破竹の勢いだった統一運動
ある面破竹の勢いのごとく社会的基盤を構成してきていた統一運動。人材の復帰もさることながら、60年代末から始めた勝共運動は、日本の保守層を中心に信頼を勝ち取り、久保木修己会長は一躍、日本の政治、思想界をリードする中心人物となって行った。
一方勝共運動の戦いによって決定的ダメージを被ったのが日本共産党であった。特に1978年の京都府知事選では、それまで続いてきた蜷川府知事による共産党府政が、共産党の支持する候補が落選、保守系の林田悠紀夫氏が京都府知事に当選した。この選挙の時には全国の勝共活動要員が京都に集結し、様々な街宣活動を展開した。連日膨大な量の思想新聞号外が配布された。その主要な内容は、ちょうどそのしばらく前に共産党幹部の袴田里見氏が共産党を離党、その後袴田氏が「宮本顕治も同志をリンチ死死に至らしめたことがある」との証言をなし、そのことが注目をあびていた時であった。勝共連合は共産党の暴力性を徹底的に京都に知らしめる役割を果たした。その後統一教会批判の先頭に立つようになる有田芳生の父親は京都府共産党の幹部だった。
共産党に決定的ダメージを与える
それまで「愛される共産党」のソフトイメージ戦略で確実に支持者を増やし、京都府をはじめ各地に共産党与党の革新自治体を拡大してきた共産党にとっては決定的ダメージとなったのがこの京都府知事選だった。
この時共産党はどれほどの屈辱を味わったのだろうかと思う。憎むべき勝共連合でありその母体である統一教会つぶしに執念を燃やすのはこの時以来の共産党であった。
さて、このように順調に日本国内で存在感を増してきた統一運動であったが、その後決定的ダメージとなる事件が引きおこされるのである。それが、かの「霊感商法」であった。統一教会本部ではこの問題に関してはこれまでその関連性を否定し続けてきているが、日本教会とその関連の諸団体にとって、この事件が致命的ダメージをもたらしたことは間違いない。
日本教会の順調な発展は、韓国教会にも様々な恩恵を与えるようになった。中でも、それまで経済的困窮にあえいでいた韓国教会が、特に日本で販売に成功した高麗人参茶や、大理石工芸品の売り上げの増大は韓国教会関係者に多大な経済的利益をもたらしたことは間違いないだろう。高麗人参製品を製造していた一和製薬は一躍人参製品の販売でトップ企業にまで躍り出た。大理石工芸製品の売り上げの増大も韓国教会を豊かにした。韓国教会の日本教会依存の経済体質はこのころ出来上がったのである。
共産党が目を付けた運動の脆弱部分
さて、勝共連合の進展に危機感を抱き、何とかしてその伸長を食い止めなければと反撃のチャンスを狙っていた日本共産党が目を付けたのが、日本教会と韓国教会の資金源となっていた、いわゆる事業部。人参茶や大理石工芸品の販売にまつわるトラブルであった。
当時全国の販売競争は熾烈だった。何とかして実績をあげようとした地方はあの手この手の策を講じて販売を拡大することに必死だった。そのような中にかなり無理な販売や、本人の意思を無視した押し売り、それから開運を謳い、自称霊能者が登場しての「先生トーク」なる仕掛けの販売方法によって購入したお客からのクレームが消費者センターに届けられる事例が多くなっていた。共産党が目を付けたのがここであった。特に一部の地方では販売員が「霊障」を演技して、客に恐怖感を与えて販売するといった、どうみても違法な販売方法が取られていた。
共産党はこれらの販売方法を「霊感商法」と名付けて最初は赤旗で取り上げ、その後左翼系のマスコミがこれを取り上げるようになり社会的大問題に発展していった。
一方このころ女優の桜田淳子さんや、アスリートの山崎浩子さんなどが統一教会の合同結婚式に参加するということがマスコミで大きく取り上げられ、同時に「霊感商法」の反社会的販売方法が徹底的に批判され、勝共運動をも含めた統一運動が決定的なイメージダウンを余儀なくされるようになったのである。
日本教会のダメージは韓国にも波及
日本教会の信用失墜は、韓国教会にも致命的なダメージをもたらすようにもなった。特に経済部門は、日本の販売に頼り切っていたため決定的なダメージとなって行った。
その後日本教会の受けたダメージはその後ずっと教会の発展にブレーキをかけ続け、特に経済問題はひっ迫して、韓国にも大きなダメージを与えたので、その後このことの回復に長い時間を要するとともにこのマイナスを取り戻す過程の中でさらなる問題の根が生じるようになってくるのである。あらゆる問題の根となった経済問題が、その後もいびつな教会運営の根となり、さらなる問題を引き起こす次の原因ともなって行ったのである。
この事件への対応がその後の運動の推移を大きく決定今に至っているのである。今日の葛藤の原因もその時の問題に起因しているとも言えないだろうか
<この項続く・・・>
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