感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

ワクチン接種はどれくらい肺炎球菌感染を予防するか?

2013-02-28 | 感染症
反復性肺炎球菌感染症について考察中。件の症例は23価ワクチンをうっているが感染を反復していること、免疫不全がありそうなこと、再投与ワクチンをどうするか、が問題となっている。肺炎球菌ワクチンのおさらいとその効果、推奨事項について、Infectious Disease Clinics of North America 誌にレビューがあったので読んだ。 日本ではまだPCV13は使えないが今年中に認可がで . . . 本文を読む

選択的IgM免疫不全?

2013-02-27 | 免疫
前回の続き。反復性肺炎球菌髄膜炎例の検討中。以前の腹部エコーでは脾臓は正常サイズで存在。血清の免疫グロブリンはIgGやIgAは正常範囲だがIgMが25mg/dlと低値であった。ただし過去の比較データはない。頭部CT検査では副鼻腔と交通しそうな異常なさそう。背部に皮膚洞などの異常所見なし。 以後、機能的無脾症の検討をすることと、IgM欠損症について調べてみた。  要約 ・原発性低ガンマグロブリ . . . 本文を読む

繰り返す肺炎球菌性感染症

2013-02-26 | 感染症
神経内科より感染症診療相談。40歳台になって最近数年髄膜炎繰り返し、すべてPSSP検出。2年前にニューモバックスをうっている。どのように対処するか。 幼少期に詳細不明ながら頭蓋底腫瘤指摘され生検手技で頭蓋骨などに部分欠損あり、またヒスチオサイトーシス疑いにて短期間ステロイド使用歴もある。  まず免疫グロブリンや補体価などチェックと、脾臓の有無、背部正中線の皮膚のチェックなどか。 タウートランスフェ . . . 本文を読む

HIV関連の二次性肺高血圧症

2013-02-21 | 感染症
MCTDや強皮症など一部の膠原病では、肺高血圧症(PH)が合併することがあり、症状が出た頃には進行してしまっていることがあるので無症状期でも外来で定期的なチェックが必要である。先日某社の治療薬の説明のとき、PHの原因疾患リストの表があり、HIVもある程度占めている、とあった。当科外来にはHIV患者さんも通院されているので、HIVとPHの関係について調べてみた。 HIV感染者の35%が"precli . . . 本文を読む

黄色ブドウ球菌菌血症の死亡予測因子 2

2013-02-20 | 感染症
前回の続き。黄色ブドウ球菌菌血症でもMRSAによるものとMSSAによるもので死亡率は違うのか? MICの高いめのMRSAにもVCMは使えるのか? ヘテロ耐性のhVISAはどうか? 適切な経験的治療の遅延の有害な影響は? など大変興味深い話題が目白押しである。 最後に感染症コンサルテーションと予後の改善の関係について述べられている。やはり血液培養結果への監視介入は速やかに必要ですね。 病原因 . . . 本文を読む

黄色ブドウ球菌菌血症の死亡予測因子 1

2013-02-18 | 感染症
MRSA、MSSAともどもブドウ球菌感染症の管理や治療は、複雑で込み入ったものであり、その予後も不良であることが多い。昔から臨床的研究がさかんな菌種であり様々な報告が近年もなされている。この文献は死亡率に繋がるかもしれない因子について一つ一つ丁寧に諸文献を振り返り、レビューしている。かなり長大な論文であり、今回、前半と後半に分けてまとめた。 Sorianoらの ブドウ球菌菌血症(SAB)の感染源に . . . 本文を読む

IDSAのMRSA診療ガイドライン2011 SlideSet

2013-02-14 | 感染症
現在、院内のMRSA勉強会開催のため準備中。 2011年発表の米国感染症学会のMRSA診療ガイドラインがある。 この学会IDSAのホームページにてこのガイドラインのSlide Setというすばらしいスライドが公表されている。 症例の場面ごとにどう判断するか、ガイドラインでの記載、過去の文献の結果、など配置されている。 MRSA全体について語るとなると、細かい知識など複雑に絡み合い、分かりにくい . . . 本文を読む

ペニシリンによる高カリウム血症

2013-02-13 | 感染症
昨日はペニシリンの日だったそうで(1941年2月12日に、イギリスのオックスフォード大学附属病院が、世界で初めてペニシリンの臨床実験に成功したことに由来 ;ウィキペディア)、当院でも一応、ペニシリンG注射液は採用されているので、その高K血症の潜在的リスクは注意である(100万単位あたりカリウムを1.7mEq含有)。  といってもあからさまな高Cre例など腎障害が分かる例は、避けたり注意して使用した . . . 本文を読む

中心静脈カテーテル講習会開催

2013-02-08 | 行事
当院では年2回、中心静脈カテーテルに関する知識と穿刺挿入手技に対する職員向け講習会を開催しております。私も感染管理の立場、医療安全委員の立場から、指導者としてやっています。 まず座学でスライドによるCVCの合併症のその回避法について学びます。そして当院CVC挿入マニュアルの説明に至ります。その後、コヴィディエン社のご協力で、CVカテーテル、ダミーとエコー(SonoSite)を準備いただき、各自わ . . . 本文を読む

下肢MRIで筋膜炎所見あり、どうするか?

2013-02-07 | 免疫
2年間くらい右ふくらはぎ痛が断続的に続いている方。MRI検査にて腓腹筋周辺の筋膜に異常信号あり整形外科から紹介。どうのように精査を進めていけばいいか? 好酸球性筋膜炎がまず浮かぶがこの例はあいにく末梢血好酸球は増多なし…。 文献では病理的な疾患定義の範囲がはっきり理解できず。様々な疾患や悪性腫瘍関連でも同様の病理像を示すらしい。 peau d’orange skin、フランス語でオレンジの皮のよ . . . 本文を読む

デング熱の臨床的診断

2013-02-01 | 感染症
当科研修医により2月の内科地方会で過去の当院デング熱数例をまとめて報告する予定。診断は血清学的検査が決め手となるが特に日本では迅速検査もないため急性期には役に立たない。渡航帰りの熱といってもマラリアや腸チフス、麻疹やインフルエンザなど類似症状で発症する疾患も多い。 問診や診察や簡単な血液検査でどこまで迫れるのか? ここ数年の文献(50数文献)をざっとおさらいしレビューした。 まとめると DFの . . . 本文を読む