃するのには閉口した。『今日は何もしてないだろ!』男は「それはもう済んだことだろ。」と一生言い続ける必要がある。犀星とは関係ない話しであった。

旧HP

『タウン深川』明日出来ること今日はせず 連載第14回〝青春の日の一撃〟

『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube



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