明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



TV東京の『世界ナゼそこに?日本人SP』でカリブ海のベリーズというジャングルで自給自足の生活をする人が出て来た。私が陶芸作家を目指していた頃、一年一緒に生活した先輩のMさんであった。 Mさんが北関東のイノシシのせいで廃村になってしまった、4キロ四方に人家がない場所で独立するというので、もう一人の先輩と手伝うことになつた。番組では手製の五右衛門風呂に浸かっていたが、当時は私が五右衛門風呂を湧かした。湧き水をFRP製の風呂に貯め、靴下をフィルターに、半分に割った竹をといにして蛇口までひいた。そう思うと電気、ガスがあることを除けばベリーズの生活は驚く程ではない。食用にアルマジロを捕る場面がでてきたが、Mさん現地人をただ見ているだけ。たぶんこの手の作業は苦手であろう。 よく思いだすのは、材料の買い出しに先輩2人が車で出かけた。若い陶芸家の卵がたくさんいる産地で羽を伸ばしていたのだろう。帰ってこない。私は1週間程犬と取り残された。山菜採りが1人登って来たくらいで、その1週間は人にも会うことはなかった。TVもない。いわれた仕事は済ませてしまった。こんな状況じゃないとやれないことを考える。こういう場合、おそらく1割くらいの人は密林王ターザンを試みるのではないか?全裸になり犬と一緒に山の上へ。しかし砂利が痛くて10メートルで挫折。ついでに、生まれてから肛門に太陽光が当たったことはなかったろう?。4キロ四方人がいない所で、1週間人に会わないとこんなものである。 Mさんは当時から自給自足生活にあこがれを持っていたが、インドへ行ってから拍車がかかったようである。止めてから数年後に訪ねていくと、陶芸をやっている様子はなく、陶芸用の窯は薫製窯と化しサバ等がぶら下がっていた。「あんまり考えなくていいんじゃないの?」ニコニコしながら美味しそうなタバコをふかしていた。再婚した外国人の奥さんと理想の生活を手に入れ、幸せそうでなによりである。それにしてもちょっと老け過ぎじゃないの?

過去の雑記

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