◇おはん(1984年 日本 113分)
英題/Ohan
原作/宇野千代『おはん』
監督/市川崑 脚本/市川崑 日高真也 製作/田中友幸 市川崑
撮影/五十畑幸勇 美術/村木忍 衣裳/斉藤寛
音楽/大川新之助 朝川朋之 主題歌/五木ひろし『おはん』
出演/吉永小百合 石坂浩二 大原麗子 ミヤコ蝶々 常田富士男 横山道代
◇追悼市川崑その22
たぶん、これが宇野千代の抱いていたっていうか、当時の日本的な男女の抜き差しならない関係なのかもしれない。
まあ、それは現代でもひと皮むけばこんなものかもしれないけど。
ただ、ふたりの女を対比するのに、ジトジトとトカラカラはとっても分り易いんだけど、主役の吉永小百合がいかにもジメジメと陰気臭くて、情欲にばかり貪欲な雰囲気が醸し出されてて、もうどうしようもなく陰湿な印象を受ける。
こういう女は、旦那の石坂浩二だって困るかもしれないし、なんだか厭なんじゃないかな~とおもってみてたら、案の定、みょうちくりんな関係になってくる。
愛人の大原麗子と一緒になったのはいいけど、だんだん本妻の吉永小百合の情にほだされ、愛人の眼を盗んで本妻と逢い引きするっていう関係だ。ほんまかいなってな展開なんだけど、これがやっぱり文学的情緒ってやつんだろう。
原作を読んでいないから、かなりいい加減なことを書いてる気もするんだけど、最後の土壇場で、石坂浩二の屈託の無さというか、罪の意識の無さというか、なんにも考えてない表情は凄い。
結局のところ、男の女の関係ってのは、こういうものなのかな~と。
現実味を感じてしまった次第です。