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弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

うその説明で集金か、投資コンサルを家宅捜索

2011年01月12日 | ⑨投資被害
先週,標記の題で下記のニュースがありました。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110106-OYT1T00483.htm

福岡市博多区の投資コンサルタント会社「ワールドゲートカンパニー」が顧客に対し、「絶対にもうかる」とうその説明をして、原油や金などの海外先物取引に勧誘した疑いが強まり、福岡、宮城両県警は6日、特定商取引法違反容疑で本社や仙台市の支店などを捜索した。


 捜査関係者などによると、同社は海外先物取引を勧誘する際、「40万円が100万円になる。絶対にもうかる」とうその説明をして、北九州市の女性から120万円を振り込ませた疑いなどが持たれている。福岡県警は、同社が2008年頃から、九州や東北を中心に全国の高齢者らから、少なくとも20億円を集めていたとみて調べている。

 同社を巡っては、「話の内容が分からないまま手続きを進められて投資したが、金が返ってこない」「電話で勧誘され、次々と投資したが、金が回収できない」といった相談が08年度に10件、09年度に38件、10年度34件、福岡県内の消費生活センターに寄せられている。宮城県のセンターには10年11月までの約1年間に12件寄せられ、計4000万円を振り込んだ相談者もいたという。

(2011年1月6日14時48分 読売新聞)



この会社は,大阪にも支店があり,私も2回ほど被害者側代理人として戦いました。
神戸先物研究会,全国先物研究会でも,被害報告が少なからず上がっていた会社で,私も個人的に要注意だとマークしていた会社でした。

ニュースでは,「原油・金などの海外先物取引」を勧誘したと言っていますが,私が実際にやった事件では,海外商品先物オプションの買いの相対取引(あいたいとりひき)でした。

※海外商品先物オプション取引・・・一定の海外の商品先物を一定の時期(期限)に,一定の額(権利行使価格。ストライクフライスともいう。)で買ったり,売ったりする権利を売買する取引。
※※相対取引(あいたいとりひき)・・・取引所などを介さず、売り手と買い手が直接に取引すること。銀行対銀行、銀行対顧客といった1対1の取引。取引価格も、取引の方法も、当事者同士の交渉によって決まる。



オプションの価値は,実質的価値と時間的価値とに分類され,前者は,先物の時価とストライクプライスの差(マイナスの場合はゼロとなる)であり,後者は,簡単にいうと,先物の時価がストライクプライスに達して利益を出す期待値のようなものです。
つまり,オプションの買いは,商品先物の時価が決められた期限にストライクプライスに届いていなければ,実質的価値も時間的価値もゼロになってしまい,投資したお金が全部飛んで行くハイリスクな取引なのです。
そして,オプション購入時の先物の時価がストライクプライスに届いていない状態で,その価格の幅が大きければ大きいほど,ストライクプライスに達して利益が出る可能性は低くなり,それだけ価値が低くなります。

この会社は,利益が出る見込みのかなり低い,ほとんど価値のないオプションを客に売り付けてるということを,少なからずやっていたようです。

また,相対取引で,客と会社の1対1の勝負なので,客に利益が出てしまうと,逆に会社が損をしてしまい,会社が困る取引だったのです。
にもかかわらず,この会社は客に「これを買った方がよい。」「あれを買った方がいい。」とアドバイスをしていたわけです。

それも,相対取引で,自社の取引でもあるのにかかわらず,顧客に対し安くない手数料を取った上でです(手数料はオプションの数量に対し一定だったのですが,売り付けたオプションに価値がなかればないほど相対的に手数料が高くなってしまいます。)。

よくわからなくても,何となく変な話って思いませんか。

この海外商品先物オプション取引の相対取引は,商品の仕組みとして,非常に問題がある取引だと私は感じていました。


今年の1月1日から,先物取引を規制する法律である「商品取引所法」が改正され,名前も新たに「商品先物取引法」に変わり,今まで規制がほとんどなかった「海外商品先物取引」「海外商品先物オプション取引」「ロコ・ロンドン貴金属取引」も取り締まるようになりました。
その結果,この分野でも,業者が登録ないし許可制となり,無許可・無登録業者がなくなり,相対取引も,店頭取引・のみ行為が原則禁止されることになりました。

この法改正と,今回の警察の対応で,このような問題のある取引がこの世からなくなるといいのですが・・・



TV取材お蔵入り

2010年12月25日 | ⑨投資被害
平成22年12月11日に記事を書いた後,実際に取材を受けました。

しかし,取材直後・報道前に,相手方からかなりいい条件で和解を申し出があり,それを受諾したため,提訴は取りやめになりました。その結果,私と依頼者の取材結果は報道はされず,お蔵入りになりました。非常に残念でしたが,依頼者の利益がまずは優先なので,この和解を蹴ることができませんでした。

報道されていれば,多くの被害者の救済,被害の予防になることが期待されただけに,先物被害救済の立場の弁護士として,非常に悩みました。和解を蹴って,報道してもらった方が,全体的には,市民(特に一般消費者)への注意喚起,被害者の泣き寝入りの防止,悪徳業者の撲滅などによる被害の予防・救済の効果の総和は,目先の依頼者の利益より大きいことはほぼ間違いないからです。
しかし,このような利益の保護は,私の道義的な責任にすぎないのですが,目の前の依頼者の利益は私の法的責任なのです。

私が悪徳業者に対する勝訴的和解をすること,悪徳業者に財産的ダメージを与えや牽制を与えることになるし,被害予防・救済は他の手段でも実現できるという「言い訳」はできますが,ここら辺に,私自身の「器」の限界があるのかもしれません。
しかし,この2年間の生活費のほとんどを取られて明日の生活にも困っていた依頼者に対し,「日本の社会をよくするために,あなたの老後の生活のための全財産を僕に預けて下さい。解決は1,2年後になるかもしれません。裁判官のあたりが悪いと過失相殺で賠償額を晴らされる可能性もあります。業者が早期に行政処分を受けて倒産する可能性もなくはないです。でも和解以上の結果になる可能性もなくはないですよ。」なんて,私には言えません。
私がお金持ちだったら,解決までの生活費を面倒見てあげて,訴訟の結果,和解額まで取れなかったら,その分保証してあげればいいのでしょうが,僕はそれができるほどお金持ちではありませんでした(さらに,依頼者に勝訴保証するのは弁護士倫理上も問題があります。)。

はあ・・・

私がこんなに悩むのも,全部,人の生き血をすする悪徳業者が悪い!!悪党ども叩き潰してやる~!!はあ・・・


TV取材~投資被害~投資被害について思うこと

2010年12月11日 | ⑨投資被害
明日(平成22年12月12日),私の専門分野である先物被害事件についてテレビ局から取材を受けます。

具体的な話はできませんが,今週中に提訴しようと思っている案件で,依頼者と一緒にです。

私は普通に話しててもすぐ噛んだり,言い間違ったりするので,うまく話せるか心配です。
でも一番は視聴者に伝えられるかです。
まだはっきり放映日時は教えてもらっていませんが,よく狙われている50歳代以上の主婦や定年後の男性が見る時間帯になる可能性が大きいかなと思います。
おそらく関西ローカルのニュースです。

一方,依頼者は,騙されたという恥ずかしさを我慢して,自分と同じような被害者がこれ以上増えないよう頑張ってくれるそうです。
ありがたい話です。


ところで,
投資で騙される人に対し,「欲をかいたくせに」とか「騙される方が悪い」とか言う人がいます。

しかし,意外に騙させる人は欲をかいていない場合も多いです。「営業マンはいい人そうだし,会社も信用できるかも。損しないならまあいいか」という感じです。

実際,この依頼者も,特に儲けようと思っておらず,女性2人に勧誘され,若い女性が自分を騙すようなことはしないだろうと思い,元本割れする可能性等ほとんどないというように思いこまされて,取引を始め,その結果,全財産を持っていかれました。
人を信じやすいとても感じのよい方で,今まで人を騙すことも,騙されることもなかったのでしょうね。バチの当たるような悪いことなど一切して来ず,まじめに生きていた人が,突如,理不尽に全財産を奪われる。
この人に対し「人を見たら泥棒と思え」なんて思わなければならない世の中って本当に悲しい話です。

彼ら(彼女ら)は,どういう気持ちでこんなことをしているんでしょうか?良心はないのでしょうか?
訴訟の尋問で「人の全財産を根こそぎ自社の利益に変えて,全く心痛まないの?」と聞いてあげたいですが,絶対に相手の弁護士から異議が出るので,一回も聞いたことはありません・・・


逆に,儲けようと思ってやっている人もいますが,特に人より欲張りというわけで,欲に目がくらんだわけではなく,一応リスクはあるが大丈夫ともっともらしいよくわからない相場の話を合わせて説明され,なんか頼もしいそうだし,年金や銀行の利息は少ないし,一回任せてみようかみたいな感じで,騙されるケースが多いです。

年金・利息の減少などで将来に対する不安という心の隙間に,うまくつかれ,つい騙された感じです。

私からすれば,儲けようと思った人は,欲は人並みレベルで,人を安易に信じてしまうから,引っかかったという感じです。人を信じやすいいい人を軽率だからと言って,わざと人を陥れた人より責めていいものでしょうか。

騙された人も,みんな最初は自分だけは騙されないと思っていた人がほとんどです。

「騙される方が悪い」という言葉は私は嘘だと思います。
「騙すより騙された方がいい」という言葉と混同してるんじゃないかと思います。
絶対的に,騙す加害者(詐欺罪が成立するなら犯罪者)が,騙される被害者より悪いです。
騙す奴だけはそんなことを言うなって感じです。
騙されると加害者が逃げる等して払ったお金が二度と返って来ないかもしれないというリスクを負うという意味で,自分を守れなかったことについて「騙されるのは悪い」というなら,まだわかります。


現在,投資被害はかなり跋扈しています。
その原因は,我々被害弁護士の力がまだまだ不足しているというところもありますが,お上にも責任があると常々実感します。

まず,裁判所。加害者が最初から騙すつもりがあったと本当は分かっているのに,今までの裁判例に引っ張られて,安易に過失相殺(交通事故でいう過失割合のこと)をしすぎです。
安易な過失相殺は,裁判所が悪に手を貸しているのと同じです。

次に,警察。相談者から聞く話によると,被害届を受理してくれないことが多いとか。話を聞いてくれるだけで,帰らせられる。おそらく,被害届を受理すると,捜査を始めて,検察に送致しないといけなくなるから,手間がかかるからでしょう。
酷い時は,「欲をかいたあんたが悪い」「警察は民事不介入だから」と酷いことを言って,帰らせられる。前者は傷ついて恥を忍んできてる被害者にいうにはあまりにも心がなさすぎです。後者はほとんどの刑事事件は民事事件でもあります。そんなことをいうと,泥棒しても「これは民事事件ですから」といえば許してくれるのかっての。そんなわけないのにね。
(かつては闇金事件もこういう対応だったようです。今はいろいろあって闇金についてだいぶ改善したようです。)

最後は,監督官庁。業者に対する監督が緩すぎです。法規制も含めて後手後手に回りすぎです。頑張ってる人もいることはわかっていますが,もうちょっと思いきっていろいろやってほしいです。

投資被害は,高齢者の全財産が根こそぎ取られるなど被害が甚大になることが多いので,上記のお役所には早く態度を変えてもらいたいです。

また,話が脱線しちゃいましたが,被害の救済・撲滅のため,私としてできることとして,明日は頑張ってインタビューに答えてみようと思います。


ギャンブルの必勝法と先物会社の「客殺し」

2010年12月06日 | ⑨投資被害
私は,大学時代から司法試験受験時代,競馬と麻雀にはまり,事務員時代・弁護士時代は先物取引被害等を客観的に見たり,また,福本伸行氏のギャンブルマンガ(「カイジ」「アカギ」「銀と金」等を愛読していたことから,人よりギャンブルの必勝法がわかっていると自負しています。
ただ,自分ではどれもできないものばかりですが(笑)。あと,ギャンブルは合法なもの以外は犯罪になりますので,ご注意願います。

ギャンブルの必勝法は,正攻法でいうと,2通りあります。

一つは,①自分が親になって,掛け金の一定額を親の取り分とし,何らのリスクは負わず,それ以外のお金を他人間のお金の取り合いにするという方法です。

例えば,宝くじの国や地方公共団体,競馬のJRAなどです(これは普通の人がやると,犯罪です。)。
証券会社や先物会社がやるように,手数料だけを取って利益を出すというのも実質的にはこの部類に入ります。
これは貸卓代を取る雀荘も同じといえるでしょう。

もう一つは,②無限の資金力をもって倍々プッシュを繰り返すことです。

簡単に言うと,半町バクチで100万円かけ,負けたら200万円をかける。さらに負けたら400万円,さらに負けたら,800万円・・・という感じに勝つまで繰り返す方法です。資金が無限にあれば絶対に勝てます。

しかし,実際には,無限の資金等あるはずもありません。多少の資金があってもいうかは資金が尽きるまで連敗してしまう可能性は低くはありません。
例えば10連敗する可能性は2分1の10乗=1024分の1しかありませんが,100回すると約10%,500回すると約39%,1000回すると約62%と,回数を増やうほど,どんどん確率は高くなります(1024分の1023を1000乗したものを100%から引いたという計算になります。)。
また,1024分の1といっても,運が悪ければ,それが最初にくる可能性だってあるわけです。宝くじの1等に当たる可能性なんかより全然高いのです。


正攻法以外の必勝法も2通りあります。

一つは,③イカサマです(犯罪なので絶対にやらないでください)。
イカサマの方法はギャンブルによっていろいろありますが,金融商品取引では,相場操縦やインサイダー取引ガこれに当たるでしょう。

そして,もう一つは,④勝負相手に必敗法をさせることです。

ギャンブルの必敗法は,勝ったら,元本も利益も全部次につぎ込むということ(相場の用語で「利乗せ満玉」という)を延々と繰り返すことです。
例えば,半町ばくちで,100万円をかけて勝ったら,次は元金の100万円と利益の100万円の200万円全額を次の勝負につぎ込み,さらに勝ったら400万円,さらに勝ったら800万円・・・と延々と繰り返します(逆倍々プッシュ)。
要するに,負けるまで全部かけ続けるわけです。

これを勝負相手にさせることなどできるわけないと思われるかもしれませんが,実際には,先物取引などでは,行われることが少なくありません。

それは,俗にいう「客殺し」商法です。

先物業者は,お客さんに取引をさせて,高い手数料を取るので,基本的にはリスクなく,稼ぐことができます。
しかし,先物会社の中には,手数料だけでは飽き足りない,客の取引損全部も自分らの利益にしたいと考える輩がいます。

具体的な方法は次のとおりです。
)客がする取引と逆の取引を業者がする(先物は空売りができ,売りから入ることも買いから入ることもできます。客が空売りしたら,業者は同じものを買い,客が買ったら,業者は同じものを空売りします。これを「向かい玉」といいます。)
)客を思い通りに動かし,「利乗せ満玉」を繰り返させる
)客が嫌がっても負けるまで取引をやめさせない(仕切り拒否・手仕舞い拒否)。

)は,難しそうですが,客が素人なら,実際はそんなに難しくありません。
これは客が素人で何もわからず,先物業者をプロでその判断を信用させ,自分のために言ってくれているものだと信用させることが必要ですが,実際には,1回勝たしてもらえば,その判断は信用できるということになり,自分のために言ってくれているということになるのです。

客殺しをする先物業者は,早くより多くお金を取るために,客が自分の言いなりになっていることをいいことに,頻繁に売買を繰り返させ,手数料を抜いたり,客が儲けたら利乗せ満玉をさせ,客が損したら損を取り返すことをネタに追加資金を出させます。
それは,客の資金が底を尽きるまで(もっと悪い業者は借金までさせて)続きます。
その結果,客は有り金全部を短期間に奪われます。

このように客殺しをする先物業者は,前述の①と④の方法を駆使して,客に必勝し,荒稼ぎをするわけです。

こういうことをする輩は早く撲滅し,きちんとした業者だけで公正な市場を作ることが,先進国としては急務だといえるでしょう。

国内公設の先物取引の業者も,だいぶ減り,海外商品先物取引業者,海外先物オプション取引業者,ロコロンドンまがい取引業者,CFDまがい取引業者などは,来年1月の商品取引所法の改正法「商品先物取引法」で,許可・登録が必要になります。
これで,かつてのFXのように,上記方法などをする悪徳業者がほとんど滅びてくれることを,心から祈ります。

これができれば,あとは未公開株詐欺を滅ぼすとだいぶ金融商品被害が減ります。
ちなみに,未公開株詐欺を滅ぼすには,まずは,これらの被害の実態を随時マスコミ等で広報することです。
次に,非上場の株式・社債・その他金融取引・利殖取引の訪問販売・電話販売・通信販売などの事業所外の取引を一律禁止することとです(一定以上の年齢の者,年金生活者,労働による対価を得ていない者だけでもこれらを禁止するだけでも大きいです。)。

金融取引被害についても,マスコミも勇気を持って証言してくれる人がいれば,取材をしてくれやすくなります。
勇気を持って証言してくれる方がいらっしゃればうれしいです。名前や顔や声を隠してでもいいですが,なるべく隠さない方が取材してくれる可能性は上がります。
未公開株,先物,その他に限らず,そのような方がいらっしゃれば,私のところに言ってきていただければ,知り合いのマスコミの人に売り込んで行きたいと思います。
特に,今は,未公開株,未公開社債,CFD,オプション,仕組み債などが取り上げられやすいと思います。


通貨デリバティブで経営難、金融庁が実態調査へ

2010年12月06日 | ⑨投資被害
題のとおりのニュースが,読売新聞のインターネットニュースで今年12月5日(日)15時22分に配信されました。

(以下,記事引用)

 金融庁が、メガバンクなどの主要行を対象に、「通貨デリバティブ」と呼ばれる金融商品の販売方法や取引先の損失状況などについて実態調査に乗り出すことが4日、明らかになった。

 急速な円高で、通貨デリバティブを購入した中小企業が多額の損失を被り、経営難に陥っている事例が出ているためだ。調査結果を分析し、銀行に適切な販売を促す考えだ。

 帝国データバンクによると、通貨デリバティブが原因で倒産した企業は2008年は3社だったが、今年は11月末時点で16社に上り、国会でも問題視する意見が出されている。

 金融庁は〈1〉銀行が取引先などに無理な販売をしていなかったか〈2〉損失のリスクを事前に説明していたのか――などの点を調べる。

(以上,引用終わり)

「デリバティブ」とはわかりにくいと思いますが,簡単にいうと金融派生商品のことで,先物,スワップ取引,オプション取引など,あと,これらを盛り込んだ仕組み債です。

通貨デリバティブとは,主に,FX(外国為替証拠金取引)や通貨オプションでしょうか。

一昔前はFXでの被害取引が多かったですが,法規制で悪質業者がほとんど滅び,彼らはロコロンドンまがい取引に移って行きました。
今はFXのネット取引が盛んで,自分から進んで取引を始め,外務員が介在していないので,基本的には自己責任ということになり,また,ロスカットルール(一定以上の損が出たら自動的に取引を仕切って終わらせてしまう。これにより元本以上の損がなかなか出にくくなる。)もあり,ほとんど被害報告がなくなりました。

逆に今は,通貨オプションという取引が問題となっているようです。
今大阪の先物・証券被害研究会の所属弁護士が,日興コーディアル証券を相手に訴訟をあっているようです。http://www016.upp.so-net.ne.jp/yama38/nikkoutuuka.html(記憶は定かではありませんし,どこの証券会社の事件か忘れましたが,京都でも似たような事件があると聞いたような気もします。)

上の大阪の事件は,確か,米ドルのプットオプションの売りを3枚,コールオプションの買いを1枚をセットで行う円建ての取引で,証券会社との相対取引(1対1の勝負)で,円安が一定以上進むと解約されるという条項(トリガー条項)がついていたと思います。

これだけ聞いても,わかる人はほとんどいらっしゃらないと思いますが,オプションを買うより多く売るので,いきなりプラスからスタートします(ただし,証券会社に証拠金として多額のお金を保証金として預けますが)。それで,一定以上円高が進まなければ,その利益がそのまま確定し,円安が進むと一定まではさらに利益が出る,円高がかなり進むまで損にならないというものです。

一見すると,超いい夢のような話のようですが,実は大きな落とし穴があるのです。
円安が進んでいっても一定以上になると証券会社に解約されてしまい,利益が限定して
いるのですが,逆に,円高が進んでいくと,顧客は利益の何倍・何十倍もの,甚大な損害を受ける可能性があるからです。

そもそも,この取引は証券会社との1対1の勝負の相対取引,営利企業である証券会社が自社を損させてまで,客に勧めるということは考えられません。
やはりそこには勝算があるからやっているのではないかという疑いがどうしても生じてしまいます。

オプションの売りは一般に勝率のよい取引と言われているようですが,1回の損でそれまでの利益を全部吹き飛ばしてしまう可能性のある危険な取引なのです(平成17年の最高裁判決でも,オプションの売りは素人には原則適合しない難解でリスクの高い取引とされました。)。

さらに,経済の専門家の中では,何年も前から円高傾向にあることは常識だと言われているようです。
それは,日本の金利が安く,諸外国の金利が高いことから,日本はデフレ傾向にあり貨幣価値があまり下がらず,外国はインフレ傾向にあり,貨幣価値が円より下がっていくことが原因だそうです。ただ,為替は他の要因でも動きますので,一概には言えませんが,これが円高に引っ張る力は無視できず,長期的にみると円高がかなり進む可能性は高いそうです。
このままの金利で行くと,そのうち70円台を切り,60円まで落ちると予測している人もいるそうです。(あくまで予測です。金利が変われば変わりますし,日銀が貨幣を発行しまくったり,日本や他の国で大きな戦争が行っても予測は変わってきます。)。

このような情報は証券会社は,シンクタンクなどで専門家に研究させて当然知っていますが(外務員まで知っているかは別ですが),顧客は知りません。
私自身も,今までの為替のチャート表から,1米ドル360円からどんどん円高が進んでいる傾向にあることを忘れ,前に70円台に行ってからまた140円台まで上がって,長らく上がったり下がったりを繰り返していたことから,2年前くらいに「米ドルは強い。多少下がってもまた上がる。今は90円くらいだが,また100円以上になるだろう。FXで20~50倍くらいレバレッジで米ドルを買って,ひと儲けしよう。」と思ったくらいです。

私の場合は,当時自由に使える現金が少なかったこと,ネット取引の開始の手続が面倒だったこと,予想が一旦逆に行った時に,ロスカットされてしまい,これを取り戻すためには難平(ナンピン)というか,倍の資金が必要になることから(俗にいう「倍々プッシュ」),これを何回も繰り返す自信がなく,資金ショートの恐れがあることから,手が出せませんでした。

結果は,一旦円高が進み,その後,90円台後半までドルが持ち直してきたので,1,2回倍々プッシュにできれば大儲けできました。引き際を間違えると,その後の円高で大損をしていました。

ともかく,上記のニュースを見ると,FXは現状ロスカットルールにより,中小企業が倒産する可能性が低く(会社の全財産を1回の勝負につぎ込めば別ですが),銀行等の無理な販売や説明義務が問題となっている点で,プットオプションの売りやこれを盛り込んだ仕組み債が販売されていた可能性が大きいと思っています。

倒産まで行っていなくても,通貨オプション,仕組み債等の通貨デリバティブ取引で大きな損を出した方は,自己責任だとすぐ諦めず,私や私の所属している神戸先物・証券被害研究会,最寄りの先物被害研究会・証券問題研究会等にご相談ください。


未公開株式・社債、リゾート会員権等被害110番の実施について

2010年08月20日 | ⑨投資被害
前の記事で告知していました電話110番の詳細がわかりましたので,ご報告いたします。

下記のとおりです。
               記
1 日時
 2010年(平成22年)8月24日(火)午前10時~午後3時

2 相談方法
 電話相談のみ(相談料無料)

3 電話番号
 078-351-2231
 ※当日のみの臨時専用回線です。

4 相談担当者

 兵庫県弁護士会消費者被害救済センター委員
 神戸先物・証券取引被害研究会会員
                      以上


ちなみに私は上記の時間帯全部いるわけではなく2時間だけです。

被害がなく電話が全然かかって来ないことが望ましいです。
でも被害は現実にたくさんありますから,やはりたくさんかかってほしいですね。

未公開株商法については,金融庁のHP等でも詳細に紹介されています。




未公開株商法(社債等も含む)の電話110番

2010年08月19日 | ⑨投資被害
平成22年8月24日(火)の午前10時から午後3時までの間,未公開株(社債等の金融商品も含む)を扱った詐欺的商法の電話110番を,私が幹事と務めている兵庫県弁護士会の消費者救済センターと私が会員となっている神戸先物・証券被害研究会の共催で行うことになりました。電話番号については,追って本ブログでも紹介しようと思います。

電話110番の目的は,これらの詐欺的商法防止のための広報と被害救済です。

すべての未公開株商法がそうだというわけではないですが,一般の投資の素人の消費者,特に高齢者に無差別的に電話勧誘するものの多くは,振り込め詐欺同様のものですので,この記事を読んだ方は,十分注意をして頂きたいのと,近くの高齢者には振り込め詐欺同様こういうものには注意してほしいと口づてでもいいので,広めていただきたいと思います。



未公開株商法は,株式を上場(東証一部等の証券市場,店頭公開等)をしていない会社の株式を,「もうすぐ上場する」「上場は確実」「上場すると株価が2倍にも3倍にもなる。」と言って,売りつける商法です。

将来有望な会社で上場する可能性の高い会社の株を,青田買いしておくのは一つの投資の形だと思います。株式発行会社としても資金調達ができるというメリットがあり,社会的な必要性もあります。

しかし,有望だという予想が外れた場合には,株式の価値は下落し,結果上場もできなければ流通性も低いので,「紙切れ同然」にもなりうる取引で,極めてリスクが高く,そもそも,何も知らない素人が手を出すような取引ではありません。
未公開株式は,基本的には,その会社の関係者(経営者,従業員,株主,取引先等)や投資のプロ(例えば,村上ファンドみたいなプロ集団)だけが手をだすものです。
そもそも一般の素人を相手に無差別で電話をかけて勧誘されることはごく稀だと思います。

以上は,本当は実態がある会社の場合で,詐欺とはいえない場合です。


現在,高齢者を中心に狙った,振り込み詐欺の同様の手口の詐欺が横行しています。

そのほとんどは,実態のない会社の株式,転換社債(新株予約権付き社債),普通社債等,またはそれらに投資するファンドの持分権といった無価値の有価証券を売り付ける詐欺です。

そして,発行会社と消費者の間に,第三者が入ることが多いです。
それは取引を仲介する会社だったり,販売する会社だったりしますが,最近は「一部の限定された人しか買えないもので,公開されると価値が何倍にでもなる。2,3倍で買い取るので,手に入ったら教えて欲しい。」等と言ってくるサクラを使うパターンが多いです。
これは発行会社の詐欺と言いにくくするための,彼らなりの工夫のようです(しかし,実態は詐欺以外の何物でもないですが)。

その後,なぜか自分はその限定販売を受ける権利に当たるという偶然が起きたことになります。

そして,何も知らない人は,口だけで何の根拠もない「近々公開して,値上がり確実」というサクラ等の勧誘の話を鵜呑みにして,命の次くらいに大事な何十年もかけて貯めたお金をびっくりするほど簡単に出してしまいます。


取り返すためには,我々弁護士を雇うコストもかかりますし,相手方の破産等で返って来ないリスクもあるので,まずは,引っかからないことが肝心です。

引っかからないためには,自分のよくわからない儲け話,それも知らない人からの話は載らないことです。
特に電話で顔も見えない人の話に乗るというのは,本当に恐い話です。

いい話と思うのであれば,まずだれかに話して相談してみましょう。ただ,詐欺師達は,「すぐに買わないと売り切れる」と急かしますが,大事な大金を預けるのに,即決することなどあり得ないです。なぜなら,嘘だったら,ゼロになる可能性があるからです。数日たって売り切れたのなら,縁がなかったとあっさりあきらめるべきです。

それと,発行会社や第三者の言うことだけを根拠に信じてはいけません。嘘というのは簡単につけるものです。まず,言ってることについて必ず裏を取りましょう。
しかし,公開準備を本当にしているかどうかなどの裏など取れるわけはありません。

パンフレットは彼らが作っているので,言っていることと同じです。
パンフレットには,発行会社の資本金,資産,純資産,売上,損益などの実績が載っていることはほとんどありません。
商業登記簿を見ると,資本金額自体も嘘をついていることもあります。
そもそも公開間近なのに資本金が1000万円しかないというあまりに不自然な話です。

発行会社のホームページはパンフレットと同じなので,それだけでは信じられません。

インターネットを調べると,前からやっているものは大概未公開株商法として紹介されているものもありますので,それらでヒットしたなら,徹底的に信用できるか調べるべきです。



一度,引っかかると,詐欺会社の顧客リストに載ってしまいます。これはいわゆる「カモリスト」です。
カモリストに乗ると,自宅に,詐欺会社から次々電話や郵便が届くようになります。

「買った未公開株を買い取ってやるが,その前にうちで取引をして実績を作ってほしい」と言ってさらに未公開株式を売り付ける手口(後でやっぱりその株は買い取れないと言われます。),「被害者の会を作って,取り返す。その費用を払え。」「顧問弁護士に」と言って,その後放置するか,最後に取り返せなかったという手口(顧問弁護士の名前すら教えてくれません。),「探偵だけど,取り返すための調査をしよう。そのための費用を払え」と言う手口(これも被害者の会とかと同じ結果になります。)などといろいろ言われます。

さらに,最近の手口は,「お金は1円も出さなくてもいいから,未公開株を買う名前を貸してくれ」とか「お金を出すから,代わりに買ってほしい」と言われ,申込だけすると,何らかの理由で買うのやめたと言われたり,お金を出さなかったりして,発行会社等から,「注文した以上買え。買わないとどうなるかわからないよ。」と脅されるパターンも出てきます。

あと,今は,株式だけではなく,社債(転換社債,新株予約権付き社債も含む)だったり,ゴルフ会員権だったり,不動産だったり,絵画だったり,イラン等の外国の通貨だったりと投資の種類も多様化しています。


投資被害を受けないためには,①自分の大事なお金を預けるのだという自覚を持つこと(詐欺師にお金を預けると1円も返って来なくなる可能性があります。),②安易に業者の言うことを信じないこと(全く信じるなという意味ではありません。),③自分のわからないものには手を出さないこと(目をつぶって外を出歩くようなものです。)です。

ただ,詐欺集団や悪徳業者は,これらができない人を狙ってきます。
人のいうことをすぐに信じてしまういい人や年をとって判断力が鈍ってきた人が狙われるのです。


こういう詐欺商法もだいぶ有名になってきているようですが,まだまだ周知が徹底していません。
このブログを読んだ方は,あなたやあなたの短かの人が騙されないように,周知して頂きたいと思います。

あと,騙されたと思ったら,まず弁護士に相談しましょう。最近,弁護士でない者が弁護士がやるべき事件を解決するといういわゆる「事件屋」が増えています。
「事件屋」はいわゆる「非弁行為」という犯罪です
結果的にうまく解決する場合もあるかもしれませんが,二次被害を受ける場合もありえます。

というわけで,8月24日火曜日に電話110番やりますので,よろしくお願いします。



専門分野~先物・証券被害事件

2009年12月14日 | ⑨投資被害
私は,独立するに当たって,専門分野を作っててよかったなと思いました(注意:ここでいう専門分野とは,そればかりやっている分野を指すわけではなく,その分野について他の一般の弁護士より特に力を入れている分野,また,特に勉強しないとすぐに始めるにはなかなか難しいかもしれない分野のことを指します。)。


私の専門分野は,先物取引被害事件,証券取引被害事件その他金融商品取引被害事件です。

私は,神戸先物・証券被害研究会*先物取引被害事件全国研究会*全国証券問題研究会*に所属し,勉強会,講義,情報交換,全国大会などを通じて,先物・証券その他金融商品の取引被害の回復について,勉強し,実際に多数の事件をやりました。
ちなみに私の研究・発表の成果はこちら⇒「PRDC債について*


これらの事件を見てて思うのが,業者にむちゃくちゃやられているのに(被害者に自覚がある場合とない場合とがある。),実際には自己責任だとあきらめてしまって,泣き寝入りをしている人が多いんじゃないだろうかということです。
弁護士の所に来るのは,勇気あるごく少数の人か,家族に見つかり無理矢理つれてこられた人ではないでしょうか。

こられる方のほどんどが,一生懸命働いてきたお金等命の次に大事なお金をわずかの期間に失って,とても心を痛めている人が多いです。


泣き寝入りするかどうか,専門の弁護士に相談に行ってからでも遅くはありません。時効があるので,できるだけ早く相談に行かれることお勧めします。
どうしても相談に行くのがつらい方は,まず自分の事案が確実に負けるべきものかどうか,下記のサイトで検索してからでもいいと思います。
先物取引や金融商品の裁判例の検索データベース*証券判例データベース(投資家勝訴)*

調べ方がわからなければ,まず,自分が取引した会社と自分の属性で検索して,勝った事例があるかどうか見られてはいかがでしょうか。

似たような事案で勝った裁判例があったとしても,確実に勝てるかどうかやってみないとわかりませんが,箸にも棒にもかからないかどうかぐらいはわかるのではないでしょうか。
自己責任だと思い込んでいた方にとっては,一部とはいえ意外に勝っているものだという感想を持たれたのではないでしょうか。


最近は,金融商品まがい事件が増えて来ており,私もどちらかというとそちらの対応が多いです。
たとえば,未公開株式事件,ロコ・ロンドン金取引まがい事件(実際はロコ・ロンドンが悪名高くなたので別の名前を使っていることが多い。),CFD取引まがい事件,ファンド(投資事業有限責任組合,匿名組合等)まがい事件,社債まがい事件などなどです。


あと,被害に会わないためには,電話や訪問による勧誘は相手しないことが一番です。話も聞かないし,家にも上げない,家に来ても追い返す。
一回話を聞いてしまうと,これらの取引の場合には,下手すると今まで何十年もかけて作った財産のほとんどを,わずか数ヶ月で失ってしまうことになる可能性もありますので。
信じがたいことかもしれないですが,実際に私はこのような人を何人も見ています。
本当に許せないことです。


これからも度々,この手の事件について情報発信して参りたいと思います。

ともかく,こういった被害でお悩みの方は,お近くの先物・証券被害関係の研究会*まで,できるだけ早めに連絡して相談する弁護士を紹介してもらうことをお勧めします。

他の事件でもそうですが,一人で誰にも言えず悩んでいるのは,精神衛生上よくないと思います。

なお,関西在住の方で,私でもいいとおっしゃる方には,不肖ながら私が相談に乗らせていただこうと思います。⇒法律相談の受付