古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十七章 潮岬会合 その二十一

2013年03月27日 07時49分01秒 | 古文書の初歩

潮岬会合「乍恐言上 返答」その三、原文無しは今日まで。原文の解読文は「串本町史史料編」及び「串本のあゆみ」から借用しました。

一つ書きの第二項目の続き

解読文 其時植木小右衛門殿御決被為成、先規之ごとく見老津より

     下田原迄之例網代ニ相済申事、其隠無御座候。然処其後

     小右衛門殿被仰候ハ、浅野左右衛門殿被仰候由ニ而、藤田

     下右衛門殿被申候間、何れ之所ニ而もゑと網代壱嶋やり候て

読み  其の時、植木小右衛門殿お決め成させられ、先規の如く見老津より

     下田原迄の例網代に相済し『相なし』申す事、其の隠れ御座無く候。

     然る処其の後小右衛門殿仰せられ候は、浅野左え門殿仰せられ

     候由にて、藤田下え門殿申され候間、何れの所にてもえど網代

     ひと嶋やり候て(くれ候へと・・・と続く)

解説  「其の時」・・・上・下両者有田浦で対決の際。 「植木小右衛門」・・・周参見駐在奉行。 「御決被為成」・・・お決め成させられ。「為」は使役の助動詞、「せ」・「させ」。 「先規之ごとく」・・・以前からの規則の通り。 「例網代」・・・例の網代。 「相済申事」・・・「済」は「なす」と読む。決めた事をやり遂げる事。 「其隠れ御座無く候」・・・其れが無くなる心配は無い。 「然る処」・・・そうでは有るが、然しながら。 「浅野左え門」・・・田辺藩主。 田辺藩主浅野殿が仰せられたとの事で。 「藤田しもえ門殿」・・・不明。 「何れの所にても」・・・どこでも良いから。 「えど網代壱嶋」・・・餌の鰯を捕る網代を一嶋(一箇所)だけでも。 「やり候て」・・・与えて。やって。 

「文意」・・・奉行の植木殿が現地へ出張して、両者の言い分を聞き、今まで通りに見老津~下田原の網代である事を確認したが、その後田辺藩主の要望で、一つの嶋だけでよいから、餌所をやって欲しいと言うので。 明日から古文書学習に戻ります。