感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

薬剤誘発好酸球性肺炎

2017-05-25 | 内科
マダニ刺症後、自力でとったら傷口あたりの腫れと痛みあり皮膚科受診、ミノサイクリン投与続けられていた方が、咳と発熱、筋肉痛がでて受診、ダニ関連感染も否定できないとのことで当科受診入院されました。胸部CTにて両側に斑状にすりガラス影あり一部浸潤影を伴っていました。マダニ関連の感染症はいくつか知られていますが、肺に所見でるのはQ熱くらいでしょうか。Q熱肺炎でも多発肺野斑状影が多いとされるが、ずっとMIN . . . 本文を読む

薬剤誘発性高血圧症

2016-11-10 | 内科
TAFRO症候群に対してステロイド単独療法では効果不十分で免疫抑制剤のシクロスポリンを併用開始したところ病態は改善しました。その後徐々に血圧が高くなり、これまでは高血圧の指摘もなかったことから、薬剤性を疑いました。ステロイドによる血圧上昇もよく知られていますが、そのタイミングからはシクロスポリンからの可能性が高そうです。これら薬剤による高血圧症の特徴はどうなのでしょうか。各文献からまとめました。 . . . 本文を読む

白血球増加をきたす病態

2016-07-27 | 内科
総合内科からの相談例で、ALSにて長期人工呼吸中の方の、数日の食思不振/絶食後、アシドーシスの進行、白血球増多にて入院され、著明な白血球数の増加あり(WBC数3万台)その病態を検討しています。もともと糖尿病はなく入院後経過からもDKAは考えにくく、入院時血液ガスから乳酸値増加なく、しかしAG開大あり、飢餓によるケトアシドーシスが考えられました。発熱やCRP上昇伴わず、前後に感染症徴候なく感染症によ . . . 本文を読む

頸部から上肢の静脈血栓症について

2016-04-07 | 内科
発熱および左頚部痛にて受診入院された方で、左側頚部から左上腕にかけての浮腫および圧痛伴い、所属リンパ節も腫れ、血管エコー検査では、左内頚から腋窩鎖骨下静脈にかけて広範囲に血栓形成をみとめました。以前のよく似た症例の経験もあり(availability biasでしょうね)、まずLemierre症候群を疑って嫌気性菌に向けた抗菌薬を開始していたのですが、血液培養は結局陰性。ワーファリン開始にて退院、 . . . 本文を読む

アルコール非関連のビタミンB1欠乏症

2016-04-04 | 内科
前回の症例ですが、尿路でのウレアーゼ産生菌による感染症を考え抗菌薬投与開始し、また点滴を開始してビタミンB類も添加していたところ翌朝には意識が戻っていました。さらに、血清ビタミンB1濃度が低値だったことが判明し、今回の意識障害はビタミンB1欠乏症だったようです。(逆に数日後の血清アンモニア値は横ばい) 1か月以上の入院期間となり毎日病院食も10割食べておられ、この病態は念頭にはなかったので驚かされ . . . 本文を読む

高アンモニア血症と非肝臓疾患の原因

2016-03-30 | 内科
肺炎治療で入院されその後ADL改善のためリハビリ入院中の方ですが、数時間で徐々に応答が乏しくなり翌日には傾眠的になりました。多少発語はあるのと明らかな四肢の脱力や麻痺なく、主に代謝性障害を念頭に意識障害の鑑別をいろいろ検討しています。その中で、血清アンモニア値が正常上限を超えていました。とくに肝疾患歴はない方です。数日前の検査にも今回の検査にも沈渣で膿尿所見あり、グラム染色でも陰性桿菌と貪食を認め . . . 本文を読む

熱中症について -その3

2015-08-03 | 内科
前回に続きまして熱中症についてです。今回は熱中症の治療について。医学的緊急状態であり迅速な治療開始が必要、おもなものは能動的な冷却治療である、大量輸液をするかどうかは病態によるのでその把握も必要、さまざまな合併症にも対処すること、などです。   治療   ・熱中症は医学的な緊急事態。 ・迅速に治療しなければ死亡率は80%と高いことが報告されている。 ・熱関連疾患には . . . 本文を読む

熱中症について -その2

2015-07-31 | 内科
前回に続きまして熱中症についてです。今回は罹患リスクと、検査、診断について。因子があるから熱中症の診断に活用するということではなく、因子のある人はこの時期より注意すべきでしょうね。CRPやPCTに関する文献もいくつかありました。とくに熱射病ではこれらは上昇するということ、その値の大きさで感染症と区別できるかもしれないこと。熱射病と中枢神経感染症はもっとも重要な鑑別点で、誤診により死亡率は上がるので . . . 本文を読む

熱中症について -その1

2015-07-30 | 内科
当科では発熱性疾患の相談や初診を受けることも多く、この時期ですと熱中症は鑑別から外せません。高齢の男性で日中に農作業をされており、当日朝から悪寒発熱、嘔吐、起立困難となり救急搬送され入院されました。定期内服薬は、アスピリン、Ca拮抗薬、PPI、抗血小板薬、ビカルタミドなどでした。 特に身体所見や胸部XP、尿検査で感染症を思わせる所見はありませんが、CRPは5台、WBC数は12000程度でした。状 . . . 本文を読む

骨粗しょう症と腹痛: iliocostal syndrome

2015-03-25 | 内科
最近の外来で、急な体幹部痛(体幹の前後とも広範囲に)あり後に下位胸椎の圧迫骨折発生であることがわかった例がありました。最初はのちに原因と分かった胸椎の局所痛の訴えなく2回のXP検査でその変化がわかりました。別の症例は、極度の背側弯を伴う骨粗しょう症の方で急な左腹部痛の訴えで受診されました。疼痛は左腸骨稜上端あたりにあります。幸い以下に紹介しますClinical pearlsの文献を読んで . . . 本文を読む

アシクロビル関連脳症について

2015-02-25 | 内科
前回に続きまして帯状疱疹感染症に関して。今回は帯状疱疹治療中の中枢神経症状出現時に鑑別として問題となる、アシクロビル関連脳症についてです。今回の地方会の発表例は背景として腎障害なく、また使用された用量もかなり少なめであり、CSF検査で異常あったことからこれは否定していました。そのときに文献研究してまとめていたものです。   まとめ   ・結晶性腎症への二次的急性腎損傷は . . . 本文を読む

口腔乾燥症をきたす病態

2014-11-19 | 内科
当科外来には口腔乾燥が主訴でシェーグレン疑いにて近医より紹介される例もあります。SSA,SSB抗体など陰性で、高齢者の例ですと、サクソンテストなどで唾液量低下がみられても、SjSの診断の確定に悩みます。口腔乾燥をきたす原因も他に多いので鑑別除外も必要です。 まとめますと、口腔乾燥症は主観的な症状である、主な原因はシェーグレン症候群(SS)、薬物療法や頭頸部への放射線療法で、内服薬剤数が増えると口 . . . 本文を読む

こむらがえり について

2014-09-19 | 内科
外来をやっていると、たまに“こむらがえり”について質問されます。なんとなく返答していたのですが、文献的な知識はいかほどか、調べてみました。「こむら」あるいは「こぶら」は「腓」と書きもともと「ふくらはぎ」のことで江戸時代以降はふくらはぎのほうが普及して部分名称としては使われなくなりこむら返りという言葉だけが残ったそうです。英語ではMuscle crampsですが、&ldquo . . . 本文を読む

あごのしびれ感を訴えたら… Numb chin症候群について

2014-09-04 | 内科
先日の当院CPCは、当科症例でした。あごのしびれ感を自覚して近医口腔外科などで抗生剤治療も改善なく不明熱として精査中にリンパ腫が判明、しかし本格的な化学療法を始める前に腫瘍崩壊症候群をきたして亡くなられました。(→過去ブログ: 自発的に発生する腫瘍崩壊症候群) 病理所見はび漫性大細胞性B細胞リンパ腫で、肝、脾、副腎、肺、心臓、と広範囲臓器にリンパ腫細胞浸潤をみとめ、骨髄も著明に浸潤して . . . 本文を読む

溶血性貧血の診断手順

2014-05-19 | 内科
ガンマグロブリン高値および溶血性貧血疑い(ハプトグロビン低値)からなんらかの自己免疫性疾患がないか近医より精査依頼で紹介されました。貧血は軽度なもののLDH上昇あり、直接クームステストも陽性でした。血液疾患なども含め最初は広くスクリーニングする必要があるため、診断手順についてまとめてました。 まとめ 分類 ・自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は関係する自己抗体の特性に応じて温式wAIHA、 . . . 本文を読む