感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

尿路感染症の臨床検査診断

2013-05-30 | 感染症
いま研修医向けの1日集中感染診療講義を企画中で、様々な基礎事項を見なおしています。尿検査などによる尿路感染の診断も簡単なようで難しいところです。古い文献ですが、尿路感染を診断するための臨床検査に関するレビューがありましたので読みました。尿のグラム染色はある程度の菌量の診断が大事な腎盂腎炎や複雑性UTIにはいいが、外来の単純性UTIにはおすすめできないとのこと。たいてい大腸菌であるのと、菌量が少ない . . . 本文を読む

SAPHO症候群

2013-05-23 | 免疫
数十年前から掌蹠膿疱症、数年前から胸椎の痛みあり整形外科でのMRIで脊椎炎を指摘され当科にこられた。SAPHO症候群と診断した。前医で扁桃腺摘出を受けていて、いま鎮痛剤にNSAIDsを飲んでいるが皮膚症状も骨格痛もいまひとつ。 胸骨周辺や脊椎などの骨炎と、重症にきびや掌蹠膿疱症 などの皮膚症状を伴うことが多い症候群である。いまだ確立された診断基準がなく、骨格症状と皮膚症状の出現にtime lag . . . 本文を読む

ALアミロイドーシスは関節リウマチに似る

2013-05-20 | 免疫
血液内科から多発性骨髄腫治療中の方の多関節炎発生あり相談あり。半年前に骨融解をきたした腰椎の骨生検にて多発性骨髄腫、アミロイドーシスの病理診断。今回は1週間前から両手、右足関節の疼痛と腫れが出現した。全身性アミロイドーシスは関節リウマチに似た症候を作ることがある。 諸文献を読んだ。MRIなど画像診断が有用らしい。 要約 ・悪性疾患は、しばしば、滑膜炎患者の初期評価において考慮する必要がある . . . 本文を読む

カンピロバクター・アプサリエンシス症例

2013-05-16 | 感染症
心筋梗塞の歴あり、認知症ある高齢女性が発熱、歩行障害をきたして入院。入院後も微熱継続し血液培養を採取、湿性咳嗽と軽度低酸素血症もあり誤嚥性肺炎疑いでABPC/SBT開始。便は軟便、潜血などの検査はなし。60時間ほどで螺旋状の菌が生えてきたとICTへ連絡あり。その後、菌の搬送で弱ったのか確認培養で生えず、結局、質量分析と16SシークエンサーDNA分析でCampylobacter upsaliensi . . . 本文を読む

培養陰性例におけるデ・エスカレーション

2013-05-14 | 感染症
前回のブログで触れたが、この文献では、培養陰性例ではむしろde-escalationは約1日早く施行され、より短い入院期間、低い病院コスト、および低い死亡率、が示されたというもの。たしかに実際の臨床では、陽性例はグラム染色性などの中間報告も入るので最終結果まで待ってしまうこともあるが、3日目に生えて来なければそうそうに陰性だろうと判断し、抗菌薬の変更も早期に検討できるのかもしれない。 HCAPガイ . . . 本文を読む

抗菌薬デ・エスカレーション

2013-05-07 | 感染症
抗菌薬のde-escalationとは、抗菌薬使用開始後の症例において得られたデータや臨床経過から、抗菌スペクトラムの絞った薬剤に変更したり使用停止したりすることである。 当科でもICT活動の一貫として細菌培養陽性例に早期介入を行なっているがde-escalationに関して進言すべきかどうか、いつも悩ましい。 まとめ ・de-escalationは新しい治療パラダイムの主要な要素の一つを . . . 本文を読む

好酸球増多症候群の臨床的マネージメント

2013-05-02 | 内科
以前のブログ(好酸球増多症への実践的アプローチ)に続いて。末梢血好酸球数は1500あたりから5000を超えるようになってきた。下肢の皮疹は増悪傾向にあり下腿浮腫も伴いDVTも心配、心臓や肺の諸検査は問題無さそうだが、寄生虫検査や骨髄検査をやりつつ、ステロイド治療を再開することとした。 さらにどのように精査、治療をすすめていくか。 定義 ・2010年にHESの更新定義 :少なくとも二つの機会 . . . 本文を読む

テノホビル関連の低P性骨軟化症とビタミンD

2013-05-01 | 感染症
以前のこのブログでも書きましたHIV薬のTDFによる腎障害例ですが (HIV感染症患者におけるテノホビル関連腎毒性:エビデンスレビュー) 、TDF投薬中止、ビタミンD投与にて数カ月後、胸背部痛も徐々に改善消失しました。骨軟化症関連症状だった可能性も考えています。 文献によるとHIVのART治療にともなって骨障害の報告も結構あるようです。 TDFなど使用時は、腎尿細管障害への気配りと、BMDや脊椎X . . . 本文を読む