弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

サラクレ無料相談

2007年03月04日 | ⑤法律問題について
私の所属している弁護士会で今年の1月から,いわゆるサラクレ事件,個人でサラ金(今は消費者金融と言っているらしい)とクレジットの支払に困っている人ための無料相談を始めました。

司法書士等が同じようなことをやっていて,依頼者を食われるからいうのが本音らしいです。
まあ依頼者を取られるお金の問題だけではなく,司法書士の申立事件でいい加減な事件が比較的たくさんあって,破産管財人が苦労するのも困るというのもあるらしいですが。
とはいえ,うちの弁護士会の中では比較的司法書士の先生方が頑張っておられるらしく,簡単な案件は司法書士のほうがいいかもしれませんが,やはりややこしい案件は弁護士に頼まないとしんどいというのはあるんでしょうね。

先日,私はこのサラクレ無料相談に行ってきたのですが,相談者のひとりがおっしゃるにはTVコマーシャルを見て来たとか。
本当がどうかはよくわかりませんが,とうとう弁護士会もTVコマーシャルをするようになったのですね。
せっかく作ったいい制度を広く世間に知ってもらいたいというのはいい感じと思いますが,もっと知ってもらった方がいいこといっぱいあるやろと思うのですが,組織というのはお金の問題から動くのでしょうかね。

このサラクレ無料相談は,弁護士もボランティアで行くので,同じ弁護士会所属の弁護士には人気はなく,約月イチで順番が回ってきます。

私は,このようなボランティアも弁護士の仕事の一部かなと思いつつ行ったのですが,TVコマーシャルのせいか,弁護士にとってはいい事件ばかりでびっくりしました。
サラクレ事件で弁護士にとっていい事件と言ったら,少し前にこのブログで紹介しました「過払金返還請求事件」です。
これは弁護士や司法書士がやるとほぼ100%勝てて,依頼者にお金が返って来るというものです。
依頼者の方には,借金がなくなるだけでなく,お金まで返ってくるというので,とても感謝されますし,弁護士も楽に勝て,弁護士費用自体も過払金で十分すぎるほどまかなえるので,とてもありがたい事件です。

ちなみに,相談者のおひとりから聞くには,相談者が個人で貸金業者に請求しても業者はなかなか受け付けてくれないそうです。
その相談者は一人で取り返せず弁護士費用を取られることを非常に悔しがっていて,結局弁護士費用をかなり値切られました。
この方が自分で取引の履歴を取ってきており,こちらが貸金業者から取る手間が省けたので,私は特別に少し値切りに応じました。

過払金は,25%以上で貸しているところで,だいたい平成8年か9年ころから借りてほとんど遅れずに返している人に発生することが多いです。

私が行ったサラクレ無料相談では,6件中5件が過払金が少なくとも一部は発生している事件で,その5件すべて受任して帰りました。
しかも,そのうち1件は,昭和の時代から借り続けていて,取引履歴を計算し直すと,なんと過払金が1000万円超えちゃいました(ここまで多額になることはとても珍しいですが)。
おいおいどんな借り方と返し方してたんや。
ほとんどこの20年間,サラ金のために生きていたということやないかい。
ほんま可哀想なことでしたが,弁護士を依頼してその努力が少しは返ってくることになりますね。
まだ依頼者には報告していないけど,報告したらきっと大喜びされるのではないでしょうか。
早く依頼者の喜ぶ顔が見たい!!

うちの地域ではほとんどこういう事件は解決済みだと思っていたのですが,意外に埋もれているものですね。
TVコマーシャルのおかげで,こういう事件がたくさん埋もれていることがよくわかりました。

過疎地ではこういう事件がたくさん埋もれているらしいです。
田舎の人はサラ金から借金していることが人に知れると恥だと思っている人が多く,人知れず苦労して払い続けているそうです。
これはサラクレ相談だけでなく,他の事件でもたくさんの人が泣き寝入りして我慢し続けているということを示しています。

法テラスやひまわり公設事務所が全国津々浦々まで浸透し,弁護士過疎が本当の意味でなくなったこういう泣き寝入りする人が少なくなるのでしょうかね。

逆にいうと,現在就職で困っている修習生は,弁護士過疎地にはいくらでも事件が埋もれている可能性が大なので,是非積極的に弁護士過疎地に行かれてはいかがでしょうか。
当初は,こういう過払事件ばかりに負われるかもしれませんが,それはそれでいいかせぎになるので今後の貯蓄になるでしょうし,その他一般事件についてもたくさんあるでしょうから,きちんと勉強さえし続ければ,都市に戻ってきても弁護士として十分通用するはずです。

私は結婚していたので,地元を離れることはできなくて,過疎地には行けませんでしたが,若い人なら数年行って戻ってくることもできるはずです。

是非これから法曹を目指す若い人たちには,企業法務や渉外だけでなく,過疎地や本当に困っている人のために働ける仕事にも目を向けて行ってほしいものです。

中途半端な町の弁護士をやっている私には,数年過疎地に行くのはとても魅力的な感じがします。

また,10年以上高い利息を払い続けている人は,是非法律事務所(弁護士の事務所)の門をたたいてほしいと思います。
借金苦から逃れられるだけでなく,運がよければお金が返ってくる可能性がありますので(10年以上借入れしてない人も弁護士に依頼すれば借金を大幅に減らすことができる可能性が高いです。)。

ちなみに私個人もサラクレ相談は無料でやっておりますので,10年以上とはいわずお困りの方は,気軽に相談下さい。
しかるべきアドバイスまたは事件処理をさせて頂きます。
くわしくは,deppa@mail.goo.ne.jp までメール下さい。

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