デンマンのブログ

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鹿爪らしい(PART 1)

2020-02-01 03:44:22 | 日本人・日本文化・文学論・日本語
 

鹿爪らしい(PART 1)

 


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デンマンさん。。。 デンマンさんが2017年8月に投稿した『漱石とオナラ』という記事を先日、読んでいたら次の箇所に出くわしたのですわ。。。

 


文芸と道徳

 


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道徳に関係のない文芸のお話をすれがいくらでもありますが、たとえば今私がここへ立って難しい顔をして諸君を眼下に見て何か話をしている最中になにかの拍子で、卑陋(ひろう)なお話ではあるが、大きな放屁(ほうひ)をするとする。
そうすると諸君は笑うだろうか、怒るだろうか。


そこが問題なのである。

というといかにも人を馬鹿にしたような申し分であるが、私は諸君が笑うか怒るかでこの事件を二様に解釈できると思う。
まず私の考えでは相手が諸君のごとき日本人なら笑うだろうと思う。

もっとも実際遣ってみなければ分らない話だから、どっちでも構わんようなものだけれども、どうも諸君なら笑いそうである。
これに反して相手が西洋人だと怒りそうである

どうしてこういう結果の相違を来(きた)すかというと、それは同じ行為に対する見方が違うからだといわなければならない。
すなわち西洋人が相手の場合には私は卑陋の振舞をいちずに徳義的に解釈して不徳義---なにも不徳義というほどのこともないでしょうが、とにかく礼を失していると見て、その方面から怒るかもしれません。

ところが日本人だと存外単純に看做(みな)して、徳義的の批判を下す前にまず滑稽を感じて噴き出すだろうと思うのです。
私の 鹿爪(しかつめ)らしい 態度と堂々たる演題に心を傾けて、ある程度まで厳粛の気分を未来に延長しようという予期のあるやさきへ、突然人前では憚るべき音を立てられたのでその矛盾の刺激に堪えないからです。

 (中略)

道徳と文芸というものは、決して切り離すことのできないものであります。
両者は元来別物であっておのおの独立したものであるというような説もある意味からいえば真理ではあるが、近来の日本の文士のごとく根底のある自信も思慮もなしに道徳は文芸に不必要であるかのごとく主張するのははなはだ世人を迷わせる盲者の盲論といわなければならない。

 

(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)




145-147ページ 『夏目漱石、現代を語る』
漱石社会評論集
編著者: 小森陽一
2016年5月10日 第1刷発行
発行所: 株式会社 KADOKAWA

『漱石とオナラ』に掲載
(2017年8月1日)


 



上の文章を読んでいて、鹿爪らしい という言葉に出くわしたのですわ。。。 もちろん、これが初めてではなくて、何度か出くわしていたのですけれど、辞書を引くのが面倒なので、解っているつもりで、なんとなく読み飛ばしていたのですわァ~。。。



うん、うん、うん。。。 分かりますよ。。。 僕も、英字新聞を読んでいると、解らない単語に出会っても、いちいち辞書を引くのは面倒なので、大体の意味を文脈で推測しながら、読み飛ばすことがありますからねぇ。。。

。。。で、改めてその意味をデンマンさんからお聞きしたいのですわァ~。。。

ジューンさん。。。 ネットをやっているんだから、面倒と思わないでネットで検索してください。。。 僕だって、はっきりと100%確信もって言えないのですよ! ジューンさんのためにネットで調べました。。。

 



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しかつめ らし・い

 

( 形 ) [文] シク しかつめら・し

〔「しかつべらしい」の転。「鹿爪らしい」とも当てる〕

 

① まじめくさっていて、堅苦しい感じがする。 もったいぶっている。

例文 「しかつめらし・い顔つきで挨拶をする」

 

② いかにも道理にかなっている様子だ。もっともらしい。

例文 「しかつめらし・い話」

例文 「女房(かみさん)も粘つこい口調でしかつめらし・く説いた/微光 白鳥」

 

[派生] しかつめらしげ ( 形動 ) しかつめらしさ ( 名 )

 

「しかつめらしい」に似た言葉

» 類語の一覧を見る

佶屈 堅い 詰屈 窮屈 堅苦しい




(注: イラストはデンマン・ライブラリーから貼り付けました。
赤字はデンマンが強調)

『weblio辞書』より


 



漱石の上の文章の場合、「① まじめくさっていて、堅苦しい感じがする」 という意味ですよ。。。 つまり、次のように言い換えることができます。。。

 


 


(soseki011.jpg)

 

ところが日本人だと存外単純に看做(みな)して、

徳義的の批判を下す前にまず滑稽を感じて

噴き出すだろうと思うのです。

私の 鹿爪(しかつめ)らしい態度と

堂々たる演題に心を傾けて、

ある程度まで厳粛の気分を未来に

延長しようという予期のあるやさきへ、

突然人前では憚るべき音を立てられたので

その矛盾の刺激に堪えないからです。




ところが日本人だと存外単純に看做(みな)して、

徳義的の批判を下す前にまず滑稽を感じて

噴き出すだろうと思うのです。

私の まじめくさっていて、堅苦しい感じがする態度と

堂々たる演題に心を傾けて、

ある程度まで厳粛の気分を未来に

延長しようという予期のあるやさきへ、

突然人前では憚るべき音を立てられたので

その矛盾の刺激に堪えないからです。





なるほどォ~。。。 このように説明してもらうと、実によく分かりますわァ~。。。



いや。。。 浦島太郎の僕こそ勉強になりますよ。。。 うへへへへへへ。。。

ところで、デンマンさん。。。、どういうわけで「しかつめらしい」を「鹿爪らしい」と書くのですか?

 


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言葉の意味は「鹿の爪」とは全く関係ないではありませんか!



あのねぇ~、実は次のような昔話が伝えられているのですよ。。。 

 



むかし、むかし、山小屋で熊さんと寅さんが囲炉裏(いろり)の猪鍋を挟んで晩飯を食べてました。

 


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「寅さんよ、いつまでも独り身でいてもしょうがなかんべぇ~。。。 ええ女子(おなご)を紹介するから一緒になったらよかんべぇ~。。。」

「熊さんの知り合いの女子かよう?」

「んだァ~。。。 器量もそこそこだし、性格もええんだァ~。。。」

「熊さんの知り合いに、そないな女子がおるかいのう。。。」

寅さんは、にっこりと笑って うれしそうでした。。。

。。。と、ちょうどそこへ、山小屋の入り口に鹿が現れたのでした。

 


(shika04.jpg)

 

「あれっ。。。 こりゃァ~、めんこい鹿じゃねぇ~かァ~。。。」 寅さんが鹿の顔をしみじみと見て言いました。

「なんで、こないな所に、出てきよったんだべぇ~。。」

「腹減らしてるんだべ。。。 いい匂いがしたんで、たまらなくなってやってきたんだべよ。。。」

「ほれっ。。。 こっちゃこォ~。。。」 寅さんが猪の肉をつまんでシカの足元に投げてやりました。。。

「鹿は草食動物だから、肉は喰わねどォ~!」

「たまには喰うだよ。。。 塩分や鉄分を補給せにゃならんから。。。」

鹿は、ちょっとばかり匂いをかいでから、一口食べました。。。

その時、虎さんが鹿の爪に気づきました!

 


(shika05.jpg)

 

「あれっ。。。 この鹿の爪は、一方が、信じられないぐれい長いどォ~。。。」

その時、あれほど嬉しそうだった寅さんの表情が、急に心配そうにまじめくさって、堅苦しい表情になったのでした。

おわり。。。



 



それで、「しかつめらしい」という言葉を「鹿爪らしい」と書くようになったのですか?



そういうことです。。。

ちょっと信じられませんわァ~。。。

どうしてですか?

デンマンさんは、コラージュして写真をデッチあげるのが趣味ですから。。。

つまり、僕が上の昔話をデッチあげたと、ジューンさんは思うのですか?

その可能性が大いにありますわァ~。。。

僕は、そのような不誠実な事はできない性分です。。。

でも。。。、でも。。。、これまでに わたしの写真を ずいぶんとコラージュして デッチあげたではありませんかア!

 


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『犯罪サイトと現実主義者』より

 



しかし、上の昔話は、僕が子供のころ祖母から聞いたのですよ。。。 昔の人は “信じる者は救われる!” と言ったのです。。。 だから、ジューンさんも僕の言葉を信じて、幸せにな気分で日本語を勉強してねぇ~。。。



(laugh16.gif)


(june902.jpg)

 (すぐ下のページへ続く)










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