古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二章 異国舩・その十一

2011年05月22日 10時25分58秒 | 古文書の初歩

第三ページの二番目の一つ書きに入ります。

解読

一 き里志たんの法をすゝむる者有之

  あるひハ金銀をくれたぶらかし候ハゝ

  先こゝろよく受候て早々可申出

  公儀より其やくそくの一ばい御ほうび

  可被下御定也猶御国よりも御ほうび

  可有事

読み方

   一つ キリシタンの法をすすむる者、これ有り

   あるひは金銀をくれ、たぶらかし候はば

   先ずこころよく受け候て、早々申し出るべし。

   公儀より其の約束の一倍御ほうび

   下さるべき御定めなり。猶、御国よりも御ほうび

   有るべき事。

解説 一 キリスト教の教義を勧める者が有り、或いは金銀(お金)をくれたり  して、だましたりしたら、先ずこころよく受けて、すぐ申し出る事。 公儀(政府・幕府)より規定の倍のご褒美下さる定めになっている。尚、御国(紀州藩)よりもご褒美が出る事になっている。

 「きりしたん」・・・キリスト教を勧誘し、お金をくれたりしてだましたりしたら、黙って受けておいて、すぐに報告する事。 「公儀」・・・幕府のこと。幕府から規定の倍のほうびを下さることになっている。 「一ばい」・・・今では単に「倍(ばい)」と言うが、キマリが10円だつたら、倍の20円をくれると言う意味。 「御国」・・・藩を指す。 江戸時代、国と言えば、自分の藩のことであり、外国に対して、日本国という概念は一般的にはまだなかった。

「里」・・・変体仮名の「り」。「すゝむる」の「す」は、「春」の変体仮名。 「連」は「れ」の変体仮名。 「候ハゝ」は前出で「そうらわば」と読む。 「受」も難読字です。 「一ばい」の「は」は「者」の変体仮名。 「ほうび」の「ほ」は、「本」の変体仮名。 「可被下」の「被」も簡単に読めないですが、「下さるべき」と言う一つの慣用句として、覚えて下さい。 「猶」も難読文字ですが、よく出ますので慣れてきます。