行き当たりばったり、数打って当たれば良し、という段階から脱出したいと、イメージした質感にこだわることにしたら、それが迷走の始まり。オイルプリントは難しいと改めて。確かにゼラチン層を厚くした石塚式なら小学生でも画像は出るだろう。田村写真でのワークショップを覗いたら、初めの1カットでものにしている人がいた。私のかつての孤独な戦いはなんだったのか、と嘆息した。だがしかし、連戦連勝と行く人はそういないであろう。手技ならではの意味不明な出来事が起きる。手の感覚がすべてといってよく、データ通りにやれば上手くいくという技法ではない。そこが写真が苦手な私に合っていたわけだが。 本日の1カット。失敗を繰り返し、ようやく完成した。背景の調子はオイルやブロムオイルなどピグメント(絵の具)プロセス独特のものであろう。粒子がまるで無い、水に沈んでいるかのようなローキーな感じが私は大好きである。主役の女性は画用紙の凸凹感も拾って背景とは一味違っている。 もう20年くらい前のことだが、ある写真誌の編集者が写真展のことを取り上げてくれたので、別の機会にオイルプリントを見てもらったことがある。彼曰く「こういうのはコンピューターでできますから」。面白いことをいう編集者である。もっともこうやってブログに載せながら、実物とのあまりの質感の違いにガッカリな私であった。
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