感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

関節リウマチ治療のための欧州リウマチ学会勧告2013 ・その2

2013-11-26 | リウマチ
前回に引き続いて、欧州リウマチ学会EULARから、関節リウマチの治療に対しての抗リウマチ薬の勧告について。今回は、リコメンデーション 項目8から14。 最初のDMARDsが効果不十分なときで予後不良因子が存在する場合は生物学的製剤(Bio)を。MTXや他のcDMARDs(を試みてから)で不十分ならBioを開始する。どのBioがより好まれるかの記載はない。また話題の新薬のトファシチニブはBioが失敗 . . . 本文を読む

関節リウマチ治療のための欧州リウマチ学会勧告2013 ・その1

2013-11-25 | リウマチ
欧州リウマチ学会EULARから、関節リウマチの治療に対しての抗リウマチ薬の勧告がアップデートされています。主に最近の3つの系統的レビューを反映して2010年勧告以来の改訂になっています。 まず抗リウマチ薬を生物学的製剤を含め、●DMARDと命名整理しています。包括的原則が3項目、リコメンデーションは14項目で構成されていました。 2010年には言及されていたアザチオプリンなどの免疫抑制剤の項目は削 . . . 本文を読む

抗HIV治療の開始のための推奨と治療薬の推奨レジメン

2013-11-21 | 感染症
前回に引き続き、EACS欧州エイズ臨床学会の治療ガイドライン7.0から。 今回は、抗HIV治療(ART)の開始のための推奨と、治療薬の推奨レジメンについて。 米国のDHHSガイドでは、すべてのHIV感染者に治療を勧めるとしておりましたが、CD4>500の人でBIII推奨でした、HIVの伝達を低減するための使用はAI~AIII推奨でした。欧州では、併存疾患によって細分していますが、一応、以下のすべ . . . 本文を読む

HIV患者のART開始準備状況を評価

2013-11-20 | 感染症
前回に引き続き、EACS欧州エイズ臨床学会の治療ガイドライン7.0から。 ART(抗HIV治療)開始導入に至るまでの、患者さんの準備ぐあいについての評価、サポートをまとめています。 行動変容ステージモデルが使用されています。もともと禁煙や食事療法や運動など生活習慣の変化を促進するためステージごとに評価方法や介入方法を変えるやり方で、HIV治療もアドヒアランスの確立といって患者さん自ら積極的に治療に . . . 本文を読む

EACS欧州エイズ臨床学会ガイドライン

2013-11-19 | 感染症
HIV領域のガイドラインは各種あります。 日本エイズ学会は今年は熊本で開催され、HIV感染症治療の手引第17版も話題となるようです。 米国保健福祉省(DHHS)ガイドラインも有名で今年2月に改訂されています。 ヨーロッパは、EACS(European AIDS Clinical Society)がこの10月に治療ガイドライン7.0を発表していました。2年ぶりの改訂のようです。 実地のHIV診療 . . . 本文を読む

かかとの痛みの診断と治療:診療ガイドライン

2013-11-08 | 免疫
3ヶ月ほど両かかとの痛みが続き(外傷歴なし)整形外科へ受診された中年女性で、母もリウマチのためと当科に相談紹介されました。踵骨の足底部やや前方に局所的な圧痛と周辺軟部組織のやや腫脹熱感がありました。かなり肥満で、また仕事も立ち仕事ということで、足底腱膜炎の第一印象でした。 どのように診療をすすめていくか、関連するガイドラインなど調べてみました。American College of Foot an . . . 本文を読む

Gemella morbillorumについて

2013-11-07 | 感染症
血液培養チェックでGemella検出例があった。聞きなれない菌名ため、文献を調べた。 Mandellでは簡潔な記載のみで、S.morbillorumは一旦はviridans streptococcusであると考えられていた。それは血液寒天培地上にてβ-溶血を生成せず、特徴的な血清型抗原を欠いているため、および腸球菌や肺炎球菌の生化学的特性を持っていなかった。この菌はGemella 属(G.morb . . . 本文を読む

メトロニダゾール誘発性脳症

2013-11-06 | 内科
昨日の当院のCPCでは、長引く意識障害後に亡くなられた方の当科症例を検討した。側頭動脈炎の診断後、高容量ステロイド開始、その後CMV感染、腹腔内膿瘍を発生、メトロニダゾールを使用、CMVはガンシクロビルで軽快、その後痙攣が発生、意識障害が遷延化していた。髄液検査では細菌性髄膜炎所見なく、クリプトコッカス抗原や単純ヘルペスDNAは陰性、JCウイルスは国立感染症研究所にて検査いただきDNAは陰性。 M . . . 本文を読む

メトトレキサート・アップデート

2013-11-05 | 免疫
前回につづいてメトトレキサートに関してレビュー。 今年9月に出た欧州リウマチ学会EULARのRAの治療のリコメンデーションでも言及されているが、治療医は治療的コストにも考慮すべきであるとされ、高額な生物学的製剤温存として、最初はMTXを中心とした単独または併用治療で開始して、効果不十分なとき生物学的製剤を考えるとしている。 以下でも、積極的にDMARDs併用療法を活用する、ステップアップ法やステッ . . . 本文を読む

メトトレキサート誘発性汎血球減少症(骨髄毒性)

2013-11-01 | 免疫
RA通院中でMTX8mg/週を使用中の方で、口内痛、摂食不良となり口腔カンジダ症疑いにて入院としましたが、その後急激に汎血球減少が進行しました。 メトトレキサートの毒性については日本リウマチ学会のガイドラインがあり、高齢者、もともと腎機能が落ちている、低アルブミン血症などが骨髄毒性のリスクで葉酸併用などもすすめていますが、この方はアルブミン値>3、eGFR>50で、RA活動性は高い目だったので、葉 . . . 本文を読む